連載 ココロとカラダを繋げる ボディコンシャストレーニング11-02「シットアップを見直そう!」(後編)

| 大久保圭祐

巷に溢れる様々なトレーニング理論。それぞれに新しい知見やグッズ、時には有名選手のお薦めもあり、どれも魅力的ですよね。だけど本当に大事なことはトレーニングを行うあなた自身。誰かが「正しい」と言われる方法や理論を「正しく」実践しようと思うあまり、自分のココロやカラダがどう感じているかを忘れていませんか?

この連載ではトレーナーでありロルファー™️である大久保圭祐さんが、ボディワーク・ロルフィングⓇの視点を取り入れた「カラダを意識したトレーニング法“ボディコンシャストレーニング”をご紹介します。意識を変えてカラダの声を聞くことで、いつものトレーニングが「あなた専用のトレーニング」に変わります

 

ココロとカラダを繋げる

ボディコンシャストレーニング

第11回-02 「シットアップを見直そう!」(後編)

大久保圭祐

 

Image: iStock

◯ステップ3、地面との接点を意識して、お腹の筋肉を縮める

腹筋をすると前太ももや脚が疲れてしまう方にオススメなのが、地面との接点の意識です。この連載で何度も登場している地面との関係性(バックナンバー第5回で紹介しています)は腹筋でも有効です。

地面との関係性をしっかりと築くことで、力を生み出す支えがうまれ、自分の体を強く緊張させることなく腹筋に取り組むことが出来ます。これがないと、自分の体に支えを作るために前太ももや脚の付け根に緊張が生まれてしまいます。

これまでも地面との関係性を紹介していますが、今までとの大きな違いは、動作中に地面との接点が移動することです。
今回はトレーニング中に接点が移動するため、これまでの(地面とつながっているんだな)という感覚を一歩進めて、(地面から生まれた力が動作につながっている)という感覚を掴みたいと思います。

こちらも先ほど紹介したクランチで地面との関係性を確認します。

1.仰向けの体勢になり、地面との接点に意識を向けてみてください


2.大抵の方が、背中全体と骨盤の中心の仙骨辺りが地面との接点になっているのを感じることができると思います。


3.おへそを覗き込むように上体を起こしていきますが、少しずつ地面との接点が頭から順に離れていくのと同時に、腰など地面との接点が濃くなっていく部位も感じることが出来ます

地面の接点をしっかりと押すことによって上体を起こしているのを感じることが出来ます。この地面を押すことによって動作が生まれている感覚をしっかりと感じます。

4.上体を下ろしていく時にも、下から順に地面との接点が生まれてくるのを感じます。今度は逆に地面との接点が少しずつ広がっていく感覚を得られていますか?


5.何度か繰り返してみてください。

腹筋運動は以前の私のように、ただただ腹筋を割りたいといった目標で、あまり地面との繋がりを意識しないで取り組んでしまうことがあります。

より数を増やす、動作にねじりを加えるなど刺激を強くすることだけに集中してしまうと、地面との繋がりはなくなり、何か動作をする時にも体の中に緊張を作って力を出そうとします

とはいえ体のどこかを緊張させることを土台にして腹筋を鍛えること自体は決して悪いことではありません。

それはそれで空中で動作を行うシーンが多いスポーツ(バドミントンやバレーボール、バスケットなど)は、体のどこか(体幹が多いと思いますが)を緊張させて固定する必要があります。そんな時は、地面と繋がらずに体の緊張を土台にして動作を生み出す必要があります

様々な意識のパターンを増やし、場面に合わせて使い分けられることが理想です。そのパターンだけに囚われて体を使うようになってしまうと“クセ”を生み出してしまいます。

目的の動作に合わせて、負荷を加えて動作を反復する筋トレは、同じ動きをするにしても、何を意識して何を感じて動くかによって、生まれてくる動きが異なることを探求しやすいです。

筋トレで鍛えた筋肉が使えないのではなく、使用する場面とマッチする動きのパターンの意識を作ってあげることが大切なのです

 

【シットアップのやり方】

お腹の筋肉を意識して感じること、地面との接点から動きにつなげる意識を確認したので、ここでシットアップのトレーニングを紹介します。

  1. 仰向けになって膝を立てます。足首を立てるとお腹に力が入りやすくなります。

  2. 腕は「体の前に伸ばす」「胸の前で交差する」「頭の後ろに手をあてる」の順に強度が上がりますが、無理のないフォームで取り組みます。先ずは、手を前に伸ばして取り組んでみましょう

  3. 顎を引きながら上体を頭から順に背骨までしっかり丸めて、上体を起こします。

  4. 今度は今の動作と全く逆に、骨盤から背骨、背骨の下のパーツから順に地面に降ろします。この動きを繰り返します。

注意したいことは、脚を緊張させてしまったり、反動を使わずに起き上がることです

また、腹筋をすると首が疲れてしまう方は、クランチの時に確認したように、頭蓋の平面に意識を向けて、顎をしっかりと引いてみてください。

お腹の筋肉は、スクワットで扱った太もも周りの大きな筋肉と異なり、膜に近い薄い筋肉です。トレーニングで傷がついても疲労が溜まっても回復しやすいと言われています。ですので、シットアップを中心とした腹筋のトレーニングは、毎日取り組んでもらうと良いです。

続いては、シットアップやクランチをする時のパフォーマンスアップにつながる意識です。

 

◯ステップ4、内太ももの緊張を意識して、腹部の力発揮をサポートする

内太ももに何か物を挟む意識(第10回、スクワットの時に紹介した意識です)を持って取り組みます

内太ももの筋肉は、脚の付け根の筋肉、お腹の深層部の筋肉との繋がりが強いと言われています。そのため、内太ももに力を入れると、脚の付け根の奥の筋肉や、腹部の奥の筋肉に力が入ります。するとお腹に力が入りやすくなったり、身体にブレがなくなって、動作に力が伝わりやすくなります。

実際に確認してみましょう。

  1. お腹に手をあてます
  2. 手をあてたまま、内太ももを緊張させる意識をしてみてください。実際に力一杯膝と膝をくっつけたり押し合ったりする動作を行う必要はありません。
  3. すると、手をあてているお腹の奥の方で、動くというか硬くなる、緊張する感触がありませんか?
  4. 今度は逆に、お腹に意識を向けて、全く緊張させたり力んだりせずに内太ももを緊張させる、あるいは実際に動かそうとしても難しく、表面が硬くなるとか動くのではなく、奥側の方で動きがあるかと思います。

これを利用して、お腹に力を入れることが難しい時に、(内太ももに何か挟む)意識を持ってもらうとお腹にも力が入り、いつもよりしっかりとお腹の筋肉を使ってトレーニングを行うことができます。

 

◯ステップ5、背中を伸ばす意識で、お腹の筋肉を使う

このシットアップは身体を丸めることで動作が生まれます。見た目の動作は一緒ですが、意識の仕方を変えて取り組みます。

  1. シットアップをスタートする体勢になります。
  2. ここでお腹に意識を向けるのではなく、第9ー02回で確認した脊柱に意識を向けます
  3. (お腹を縮める)ではなく(背骨を伸ばす)意識で、体を丸めていきます

どうでしょう?

一気に地面から上体を持ち上げようとするよりも、頭から順々に地面から上体が離れていくのを感じやすくなります

(お腹を丸める!)(凹ます!)と意識してシットアップに取り組んでも力の入れるタイミングが掴めなかったりズレてしまったり、一定の部位(首の前など)だけが反応してしまって上手く起き上がることが出来ないことがあります。

闇雲に上体を起こそうとして力の入れ方がわからない方、シットアップの時に上体が丸まらず立てたまま起き上がろうとして腰が疲れてしまう方など、この方法で行うと順序よく円滑に気持ちよく体が丸まっていくのを感じることが出来るはずです。

今回はシットアップ(腹筋)を紹介しました。既にトレーニングされていた方は、何かのヒントやサポートになったでしょうか? 以前にシットアップをやっていたけど、いまいちやり方がわからないとか、かえって腰が痛くなってしまったなんて方に、ぜひ取り組んで頂きたいと思います。

次回は、プッシュアップ(腕立て伏せ)に触れたいと思います

(第11回(後編) 了)

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–Profile–

大久保さん

大久保圭祐(Keisuke Okubo)
パーソナルトレーナー、ロルファー™️。大学在学中にキックボクシング部の主将として活躍、プロライセンスも取得する。卒業後はいったん食品系専門商社に勤務するが身体への関心を捨てきれず、パーソナルトレーナーの道を選ぶ。過去の運動や減量経験などを活かしたボディメイクの指導者をするなかで、ボディワークの“Rolfing®”に興味を持ち、渡米してRolf Institute®を卒業する。現在は、各種メディアや店舗にてエクササイズの監修、セミナー講師、コラムの執筆など幅広く活躍中。
著者『筋膜ボディセラピー(三栄書房)』

Web site 大久保圭祐公式サイト