連載 ココロとカラダを繋げる ボディコンシャストレーニング14-03「ランニングを見直す」(最終回)

| 大久保圭祐

巷に溢れる様々なトレーニング理論。それぞれに新しい知見やグッズ、時には有名選手のお薦めもあり、どれも魅力的ですよね。だけど本当に大事なことはトレーニングを行うあなた自身。誰かが「正しい」と言われる方法や理論を「正しく」実践しようと思うあまり、自分のココロやカラダがどう感じているかを忘れていませんか?

この連載ではトレーナーでありロルファー™️である大久保圭祐さんが、ボディワーク・ロルフィングⓇの視点を取り入れた「カラダを意識したトレーニング法“ボディコンシャストレーニング”をご紹介します。意識を変えてカラダの声を聞くことで、いつものトレーニングが「あなた専用のトレーニング」に変わります

 

ココロとカラダを繋げる

ボディコンシャストレーニング

第14回-03 「ランニングを見直す」(動きの中心と腕の振り)

大久保圭祐

Image: iStock

今回で足掛け3年に渡って続いたこの連載も最終回です。

最後のテーマランニング編の第3回は、動きの中心と腕の振りに注目して走りを見直します。

ここまで着実に積み上げてきた体への意識の向けたの集大成。

ぜひ最後までお読みください。

 

【ステップ6 動きの中心を意識して、フォームを調節する】

ランニングのフォームを紹介するシーンで、「『ど根性ガエル』のように引っ張られる様に胸から進む」「へその緒のような糸で前へと引っ張られている様に腹から進む」など、頭から前のめりになって走るのではなく、胸、或いは腹から進む様にと言われています。

さて、この“胸”なのか“腹”なのか?

どちらが正解とかではなく、ボディワーク・ロルフィング®︎のアイディアを借ると、体を観察する時に

  • 「空間との関係性(スカイタイプ)」
  • 「地面との関係性(グラウンドタイプ)」

のどちらからの情報を頼りにしているか、オリエンテーション(方向性)によるものと考えることができます。(オリエンテーションは第6回で確認しています。)

 

「スカイタイプ」の人は空間との関係性を頼りにしていて、比較的目からの視覚情報を重視してオリエンテーションを行う傾向があります。

極端かつ大雑把な例えにはなりますが、「視界の上に天井が見えている、下に地面が見えている、よって上下の方向性を認識する」というような感じです。

このタイプの方は、身体上の特徴としては動作時に胸の辺り(心臓くらい)に意識を向ける傾向があり、肩や首、胸などに緊張が生まれやすく下半身の動きはバネのような弾力性を持つ傾向があります。

マインド的な観点では楽観的でフットワークの軽い印象を受けます。

ランニングフォームで言うと、それこそど根性カエルに引っ張られる感覚で走った方がしっくりきて、少し上下に跳ねる様な特徴があります。

それに対して「グラウンドタイプ」は地面との関係性を頼りにしていて、目からの視覚情報だけでなく、比較的身体からの感覚情報も頼りにオリエンテーションを行っている傾向が強いです。

先ほど同様の例えですが、「足が地面に付いている感覚を元に下方向を認識するような感じ」です。

その様なタイプの方は、お腹の辺り(下腹部、丹田など)に動きの中心の意識が強く姿勢や動きに安定感があり物事にきっちり着実に取り組む慎重な性格を持つ傾向があります。

ランニングフォームは下腹部から引っ張られている感覚で走るとしっくりきて、あまり上下に揺れず、力強く走ることができます。足音をあまり立てずに歩いたり走ったり出来て、体つきは脚力が強くしっかりとした印象を受けます。(こちらの情報確認に関して、私の先輩ロルファー™️の河原浩孝さんにご協力頂きました。ありがとうございました)

スカイタイプの人が「下腹部から引っ張られる様に」走ろうとすると非常に窮屈に感じます。

もし、あまり上下動させず「下腹部から引っ張られる様に」走るフォームに改善したいのであれば、無理にフォーム(形)を変えるのはでなく、オリエンテーションから見直します。

このタイプは足元に意識を向けることが少ないので、普段から「地面との関係性」など、体からの感覚情報にも意識を向ける様にします。もちろん逆もまた然りです。

動きのクセやフォームを改善するには、その人のオリエンテーションに合わせた体の使い方、つまり第10回で確認したプリムーブメントから見直してあげると良い例です。

 

【ステップ7 腕のフリを意識して、走法をコントロールする】

すでにウォーキングで紹介していますが、ランニングは脚を動かす印象の強い競技ですが、上半身と下半身の動きに関係性を作り、腕の振りで脚をコントロールすることができます

これは腕を前回しする時と後回しする時とで脚の運びが変わってくるのを感じることができます。

改めて歩いて上半身と下半身の動きの繋がりを確認します。

  1. 腕を後ろ回しにして歩くと、脚が体の後ろ側にある時間が長くなり、先ほど紹介した脚を置いてくる意識がしやすくなります。
  2. 逆に腕を前回しで歩くと、脚も持ち上げやすくなるのを感じます。
  3. 違いがわかったら、2の感じで得た感覚をランニングに組み込んでみましょう。

どうでしょう?歩き方や走り方が変わり、緊張したり使っている筋肉が異なるのを感じることができますか?

ランニングで二の腕を引き締めたいなんて女性の方は、同じ腕を振るでも、(上方向から後ろ回し)に腕を振ると腕裏の筋肉を使うことができます。

さらに(上方向から後ろ回し)の意識で腕を振って歩いたり走っていたりすると、後脚で地面をしっかりと押しやすくなるので、次第にお尻やもも裏の筋肉を使っているのを感じることが出来ます。ヒップアップや脚痩せにも効果的です。

急な坂道を登るとか階段を上がる時は(下方向から後ろ回し)を意識すると、脚が持ち上がりやすくなります。

逆に下り坂を走る時に少しスピードを落とすため、脚でブレーキを掛けるのではなく骨盤でスピードをコントロールすると言われていますが、腕の振りでもコントロールすることもできますね。

平地のような場所を走る時は(上方向から後ろ回し)を意識すると前に進み易く、スピードを出すことができます。

腕でランニングフォームを使い分けることもできるのです

こうしてランニングの動作でも上半身の動きと下半身の動きに「つながり」を感じることができます。

最後にもう1個、緊張を取り除く意識を紹介します。

【ステップ8 視野を意識して緊張を取り除く】

同じく、走っている時に視野をコントロールします

視野は視点を定めたままどの範囲を見るかによってコントロールできて、主に

  • 一点を集中する集中視野
  • 目に写る全体を見ている周辺視野

があると言われています。

走っている時は無駄にエネルギーを使ってしまわないように、視線をあちこちに動かしてしまうよりも、定めておいた方が良いのですが、視点を一点に定めることに集中してしまうと、体はかえって緊張します

ですので、視線は変えず、視野の使い方のコントロールを確認してみましょう

  1. 先ずは視点を定め、一点を見たまま走ってみてください。
  2. 次に視点の位置は変えず、一点ではなく目に写っているもの全てを受け入れるように見てみてください。

体がゆるむのを感じます。だいぶ、走っている感覚が変わりますね。

 


いかがでしたでしょうか? 最終回のテーマ「ランニング」にもスペースを作り、そこへ意識を注ぎ込んでみました。

呼吸や立位に始まりスクワット、ウォーキングやランニングなど、日常動作から筋トレまで、身体感覚を伴ってフォームを見直してきました。

初めて取り組む方もそうですが、既に運動に取り組まれている方にとって日常動作やトレーニングフォームは無意識な動作になりやすく、そこにパフォーマンスの限界やトラブルを抱えがちです。

この連載ではボディワーク︎的な観点を用いて、そういった動作中の無意識を意識化、或いは一層意識を高めてみることに注目しました。

ワークを通して生まれた身体反応、

  • 緊張するな
  • スムーズに動くな
  • 心地よいな
  • 嫌な感じがするな
  • 楽だな、などなど

が、あなたにとってより安全でフィットした”正しいフォーム”へと導いてくれたことを願っています

そうしてより大きな負荷に挑んだり、より反復する回数を増やしたり、筋トレに取り組む動機となった目標に向かって進んで頂きたいと思っています。

時にはこうしてまた自分の体にじっくりと意識を向けて、フォームを見直したり、身体の使い方や身体感覚を育み、体をバランスよく発展させることも片隅に留めておいて頂けると嬉しいです。

最後までお付き合いくださった全ての方への感謝を胸に、トレーニングの更なる発展、皆さまのトレーニングライフの充実を祈ってこれでおしまいにしたいと思います。

また講座やセッションルームでお目にかかれることを楽しみにしています。

ありがとうございました。

(第14回03 最終回)

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–Profile–

大久保さん

大久保圭祐(Keisuke Okubo)
パーソナルトレーナー、ロルファー™️。大学在学中にキックボクシング部の主将として活躍、プロライセンスも取得する。卒業後はいったん食品系専門商社に勤務するが身体への関心を捨てきれず、パーソナルトレーナーの道を選ぶ。過去の運動や減量経験などを活かしたボディメイクの指導者をするなかで、ボディワークの“Rolfing®”に興味を持ち、渡米してRolf Institute®を卒業する。現在は、各種メディアや店舗にてエクササイズの監修、セミナー講師、コラムの執筆など幅広く活躍中。
著者『筋膜ボディセラピー(三栄書房)』

Web site 大久保圭祐公式サイト