鈴木秀樹の『エクレアと人間風車』 第一回 僕の師匠、ビル・ロビンソン

| 鈴木秀樹

 

ロビンソンは、CACCの他にも高校だか中学だかの時、YMCAでフリースタイルのアマチュアレスリングも少しやったと言ってましたね。マンチェスター出身なんですが、地元にはアマチュアレスリングといっても、いくつかスタイルがあったらしくて。

イギリス全土でグレコローマンの他に、大きく分けて4個のローカルなレスリングスタイルがあったそうで、

  • 「カンバーランド・ウエストモーランド・スタイル」(スコットランドの山岳地帯で盛んになった互いにクラッチした状態でスタートするレスリング)
  • 「コーニッシュ・スタイル」(上半身にジャケットを着用する日本の柔道に似たレスリング)
  • 「デボンジャー・スタイル」(英国南西部のデボンで古くからあるスタイル。組み合う過程で相手の下半身を蹴ることが認められる)

そして、最もシンプルでピンフォールの他にサブミッションで相手を降参させる、

  • 「ランカシャー・スタイル」

つまりCACCですね。

クラッチしたまま倒し合うものは、手を離しても負けで、これは練習でもやりましたよ。どうしても倒す時に手を離しちゃうんですけど。でもおかげでクラッチしたまま投げる技術は上手くなりましたね。握力も強くなりますし。あとYMCAではレスリングの他に、ラグビーもかなり好きでやっていたみたいですね。「コンディショントレーニングとしていいぞ」と言ってましたし、スーパーボウルとかを見るのも好きでした。日本にいた時も、ラグビーや相撲観戦に行ってましたよ。

それとボクシング。お父さんがハリー・ロビンソンというリングネームで地元のチャンピオンだったそうです。そのお父さんのことを尊敬して始めたらしいです。でもロビンソンが青果店でバイトをしている時に、近くで遊んでた友達の投げたブリキの看板が目に当たって、後遺症の残る怪我をしちゃったんです。それで「ボクシングは諦めろ」とお父さんに説得されたこともあって、同時期に始めたレスリングをやることにしたそうです。レスリングなら掴めばなんとかなるじゃないですか。

 

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–Profile–

鈴木秀樹選手

鈴木 秀樹(Hideki Suzuki
すずき・ひでき/本名同じ。1980年2月28日生まれ、北海道北広島市出身。生まれつき右目が見えないというハンディを抱えていたが、小学生時代は柔道を学ぶ。中学時代にテレビで見ていたプロレス中継で武藤敬司に魅了され、プロレスの虜になる。専門学校卒業後、上京。東京・中野郵便局に勤務。2004年よりUWFスネークピットジャパンに通うようになり、恩師ビル・ロビンソンに出会う。キャッチ・アズ・キャッチ・キャンを学び、2008年11月24日、アントニオ猪木率いるIGF愛知県体育館大会の金原弘光戦でデビュー。2014年よりフリーに転向。ZERO1やWRESTLE-1、大日本プロレスなどを中心に活躍。191センチ、115キロ。
2017年1月に日貿出版社より『キャッチ アズ キャッチ キャン入門』を発表する。

Web Site:鈴木秀樹オフィシャルサイト

『キャッチ アズ キャッチ キャン入門』