「トラウマ」という言葉からは、何を連想されるでしょうか。震災や戦争といった“大きな出来事”の当事者が受けた“心の傷”、またはそれにともなう症状(フラッシュバック、うつなど)を思い起こす方が多いのではないでしょうか。
ですがトラウマセラピストの藤原ちえこさんは、
「トラウマ反応は、心ではなく、まずは身体で起こるもの。そして出来事の大小にも、それを直接体験したかどうかにも、必ずしも関係がないのです」
とおっしゃいます。ここでは、
- 本当のところ、トラウマとは一体何なのか
- トラウマからはどうすれば回復可能なのか
を、お伝えしていきます。トラウマからの回復をのぞむ、“あなた”のための連載です。
ココロの傷は、カラダで治す
本気でトラウマを解消したいあなたへ
第九回 発達トラウマと、恥の感覚
文・写真●藤原ちえこ(写真提供は☆のみ)
こんにちは。トラウマセラピストの藤原ちえこです。
連載第5回目に、逃げるという自然な衝動を抑えつけてしまう、人間に特有の「恥」の感覚についての話をしました。
その時に説明した「恥」は、成育過程で社会的に身につけた感覚ですが、
今回は、トラウマの結果自分の内側に生じる、より深刻な、そしてトラウマ症状とも密接に結びついた恥の感覚についてお話したいと思います。
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–Profile–
●藤原 千枝子(ふじわら ちえこ)
MA、カリフォルニア州公認サイコセラピスト(MFT)、臨床心理士。
大阪大学人間科学部を卒業後、朝日新聞に入社。記者時代、転勤うつの発症と、青少年の凶悪犯罪の取材経験から生き方を考え直し退職。英国でシュタイナー教育を学んだ後、サンフランシスコのカリフォルニア統合学研究所(CIIS)でカウンセリング心理学修士号取得。現地の日系カウンセリングセンターやホームレス支援のNPOなどで心理セラピストとして勤務。05年2月に帰国し、札幌にカウンセリングルームを開く。
米国でのホームレス支援時代、彼らの抱えるトラウマのあまりの深刻さに、会話だけによるセラピーの限界を感じ、身体心理療法の探求を深める。ハコミセラピー、ソマティック・エクスペリエンス(SE)など、さまざまな心とからだの癒しの研鑽を積む。カリフォルニアで学んだ世界最先端の心理学と、神経生理学的な観点からのトラウマ療法を融合したオリジナルなメソッドを生み出す。
これまでに、国内外の1000人を超えるクライアントに、計9000件以上のセッションを対面とオンラインで行なう。「長年の抗うつ剤服用が3ヶ月でやめられ、職場復帰を果たす」「重い化学物質過敏症の症状が消失」「ずっと抱えてきた希死念慮がなくなる」など、クライアントからの喜びの声多数。
長年セラピストや医者めぐりをしても症状が消えなかった人々が癒されていく瞬間に日々立ち会うことが一番の生きがいである。野望は世の中から性暴力をなくすこと。趣味はカフェめぐりと、数年前に始めたギター。
カリフォルニア州公認サイコセラピスト(Marriage and Family Therapist, MFC41473)
臨床心理士(登録番号15771)
ソマティック・エクスペリエンス認定プラクティショナー(SEP)
Art of Feminine Presence (AFP) 認定ティーチャー
著書 『本気でトラウマを解消したいあなたへ』(日貿出版社)
訳書 『心と身体をつなぐトラウマ・セラピー』(雲母書房)
共著 『ソマティック心理学への招待—身体と心のリベラルアーツを求めて』(コスモス・ライブラリー)、『トラウマセラピー・ケース ブック』(星和書店)