鈴木秀樹の『エクレアと人間風車』 第七回  ダブルアームスープレックスの思い出

| 鈴木秀樹

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来る1月19日より日貿出版社より『ビル・ロビンソン伝 キャッチ アズ キャッチ キャン入門』を上梓する現役プロレスラーの鈴木秀樹さん。鈴木さんは“人間風車”の異名を持つ、名レスラー・ビルロビンソン氏より、キャッチ アズ キャッチ キャン(以下、CACC)と呼ばれる、プロレスの源流ともいえるレスリングを学び、現在フリーのレスラーとして、様々な団体で活躍しています。
そこでコ2【kotsu】では、『キャッチ アズ キャッチ キャン入門』の出版記念集中連載として、鈴木さんにビル・ロビンソン氏とCACCについてお話しを伺いました。
第七回目のいよいよ、ビル・ロビンソン氏から鈴木選手に受けつがれた“ダブルアームスープレックス”のお話です。

『エクレアと人間風車』

第七回  ダブルアームスープレックスの思い出

語り鈴木秀樹
構成コ2【kotsu】編集部

 

子どもを投げて覚えたスープレックス!?

U.W.F.スネークピットジャパンでは、子どもも練習してました。
プロ志望とかレスリングやってるとかそういうのではなくて、普通の子どもたち。近所の子というよりも、お父さんが昔のプロレスやビル・ロビンソンが好きだってケースが多いですね。だんだん減って行きましたけど、僕が入った頃は多かったです。練習終わったあと、子どもをふかふかのマットの上に投げ飛ばして遊んだりしましたもん。僕の投げの練習台にしてたんです(笑)。

でもそうやって覚えたんですよ、スープレックスとか。子どもを力づくで放り投げるわけにいかないじゃないですか。失敗したら怪我するから。だからスープレックスの角度とかをコントロールしながら子どもを投げて、そうやって遊びながら覚えましたよ。一般会員のおじさんとかも「ちょっと良いですか?」って捕まえて、練習台にしてました。

ロビンソンから初めてダブルアームスープレックスを教わったのも、そうやって遊んでる時ですもん。練習後に適当なやり方で投げてたんですよ。そしたらロビンソンに

「お前、首とれ」

って言われて。それで

「ハーフハッチ行け」と。

すると、

「受けてる側はハーフハッチを堪えろ」と。

で、相手も言われた通りにこらえたところを、

「リバースフルネルソンいけ」

言う通りにしたら、

「投げろ」

っていうんです。意味が分からないので「え?」って顔を見たら

「ゴー!」

って。で、「なんだろう?」と思って投げたのが、ダブルアームスープレックス

『キャッチ アズ キャッチ キャン入門』284-285より

 

僕のが「二代目人間風車」って呼ばれることになった技ですけど、そうやって習ったんです。だからダブルアームスープレックスは遊びの中で教わったんですよね。そこから一週間くらいはマットひいて教わってました、遊びの中で。一般会員や子ども投げて覚えたんです。軽いから、投げるのも楽じゃないですか(笑)

僕がそういうのが好きでやってたんで、ロビンソンも色々と教えてくれましたね。子どもとの練習ってすごく良いと思います。全部丁寧にやらないと技が入らないし、無理やりやると怪我をさせちゃうし。怪我させないようにやるとちゃんとした動きを覚えられるんです。精度を高める練習ができる。最後は精度がものをいいますから。

ダブルアームスープレックスはCACCの技というわけではありませんね。ロビンソンがライレー・ジムで習ったものではないですから。ブービー・アールというベルリンオリンピックのメダリストから習ったんですよね。その人は本職が郵便局員なんです。僕もプロとしてデビューするギリギリまで郵便局員やってましたから、ロビンソンも笑ってましたよ。

「ポストマンに習ったダブルアームスープレックスを、ポストマンに教えることになるなんてな」って(笑)

だから僕がロビンソンから習ったことって、ロビンソンが他から取り入れたことも混じってるんです。その意味では純粋なCACCとは言えないかも知れません。でもみんなそうなんですよ。同じCACCでもロビンソンとカール・ゴッチでは全然違いますし、僕と宮戸さん、井上さんも違う。ロビンソンから学んだ一般会員にも、それぞれのCACCがあると思うんですね。人によって体格も気質も違うから、受け取れるものもやり方も違ってくる。そもそもCACCだって足関節の技とか、柔術とかから取り入れたりしてるんです。ピン・フォールを狙うために、足の関節を攻める技術が発達するとかあまり考えられないですからね。でもそれで良いんじゃないかと思うんですけど。

(第七回 了)

 

『キャッチ アズ キャッチ キャン入門』
鈴木秀樹さんの初の著書『ビル・ロビンソン伝 キャッチ アズ キャッチ キャン入門』が、来る2017年1月19日に発売されました。現在Amazonで発売中です。


「キャッチ アズ キャッチ キャン入門」
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細かな指導が行き届くよう定員10名限定です。
まずは下記の2回が実施決定。以降も基本的に毎月第一日曜日or祝日の月1回ペースで実施予定です。

  • 4月2日 午前10時〜12時
  • 5月3日 午前10時〜12時

会場アカデミア・アーザ 3階マットフロア(http://www.academia-az.com/
参加費:5,000円
定員:先着10名

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–Profile–

鈴木秀樹選手

鈴木 秀樹(Hideki Suzuki
すずき・ひでき/本名同じ。1980年2月28日生まれ、北海道北広島市出身。生まれつき右目が見えないというハンディを抱えていたが、小学生時代は柔道を学ぶ。中学時代にテレビで見ていたプロレス中継で武藤敬司に魅了され、プロレスの虜になる。専門学校卒業後、上京。東京・中野郵便局に勤務。2004年よりUWFスネークピットジャパンに通うようになり、恩師ビル・ロビンソンに出会う。キャッチ・アズ・キャッチ・キャンを学び、2008年11月24日、アントニオ猪木率いるIGF愛知県体育館大会の金原弘光戦でデビュー。2014年よりフリーに転向。ZERO1やWRESTLE-1、大日本プロレスなどを中心に活躍。191センチ、115キロ。
2017年1月に日貿出版社より『キャッチ アズ キャッチ キャン入門』を発表する。

Web Site:鈴木秀樹オフィシャルサイト

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