連載 ココロとカラダを繋げる ボディコンシャストレーニング13-03「ウォーキングを見直す」

| 大久保圭祐

巷に溢れる様々なトレーニング理論。それぞれに新しい知見やグッズ、時には有名選手のお薦めもあり、どれも魅力的ですよね。だけど本当に大事なことはトレーニングを行うあなた自身。誰かが「正しい」と言われる方法や理論を「正しく」実践しようと思うあまり、自分のココロやカラダがどう感じているかを忘れていませんか?

この連載ではトレーナーでありロルファー™️である大久保圭祐さんが、ボディワーク・ロルフィングⓇの視点を取り入れた「カラダを意識したトレーニング法“ボディコンシャストレーニング”をご紹介します。意識を変えてカラダの声を聞くことで、いつものトレーニングが「あなた専用のトレーニング」に変わります

 

ココロとカラダを繋げる

ボディコンシャストレーニング

第13回-03 「ウォーキング(歩き)を見直す」

大久保圭祐

○腕振りとウォーキング

前回までは怪我が原因で、左脚へ意識が向かず体のバランスを崩していたクライアントさんへ行った実際のワークを紹介しました。

次に取り組んだのは、上半身と下半身の動きに関係性を作ることでした。ウォーキングは脚を動かしますが、腕の振りで脚をコントロールすることができます。

ここでは【ジャイロコンパス】という『参考図書:古武術で毎日がラクラク!疲れない、ケガしない「体の使い方」』(指導:甲野善紀、文:荻野アンナ 祥伝社)に紹介されているワークを参考にさせて頂きました。

こちらのワークでは、立ち上がり動作の時に腕を前回しするか後回しするかによって、立ちやすさに影響することを紹介しています。

これは立ち上がり動作だけでなく、ウォーキングやランニング時も、腕を(前回し)する時と(後回し)する時とで脚の運びが変わってくるのを感じることができます

腕を(前回し)をしながら歩くと脚が持ち上げやすくなり、前太ももの筋肉を使って歩いているのを感じます

それに対して、腕を(後回し)でして歩くと、脚が体の後ろ側にある時間が長くなり、先ほど紹介した脚を置いてくる感覚が強くなります

ただ、ずっと腕を巻いて歩くのは難しいので、腕を上方向から前回しの「意識」を持って腕を振ります。実際に回すのではなく、腕を振る時に(前回し)する「意識」を持ちます

違いを実感するために、同じように腕を(後回し)する「意識」を持って腕を振って比較してみてください。

(※実際のエクササイズは下で紹介するワークの動画の後に入っているので見てください)

どうでしょう? 歩き方が変わり、使っている筋肉が異なるのを感じることができますか?

 

◯腕から足へアプローチする!

上肢に比べてパーツが大きい下肢を繊細に動かす時には、先ずは上肢で感覚を意識付けをしたり、上肢と下肢で同じ動きを同時に取り組むと上手くいくことがあります

例えば、足指を動かすエクササイズをする時には事前に手で同じ動きを確認しておいたり、手と足で同時に行うと足指が動きやすくなります。

また、第12回のプッシュアップで確認した深層の感覚を意識づけする時なども、感覚が得やすい上肢のパーツで確認してから、下肢のパーツの意識付けに取り組むと上手くいくことが多いのです。

コ2で「筋共鳴®︎ストレッチ」を連載中の扇谷孝太郎さんが書かれているように、我々の御先祖様が四つ足で動いていた時の名残りで、腕も脚も共鳴するように動いているのかもしれません。

実際に急な坂道や階段を上がる時は(後回し)を意識すると、軸足がしっかりして反対の脚が持ち上がりやすくなります。

逆に平地を歩いたり走ったりする時は(前回し)を意識すると体が自然に前に進み易く、スピードを出すことができます。

腕をコントロールして状況に応じて使い分けることができるのです。

大事なのは、こうして動きを通じて“全身が繋がっているんだな”と感じることです。

軍隊の行進の様に一方の腕や足を厳密にコントロールしようとするのではなく、脚を一歩動かせば、体幹を通じて自然に腕も動く、この繋がりを感じることで、改めて“体はひとつ”であることを体感することが理想です

・腕の動きを体に伝えるワーク

それでは腕の動きが、全身へと繋がり影響することを深める簡単なワークをご紹介しましょう。

  1. 肘を曲げて、肘(肘頭と言います)に触れます。
  2. 延長線上に小指の先端があるのを確認します。
  3. 肘頭から小指の先端までを、骨を辿る様にして触れます。
  4. 触れた場所を軸と意識して、肘から先(前腕部と言います)を内回し、外回しする動きを何度か繰り返し、スムーズに動くのを味わいます。

ではまず、片方だけ終えて歩いてみてください。

前腕部が軽く感じたり、歩く動作中でも僅かに前腕部の捻れの動きが感じられ、肩や首、体幹へと繋がるのを感じられますか?

同じ様に反対側も行ってくださいね。

こうして体の繋がりを体感できると、デスクワークで生まれる前腕部のちょっとした緊張が肩こりや首こりに繋がって影響するのも納得できますね。


今回ご紹介しているクライアントさんは5年前からお身体を診させて頂き、ウォーキングをボディワークしました。

こうして振り返りながら書いてみると、順序よく時系列でキレイに並んでいますが、当初は中々切り口が掴めず、少しずつお話を伺いながら進めていきました。

最初は「筋力がない」と仰るクライアントさんのお言葉をそのまま受け止め、トレーニングに取り組んだのですが、重さや回数など負荷を掛けてもスイスイこなしてしまい、それでも「姿勢が崩れてしまう」「歩きにくい」「坂道が辛い」と言われてしまいました。

それらのご要望を全て解決できた訳ではありませんが、トレーニングの取り組みの中にスペースを持って意識を作り上げていくことが、クライアントさんのゴールに向かっていくサポートとなりました

最初、お越しいただいた目的は、姿勢の改善や疲れない体作りでしたが、いつからかご自身で大きな目標に取り組まれていました。

それは、ご家族でお休みの日を使って東海道を数回に分けて歩かれていて、京都のゴールまで到達されたとのこと。合計約600kmにも及びます。

ご家族からは「今度は中山道を歩こう、なんて言わないでくれよ」なんて言われている様です。

次回はいよいよ最後のテーマ「ランニング」です

(第13回03 了)

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–Profile–

大久保さん

大久保圭祐(Keisuke Okubo)
パーソナルトレーナー、ロルファー™️。大学在学中にキックボクシング部の主将として活躍、プロライセンスも取得する。卒業後はいったん食品系専門商社に勤務するが身体への関心を捨てきれず、パーソナルトレーナーの道を選ぶ。過去の運動や減量経験などを活かしたボディメイクの指導者をするなかで、ボディワークの“Rolfing®”に興味を持ち、渡米してRolf Institute®を卒業する。現在は、各種メディアや店舗にてエクササイズの監修、セミナー講師、コラムの執筆など幅広く活躍中。
著者『筋膜ボディセラピー(三栄書房)』

Web site 大久保圭祐公式サイト