第1回 全日本競技推手選手権大会開催!

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第1回 全日本競技推手選手権大会開催!

文・写真コ2編集部

去る6月25日、東京・新木場 BumB(ぶんぶ)東京スポーツ文化館に於いて、第一回全日本推手選手権大会が開催された。

当日は女子部、軽量級、中量級、重量級、そして無差別級の全五階級で熱戦が繰り広げられた。

この日行われたのは「定歩推手」と呼ばれる足を動かさずに行うもので、参加者は二人一組で所定のエリアに両脚を置き、手首を合わせ、片手を相手の肘に添えた状態から始める。優劣はポイントによって争われ、足が床から離れるか、最初に足を置くマットから出ると1ポイント足以外の身体の部位が床に着けば2ポイントとなる。相手の足が床から離れても、自分の足が離れてしまうと同体となり、両者ともにポイントは入らず最初の姿勢から試合再開となる。また触れて良いのは首から下、ウエストより上であり、頭突き、金的の他、肘を使うのも禁止、無論足技は一切使えない。

推手大会
試合はこの体勢から始められる。

 

推手大会
互いに手の甲を合わせ、肘に手を当てる。

 

推手大会
足は決められた位置に置き、ここから相手の足が離れたらポイントになる。

 

試合時間は40秒で、相手に6ポイント以上の差をつければその場で終了となる。前半後半の2部制で争われ、互いに前後半を取り合ったイーブンの場合は延長戦が行われ、ここでも決着が着かない場合は体重判定に持ち込まれる。

このあたりのルールは大会の規模により多少違いがあり、国際大会などでは3R制で争われるほか、足の判定についても踵やつま先が離れた時点でポイントになる場合もあるという。

試合時間が40秒というと短いようだが、実際に動いている間のみカウントされるため、「始め」から試合終了までのトータル時間は平均で2分30秒くらいという印象だ。また一瞬の集中力と発力が必要なためかなりハードな印象で、例えるなら50メートル走を連続で何本も走る感じに近いかもしれない。

推手大会
実際の試合の風景。相手の足が離れても、自分の足が離れてしまうと“同体”となり、最初の体勢から試合再開となる。

 

推手大会
女子部の決勝戦。

 

また一見するとただ力任せに押し合っているように見えるが、実際には相手の力の方向を読み、捉え、崩すという作業を一瞬で行う必要があり、肉体的な辛さはもちろんだが集中力を維持するのが難しい。加えて競技である以上、そこにはテクニックや駆け引きがあり、それを知る者と知らない者との差は明確だ。実際、無差別級では体格差に勝る選手が小兵の選手に、思いの外簡単に崩される場面も多く、改めて競技としての面白さを感じた。

推手大会
主催であり国際大会で優勝経験もある葛西真彦氏

 

主催者であり国際的な推手競技会で現役選手として活躍している葛西真彦氏は、

「団体や競技、流派等は一切問わないオープンな大会です。台湾では武術以外にもレスリングの選手や柔術、トライアスロンの選手が参加して活躍していますので、是非多くの方に参加して頂ければと思います。

実際にやってみれば分かりますが、競技推手は単純な力勝負だけでは勝てず、太極拳を中心にした中国武術の巧みな崩しの技術がフルに活用できる奥深い競技です。普段は別の武術・武道・格闘技を中心に活動されている方も、ぜひご参加ください」

と語り、来年にはさらに規模を拡大して開催したいという。

競技推手については改めて葛西氏へのインタビューをコ2でご紹介する予定だ。

 

大会結果

推手大会
入賞者全員による記念写真。

【男子軽量級】

優勝 上川 著芳
二位 米本 二一
三位 宇野 道夫

【男子中量級】

優勝 栗林 和寛
二位 リー・ティエン
三位 キアン・メイ

【男子重量級】

優勝 高崎 史義
二位 竹村 秀敏
三位 眞田 雅行

【男子無差別級】

優勝 栗林 和寛
二位 津覇 亮
三位 高崎 史義

【女子】

優勝 中田 葉子
二位 羽根田 淳子
三位 北村 恭子

【敢闘賞】
宇野 道夫、リー・ティエン

 

推手大会
各階級優勝者

 


全日本競技推手連盟

推手を競技として行なう「競技推手」の研鑽を通じて、伝統武術の振興を志向する団体です。
競技としての推手の研鑽を通じて、伝統武術の振興を志向します。単なる力やタイミング、スピードに頼らない、中国武術ならではの「力」の涵養を目指します。青少年にあっては故障しにくく、中高年になっても能力の維持向上が可能な身体づくりを心がけます。

【活動場所】東浦和
(住所:〒333-0862 埼玉県川口市北園町12-23 今井荘101号室 ※「極真館盧山道場」と看板が出ているところ)

【日時】毎週月・水・金曜日 19時〜21時

【料金】入会金8,000円 月額8,000円(週2回/月8回まで)
・月9回以上来る場合、月額10,000円(回数問わず)
・1〜4回/月の場合、2,000円/回数(5回/月以上の場合は上記ルールを適用)
【連絡先】
サイト: http://tuishoujapan.tumblr.com/contact
メール: tuishoujapan@period3.to

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–Profile–

葛西眞彦(Masahiko Kasai)(写真右)

かさい・まさひこ。1977年10月26日生まれ、青森県出身。間接護身アドバイザー。

日本在住時は意拳、フルコン空手、杖、剣道、逮捕術、合気道等を修行していた武術歴約30数年の元刑事。現職時代に大病を患い、発作で仕事もままならなくなったことから、漢方治療を受けるため早期リタイヤし台湾へ移住。

1年間の漢方治療を経て発作も収まり、体がある程度動くようになったため、台湾での本格的な中国武術修行を開始。

台湾では、中華民国八極拳教練資格を日本人として初取得、また同様に推手教練資格も日本人として初取得。

台湾で実施される競技推手世界大会を運営する団体に所属し、詠春拳と太極拳、八極拳を修業し、シニアの身の上でありながら、競技推手青年部での中量・重量級チャレンジを続け、優勝・入賞経験を積み重ね、その経験と技術を後進に伝えている。

日本の選手を団体流派の制限を一切問わず、最短の時間と努力で台湾大会に入賞・優勝するために必須の技術と哲学を公開指導。

競技推手大会開催地である台湾に居住し、常に参加選手、参加団体との交流があるからこそできる分析、解析を強みに、熱意のある方に情報を還元。

指導者としてのスキル研鑽にも力を入れ、関わった日本人全員が世界で優勝することを目標にして、指導と修業を並行した研鑽を続けている。

現在は競技推手のみならず、自由推手と養生推手および詠春のチーサオを融合させた、総合的な崩しと打撃へ対応できる技術を研鑽し、独自の境地を見出すための努力を続けている。

最終的には日本に帰国して、素手の崩しと武器の崩し、ランダム性の中で戦えるものを、刑事時代の経験等からも総合的な形でまとめた独自の技術として提唱すべく準備中。

執筆活動も精力的に行なっており、台湾では心理学と人相に関する本を1冊、護身術に関する本を1冊出版。

日本ではwebマガジン「コ2」にて、直接的な攻撃や抵抗の段階に入ることなく、事前に危機を察知、回避することを主体とした「間接護身」という独自の概念を紹介・解説するコラムを書籍化し、応用編を現在執筆中

主な入賞経歴
2016年10月、 台湾世界大会「第六屆世界盃太極與推手錦標賽」第七級(76〜83kg)にて三位入賞(台湾推手大会の入賞としては日本人初)。

2016年12月、 台湾全国大会「第十二屆志堅盃全國太極拳錦標賽」社男第五級(80〜90kg)にて優勝(台湾推手大会の優勝としては日本人初)。

2017年5月、台湾全国大会「第10屆道生盃武術錦標賽-定步推手比賽」第七級(82kg以下)にて優勝。

2017年10月、台湾最大の全国大会である「第7届總統盃全國太極拳錦標赛」青年男子第八級(83〜91kg)にて優勝。

2017年12月、台湾全国大会「第十三屆志堅盃全國太極拳錦標賽-定步推手比賽」第七級(91kg以下)にて2位。

2018年10月、台湾世界大会「第七屆世界盃太極與推手錦標賽」青年男子第七級(76〜83kg)にて2位。

2019年12月、台湾全国大会「第十五屆志堅盃全國太極拳錦標賽」小よく大を制すを体現するため、中量級の体重で最重量級に参加し、110キロ、115キロ、140キロの重量級選手を倒し優勝。

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