やさしい韓氏意拳入門 第三回 「試力」(前編) 

| 駒井雅和

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武道、武術好きなら一度は名前を聞いたことがある、韓氏意拳。興味はあるものの、どこか敷居の高さを感じて二の足を踏んでいる方も多いのではないでしょうか? そこでここでは駒井雅和教練にお願いして、できるだけ分かりやすく韓氏意拳について書いて頂きました。第三日目の今回は、「試力」(前編)です。

やさしい韓氏意拳入門

第三回 「試力(しりょく・シーリー)」(前編)

駒井雅和

 

第三回の今回は試力(シーリー、しりょく)です。

試力は前回の站椿で解説した“状態”を掴むから、さらに今度はその“状態”を掴んだまま如何に離すことなく運動し続けることが出来るのかを試みる段階といえます。

動作としてはとてもシンプルです。

手を前後に、手を上下に、左右に、開いて前後に。

とこれだけです。

シンプル過ぎて戸惑う人が続出ですが、とても大切な練習段階なのです。

意拳の創始者である王向齋先師は試力を、

「力は試してこそ知ることができる(習拳一得・拳道中枢など)」

と解説し、

「拳のなかで最も重要であり、最も困難な部分である」

とも仰ったそうです。

また、韓星橋先師は「意拳とはすべてが試力であるとも言える」と仰っているそうです。

それにしても“最も重要で困難であるが、すべて”とはなんでしょう?

私なりに韓氏意拳を解説することでその“謎”を“駒井式”で解き明かしてみたいと思います。

 

試力、その前に

韓氏意拳の試力とはなにもって試力と言うのかを解説していきましょう。

●試力のポイント

韓氏意拳の試力は、「相手を打ち倒す力の出し方」ではなく、

「動いている間も、いつでも動くことができるのか? 動きながらもいつ相手とぶつかったとしても安定した構造を保っているか?」

を検証します。

站椿では、安定した構造が保てているかを手の位置関係が定まったところで見ていきましたが、闘争の実際の場面では自分も相手も止まっているわけではありません。

獲物を捕らえるにしろ、捕らわれないようにするにしろ、動いていなければなりませんね。

このような時、動くことにより自分と相手の距離がだんだんと近づいてきますと、じわりじわりと緊迫感が高まります。
その距離がさらに縮まって、もう手を伸ばせば触れ合う!というような瞬間、緊迫感はいよいよ高まります。

緊迫感が高まると、その圧力から私たちは自然に韓氏意拳でいうところの“状態”に進入しますが、むやみやたらと動いてしまうと、せっかくの“状態”が壊れてしまいます。その代表的なものが、“筋肉の部分緊張”です

危機に対して動かないという選択は取れませんが、自分が動いてしまった結果、次々と変化するう状況に対応できなくなるのもまた歓迎できません。

ここは言葉で説明されても、分かりにくいところですので、ちょっと誰かに協力してもらってこんなことを試してみましょう。

 

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–Profile–

駒井雅和(Masakazu Komai
こまい・まさかず/本名同じ。1975年、東京都府中市に生まれる。現在も東京在住。2003年より訪中を繰り返し韓競辰師の指導を受け、2005年入室弟子となる。現在は中級教練となり東京を中心に各地で講習活動を行っている。2014年K-STUDIOカンフーパンツをインターネット起業。2017年日本摔跤協会を発足。座右の銘は「為せば成る」。

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