連載 ココロとカラダを繋げる ボディコンシャストレーニング10-02「スクワットを見直そう!」(後編)

| 大久保圭祐

巷に溢れる様々なトレーニング理論。それぞれに新しい知見やグッズ、時には有名選手のお薦めもあり、どれも魅力的ですよね。だけど本当に大事なことはトレーニングを行うあなた自身。誰かが「正しい」と言われる方法や理論を「正しく」実践しようと思うあまり、自分のココロやカラダがどう感じているかを忘れていませんか?

この連載ではトレーナーでありロルファー™️である大久保圭祐さんが、ボディワーク・ロルフィングⓇの視点を取り入れた「カラダを意識したトレーニング法“ボディコンシャストレーニング”をご紹介します。意識を変えてカラダの声を聞くことで、いつものトレーニングが「あなた専用のトレーニング」に変わります

 

ココロとカラダを繋げる

ボディコンシャストレーニング

第10回-02 「スクワットを見直そう!」(後編)

大久保圭祐

 

Image: iStock

 

◯ステップ3、足首の水平性を意識して、膝の位置を見直す

第9ー03回で触れた「隔膜構造」の意識を使い、足首の水平性を意識しながらスクワットに取り組みます。あえて片脚だけ取り組んだ状態でスクワットをして、左右の脚の違いを感じてもらうとわかりやすいです。

① 一方の足首を両手で前後、または左右から囲うようにタッチしてMRIのような輪切りの視点で見た水平面を意識します。

② 次に地面と足裏との接点で感じる地平線と、今作った足首を囲んだ水平面に平行の関係性を意識します。

③ 平行の関係性の意識を維持しながら、スクワットに取り組みます。

 

いかがですか?(取り組んだ足の方が脚が真っ直ぐに感じる)(地面がしっかりと押せる)(自然と膝が良い位置にきている)といった違いを感じられるでしょう。

実際にトレーニングする時は、反対側も忘れずに、両側をワークしてから取り組んでください。

ボディワーク・ロルフィング®︎では、この様に足首がしっかりとグライド(滑らかな)する動きを大切にします。足首が滑るように気持ちよく動くのを感じるかと思います。

これは足首に一巻きテーピングをしたり、足首のサポーターをした時の感覚と似ています。どちらも足首の強化や保護と同時に、地面との平行や垂直感覚を意識しやすくさせてくれるからです。

また足首がよく動くだけでなく、その上のパーツを乗せる感覚や脚の軸を感じやすくなったりします。

ボディワークでは気づきを得ることが大切で、頭で(平行を意識すれば足首がスムーズに動く)とただ知るだけでなく、その動作が出来ることでもなく、実際に体の内側にスペースを持って、意識を向けて取り組み、些細なことを意識して生まれてくる動きや感覚を大切にします

 

◯ステップ4、内太ももを意識して、体幹をしっかりさせる

スクワットに限らず動作中に体がブレてしまう方にオススメなのが、内太ももに何かを挟む意識です

少し難しいお話になりますが、内太ももの筋肉は、構造的に脚の付け根の深部にある筋肉、体幹部の深部の筋肉へと繋がっていて、影響し合っていると言われています。

そのため内太ももを緊張させると、それがお腹まで伝わり、体幹部が安定して動作も安定します

また、内太ももは骨盤や体幹を支える位置にあるので、内太ももを緊張させることで、骨盤や体幹に対して「足場」の役目をしていることを感じることが出来ます

① いきなりスクワットをしている時に意識をするのではなく、座位か立位で「挟もうと意識する」確認をしてみましょう。実際に挟む動作をしてしまうと内股になってしまうので「挟もうと意識する」だけです。

② 内もも全体に力が入るのを感じたり、骨盤周りに緊張が生まれるのを感じられます。中には下腹部や骨盤の底面にも緊張が生まれるのを感じられます。両脚を近づけようと意識するだけで、実際に近づける必要はありません。(挟もうかな)なんてほんのちょっと意識するだけで内太ももが緊張するのを感じることが出来ます。

③ では、この感覚を意識したままスクワットをしてみてください。内太ももにボールを挟んでいるようなイメージですね。実際には上体を下ろしていく時に、若干脚が開きますが、意識としては内太ももを閉じる意識で行います。でも閉じる動作はしません。ここが難しいところです。

④ 元の位置に戻ってくる時も、実際に内太ももを閉じてしまわず、閉じる意識だけです。

 

いかがでしょうか? 一番はじめにスクワットをした時と比べて、どんな違いがありますか? 目で見てもわかるくらいに脚全体がブレなくなったり、いつもより回数がたくさん出来てしまうくらいに、地面を押せて上がってくるのが楽に感じたりしませんか?

内太ももに力を入れると体幹が安定する、お腹に力が入ることは、さまざまなシーンで言われています。でも実際に体を動かす時には実際に感じられていないことが多いのです。

その大きな理由は、いざ体を動かそうとすると、それまでの「慣れ」が顔を出してしまうからです。ボディコンシャストレーニングは、一旦その「慣れ」を忘れて、もう一度自分の体と静かに、じっくり向き合うことを大事にしています

そうして得た気づきを大切にして、改めて体を動かすことで、スクワットの時には、内太ももを意識することで体幹が安定することを感じられトレーニングが充実します。

 

◯ステップ5、上肢の動きを意識して、無駄な緊張を取り除く

スクワットは下半身が動いているため、下半身に意識が向きやすく、知らずの内に上半身を緊張させていることがあります。
そんな時は、スクワット中に生まれている上半身の僅かな動きに意識を向けます。

頭と首の境目を意識する

背骨の一番高い位置である頭と首の境目の動きに意識を向けます。

特にスクワットような全身運動では頭と首の境目を緊張させて「詰めて」しまうことが多いです。

スクワットの時に限らず、日常でも頭と首の境目の実際のスペースを詰まらせないようになると、首コリや顔のむくみ、頭の疲労感などの改善が期待出来ます

①耳の後ろにある骨の出っ張りを確認します。この左右の出っ張りを結んだ高さが、背骨の一番てっぺんと後頭部の境目と言われています。
左右の出っ張りから出っ張りへとなぞるように指で軽く押して境目に触れて、触れられている感覚に意識を向けます。

②実際にスクワットの時に、その境目が僅かに動くのを感じようとしてみてください。あるいは緊張させて「詰めて」しまっていないか確認します。

 

スクワットの動作に合わせて動かそうとするのではなく、その部分に意識を向けてただ動いているのを感じようとしてみるだけOKです。

このようにわずかな動きや感覚に意識を向けることは、無駄な緊張を取り除くコツの一つです。

いまひとつ感覚が掴みづらい場合は、まずは頭を前後に倒す動きを確認してみます。

①左右の耳の穴に指を軽く入れ、指の先端を結んだ線を「軸」と意識します。

②その軸をぶらしたり、移動させたりせず、頭を前後に倒す動きを確認します。その時に、先ほど確認した頭と首の境目に意識を向けると、実際に動いているのを感じることができます。

③その感覚を意識したままスクワットを行います。

 

首の後ろを詰めずにかといって、顎を思いっきり引いたままとも異なり、フワフワと頭が自然に動くのを許してあげる感じです。イメージは「赤べこ」の頭が揺れている感じですね。

肩甲骨の動きを意識する

スクワットをやっている時に、第9-01回で確認した肩甲骨に意識を向けてみてください

肩甲骨と肋骨がスルスルスライドするような動きを感じます。僅かな動きで、感覚を見つけるまでに少し時間が掛かることがあるのですが、一度見つけることができると、その感覚を持続して感じることが出来るので、頑張って探してみてください。

こちらも普段から意識してもらうと、日常のなかで上半身を緊張させていることに気づくことが出来ます。そんな時はこのスライドを意識することで肩こりや首こりの根本からの改善が期待出来ます。

 

独特な疲れを感じたら、意識できている証拠!

スペースを持ってしっかりと意識してトレーニングに取り組むと、筋肉痛などとは違った疲労感が残りませんか?

意識することは、ただ体を動かすだけよりもたくさんエネルギーを使います。正確なことは言えませんが、第7回で触れた通り、頭を働かせる唯一のエネルギーである糖質が使用されるのではないかと思います。フルマラソンやウルトラマラソンでも、走っている時に、無駄にあれこれ考えたり、視線をあちこちに送ったりするとエネルギーを消耗してしまうなんて言われています。

実際に、ロルフィング®︎を勉強するためのトレーニングの時に、生徒同士でプラクティショナー役とクライアント役に分かれて、1日おきに交代してセッションを交換する期間があります。

一般的に考えれば、体を動かして施術をするプラクティショナー役の方が疲れると考えますが、多くの生徒は「施術を受けるクライアント役の方が疲れる」と言います。

ロルフィングはプラクティショナーがメインではなく、双方、もっと言えば、クライアントがメインとなって、意識したり細かな動きに取り組むからです。動きとしては大した動作ではないですが、普段使わない様な体の使い方をしたり、普段は気がつくことのない感覚に意識を向けます。それがとてもエネルギーを使い、独特な疲労感を生むのです。

ですからここで紹介していることも、慣れるまでに少し時間が掛かり、その間いつもよりエネルギーを使います。

見方を変えれば、意識してトレーニングを行うことは、それだけでダイエットや見た目のシェイプにも有効だということです。そこで(糖分が切れたから)といって糖質だけでなく脂質も含むような物を口にしていまっては元も子もないですが(笑)。

次回は『シットアップ(腹筋)』を紹介します。

(第10回(後編) 了)

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–Profile–

大久保さん

大久保圭祐(Keisuke Okubo)
パーソナルトレーナー、ロルファー™️。大学在学中にキックボクシング部の主将として活躍、プロライセンスも取得する。卒業後はいったん食品系専門商社に勤務するが身体への関心を捨てきれず、パーソナルトレーナーの道を選ぶ。過去の運動や減量経験などを活かしたボディメイクの指導者をするなかで、ボディワークの“Rolfing®”に興味を持ち、渡米してRolf Institute®を卒業する。現在は、各種メディアや店舗にてエクササイズの監修、セミナー講師、コラムの執筆など幅広く活躍中。
著者『筋膜ボディセラピー(三栄書房)』

Web site 大久保圭祐公式サイト