連載 ココロとカラダを繋げる ボディコンシャストレーニング12-01「プッシュアップを見直そう!」(前編)

| 大久保圭祐

巷に溢れる様々なトレーニング理論。それぞれに新しい知見やグッズ、時には有名選手のお薦めもあり、どれも魅力的ですよね。だけど本当に大事なことはトレーニングを行うあなた自身。誰かが「正しい」と言われる方法や理論を「正しく」実践しようと思うあまり、自分のココロやカラダがどう感じているかを忘れていませんか?

この連載ではトレーナーでありロルファー™️である大久保圭祐さんが、ボディワーク・ロルフィングⓇの視点を取り入れた「カラダを意識したトレーニング法“ボディコンシャストレーニング”をご紹介します。意識を変えてカラダの声を聞くことで、いつものトレーニングが「あなた専用のトレーニング」に変わります

 

ココロとカラダを繋げる

ボディコンシャストレーニング

第12回-01 「プッシュアップを見直そう!」(前編)

大久保圭祐

 

Image: iStock

プッシュアップを捉え直す

体の内側に作ったスペースを潰さないようにトレーニングを行うことが、この連載の一番のポイント。

それを踏まえて、今回からはシットアップ、スクワットに続き、第十二回目ではプッシュアップ(腕立て伏せ)をステップを踏んで紹介していきます

プッシュアップで鍛える胸の筋肉は、胸の中心から腕の付け根に集まる扇型をした筋肉(大胸筋)です。脇の下の窪みの前側です。男性であれば「厚い胸板」、女性であれば「バストアップ」に関わる筋肉です。

プッシュアップで胸に“効かせる”ことは意外に難しく、実際にプッシュアップをしても、胸の筋肉が縮んだり緊張したりする感覚が得られず、腕や肩を無駄に緊張させてしまっていることがあります。

そのままでは胸のトレーニングではなく、腕裏(それはそれで良いケースもありますが)だったり、肩の筋肉のトレーニングになってしまいます。

そこで、まずはプッシュアップに取り組む前に、しっかりと胸の筋肉を使って取り組める様に、順に意識を確認していきます

○ステップ1、指の間を意識して、手を拡げる

スクワットやシットアップと同様に、プッシュアップに取り組む時に地面との関係性を見直してあげます

プッシュアップを頑張ろうとするあまり、地面を掴むように手を力んでいたり、手のひらが地面から浮くほどに緊張させていると、手のひらだけではなく、手首、腕、肘、肩、首、体幹と全身も一緒に緊張してしまいます。
まずはそれを実際に体感してみましょう。

1.プッシュアップが得意な方も、しっかりと感覚を確かめるために最初は四つ這いになって試します。


2.両手を地面に着いて、肩の下に手首、股関節の下に膝が位置しているのを確認します。


3.頭から尾骨を一直線になるように、第9-02回で確認した脊柱を意識します。

四つ這いが確認出来たら、手と体幹の関係を確認します。

4.あえて手で地面にしがみつくように力を入れようとしたり、接地面積を広くしようと力いっぱい指を開こうとしてみてください。

手から腕、体幹部の方へ緊張が伝わり、首の方まで体全体に緊張が生じ、力はこもっているものの地面に伝わらず、体を動かしたい方向への力が生まれません。

実は手が緊張して硬くなっていると、手首や、肘、肩も緊張してしまうのです逆に手を柔らかくできると、プッシュアップの時に腕が硬くならず、肘や肩もスムーズに動きます

5.今度は緊張させていた手をゆるめてみてください。肩や首の緊張具合もフワッと消えるのを感じますね。支えている腕や手に重さが加わるのを感じます。

意外にプッシュアップの時に地面と接点となる手を意識する人は少なく、「プッシュアップが苦手」「胸に効いている気がしない」という方の多くにこのパターンが見られます。

実際に手を柔らかくするには、第10回で触れたスクワットの時の足と同じように、しっかりと手でグラウンディングします

それでは手の構造を確認しましょう。

1.片手で掌側と甲側両方から挟むように感触を確認し、手首から手のひらの3分の1くらいまでは比較的小さい骨が隙間なく密集しているのがわかります。


2.同じように掌の上3分の2くらいまでの感触を確認すると、5本横並びに長い骨があり、それぞれの間には若干の柔軟性があるのを感じられます。


3.その延長線上には5本の指があり、親指が2個、残りの四指はそれぞれ3個の指の骨からなっています。実際に指を見ると節があるのを確認できます。こうした手の構造を確認してから(手のひらの中心から指を開こう)と意識して手を開くと指の開き具合が変わってきます。


4.指を横に広げるのではなく、まるでサーカスのピエロの手のように(それぞれの指が手のひら中心から扇のように伸びていく)と意識をします。同じ手を開くでも、(指を開こう)とするより(指と指の間のスペースを開こう)と、あまり緊張させることなく行ってみてください。指を開いて手を緊張させるのではなく、指と共に手のひらも開く感じです。自然に肩や首などの緊張が抜けるのを感じる方もいらっしゃるかと思います。


5.あえて片側だけ取り組んだ時点で、この手の柔らかさを保ったままプランクに取り組んでみてください。取り組んだ方の手と取り組んでいない方とでは、手の感触だけでなく、手首や肘、肩などへの影響を感じられる方もいらっしゃるかも知れませんね。


6.反対側も取り組んでみてください。地面を捉えられて上体が安定します。いかがですか?いつもより無駄な緊張がなく地面を押すことが出来るでしょう。

プッシュアップなど地面に手をついて行う運動の時は、なるべく地面との接点を広くすることで、手首の負担が軽くなり、体が支えやすく安定します。また、プランクの様に静止して体を支えている時よりも、プッシュアップの様に手首や肘、肩などの関節の動きを伴いながら支える時は、手が柔らかく使えていないと、上体を下ろしたり持ち上げたり動作時に関節に負担が掛かると言われています。

後ほど、改めて一方の手だけを柔らかくしてプッシュアップに取り組んで、手首や肘、肩の感覚を確かめてみてください。

 

○ステップ2、軸、体幹の水平性を意識して、プランクを保持する

プッシュアップの時にはプランクの体勢が含まれており、その姿勢を保持します。それを軸、隔膜構造の意識を使って見直してみたいと思います

1.手を柔らかくして地面に触れてみてください。


2.膝を地面から浮かし、頭からカカトを一直線にする様に第9ー02回で確認したプリバーテブラ(脊柱の前側ですね)を軸として意識します。


3.次に第11回目のステップ2でクランチを確認した時と同じ様に、体幹部の隔膜構造(横隔膜と骨盤底筋群)を意識して、平行の関係性を保持してプランクをします。


4.第9-03回で確認した隔膜構造の場所を思い出して、平行の意識を向ける箇所を増やしてみましょう。一度に全てを意識することは難しいので、頭部と体幹、膝と体幹などの隔膜に対して水平の関係性を意識します。

漠然とプランクの形を保持する、あるいは(お腹の筋肉を使うぞ!)と取り組むのと、背骨という軸、軸でもプリバーテブラ(脊柱の前側)や隔膜構造同士に平行の関係性など、意識することを明確にして取り組むのとでは、取り組みが変わりますね。

(第12回01 了)

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–Profile–

大久保さん

大久保圭祐(Keisuke Okubo)
パーソナルトレーナー、ロルファー™️。大学在学中にキックボクシング部の主将として活躍、プロライセンスも取得する。卒業後はいったん食品系専門商社に勤務するが身体への関心を捨てきれず、パーソナルトレーナーの道を選ぶ。過去の運動や減量経験などを活かしたボディメイクの指導者をするなかで、ボディワークの“Rolfing®”に興味を持ち、渡米してRolf Institute®を卒業する。現在は、各種メディアや店舗にてエクササイズの監修、セミナー講師、コラムの執筆など幅広く活躍中。
著者『筋膜ボディセラピー(三栄書房)』

Web site 大久保圭祐公式サイト