ケトルベルの第一人者・パベル・ツァツーリンとは
コ2 RKCの創始者であるパベルさんが、新たに作ったのがSFGなのですよね。
松下 そうです。基本的に当時のほとんどのインストラクターがSFGに移りました。
コ2 パベルさんが現在のケトルベル普及の第一人者であるとのことですが、どんな方なのでしょう?
松下 身長は180センチくらいでどちらかというと細身ですね。非常にジェントルマンである一方、プライベートについてはほとんど語らない人です。ケトルベルの理論を分かりやすく説明ができる人ですが、ただ最初からアメリカでケトルベルを教えていたわけではなくて、最初は開脚ストレッチ等のDVDを出したり、片手腕立て伏せや、片足スクワットだけについて本を書いたりして、それからケトルベルということのようです。
コ2 ケトルベルはロシア発ですが、パベルさんもロシア出身なのですよね?
松下 そうです。旧ソビエト連邦時代に16歳で徴兵で軍に入って、ケトルベルの指導員になったと聞きます。それがスペッツナズ(特殊任務部隊)だという話もありますが、その辺りはよく分かりません。
コ2 スペッツナズのケトルベルというのはなにか特殊なのでしょうか?
松下 以前読んだマニュアルに書いてあったのは、スペッツナズが空手を採用したときに、空手の呼吸や打撃に即したケトルベルの使い方があるということです。ただ詳しいところは私は分かりません。パベル自身は大学でトレーニング学を学んで、その後アメリカに渡ったそうです。最初の頃はミネソタ州セントポールの廃墟になった銀行の金庫室に間借りをして教えていたそうです。
コ2 凄い状況ですね(笑)。
松下 ええ。でもそこからネービーシールズ(アメリカ海軍特殊部隊)の隊員が出たりしたそうです。
コ2 アメリカでは現在どのくらい普及しているのでしょう?
松下 インストラクターの規模で数千人で、最近はホテルのジムにもケトルベルが置かれているところが増えているので、随分普及していると思います。
日本人初の認定インストラクターとして本に託した想い
コ2 松下さんは日本人としては初めての認定インストラクターですが、活動自体は何年からされているのでしょうか?
松下 最初のコースに参加後ですから2007年から行っています。
コ2 どんな方が学びに来るのでしょう?
松下 一番多いのは二十代から三十代の体力をつけたい男性ですね。「ジムには通えないし家にもスペースはないけれど、負荷の掛かるトレーニングを行いたい」という人ですね。
コ2 そうした人達がケトルベルを知る切っ掛けはなんでしょう?
松下 色々ですけれど私のブログを見てという人も多いですね。かなりの情報を出していたこともあるので。
コ2 情報ということでは今回の本もほぼケトルベルについては網羅されていますね。
正直“ここまで公開していいのだろうか?”と編集していて思うほどです。手の内を全部明かしているのではないでしょうか?
松下 確かに明かしていますね。でもそれはいいと思っています。やはりケトルベルが普及して欲しいという気持ちがありますし、同時に正しい使い方を知って欲しいというのがありますので。まあ、本音の部分ではこの本だけで全部できるようになったら凄いと思います(笑)。本当は本の中では一項目になっているスナッチなりジャークなり、それぞれのテーマで本が書ける程奥深いものですので。
コ2 この本を読んで、“まずは自分一人でやってみよう”という方に、どんなところを注意して行って欲しいでしょうか?
松下 本に書いてある通り、まず“安全に行う”ということです。これは文字通りの意味でもありますが、そう意識して使うことが、ケトルベルトレーニングの質の向上に繫がっているんです。
コ2 安全を意識して行うこと自体がトレーニングになるということでしょうか?
松下 そうです。例えて言うなら居合の稽古をされる人が、稽古で使う真剣を丁寧に扱うのと同じで、“危険なものを扱っている”という意識があることで、重いものが挙がったり、個々のスイングの質はもちろん、トレーニング全体の質を高めてくれるのです。
コ2 なるほど。
松下 もうひとつは、短期的に行うのではなく、長い眼で見て行って欲しいですね。短期的に身につけたものは失うのも早いです。“地の力”を身につけるためにも、トレーニングを継続して、この本を何度も読み返して欲しいですね。トレーニングを始めて5〜6年目で読み返すと、また違う意味でとらえられるようなことも沢山書いてありますので。「大事にとっておいてください」という感じです。
コ2 ウェイトトレーニングということで、既にバーベルなどの通常のウェイトをされている人がトライすることもあると思いますが、そういう方にはどんなアドバイスがありますか?
松下 ケトルベルはバーベルトレーニングを向上させるための階段になると思います。“いままで挙がらなかったバーベルを挙げるために、ケトルベルを行う”という捉え方もあるでしょう。
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