超人になる! 第五回 「わたしは外部からやってくる?」

| 長沼敬憲

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生きるということの中には、様々な英知が凝縮されています。
誰もが持っている「身体」と「生命」を通して、
その見えざるものを掘り起こし、共通言語に変えていくことで、
ヒトはヒトを超えた何かへと変容できるかもしれません。
大きな夢と希望を持ち、明日の世界へと進むための生命学講座、

超人になる!

第五回「わたしは外部からやってくる?」

長沼敬憲

 

前に進もうという意識はどこからくるのか?

生物は脊椎動物に進化する過程で、“前に進もう”という意思を手に入れた――前回の連載の最後でこう述べました。

それはポジティブシンキングの原型、と呼べるものなのかもしれません。
なにしろ、種のレベルでそうした方向を選択した延長上に、いまの私たちが存在しているわけですから……。

その意味ではかなりコアな感覚と言えますが、これまで取り上げてきた腸に由来する「感情」とは、また別のものでしょう。
こうした前に進もう、生きようという意思には、消化管(腸)ではなく、骨や神経の働きが深く関わっていると考えられるからです。

脊椎(背骨)の中心部には脊柱管と呼ばれるすき間があり、そこに脊髄という神経の束が収まっています。
事故などでこの神経に傷がつくと半身不随になってしまいますから、この脊髄の束は、骨(脊椎)によってコーティングされた電気コードのようなものをイメージしてもいいかもしれません。

身体全体で見た場合、このコードは太い幹にあたり、ここから全身に枝葉のように細いコードが張りめぐらされています。
それが末梢神経であり、すでに解説してきたように、働きの違いによって「体性神経」と「自律神経」に大きく分けられます。
要するに、身体は二種類のコードの連携によって動かされているわけです。

ざっとおさらいをするならば、このうちの体性神経は運動機能を司っているため、主に体を動かす筋肉につながっています。

この体性神経は、「感覚神経」と「運動神経」にさらに分かれます。ここではシンプルに、外部の刺激をキャッチするのが感覚神経、その情報をもとに動作(行為)に変えるのが運動神経とイメージする感じでいいでしょう。

第5回:図1

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–Profile–

長沼敬憲(Takanori Naganuma
1969 年、山梨県生まれ。出版プロデューサー、エディター、サイエンス・ライター。「ハンカチーフ・ブックス」編集長。30代より医療・健康・食・生命科学の分野の取材を開始。著書に、ロングセラーになった『腸脳力』『この「食べ方」で腸はみるみる元気になる!』『最新の科学でわかった! 最強の24時間』など。 エディターとして、累計30万部を超えた「骨ストレッチ」シリーズの出版プロデュースを手がけるほか、『腸を鍛える』( 光岡知足 )、『栗本慎一郎の全世界史』(栗本慎一郎)、『医者が教える長生きのコツ』 (佐古田三郎) 、『死と闘わない生き方』 (土橋重隆・玄侑宗久) などの書籍の企画編集に携わる。2015年12 月、活動の拠点である三浦半島の葉山にて「ハンカチーフ・ブックス」を創刊。『僕が飼っていた牛はどこへ行った?』(共著:藤田一照)などの書籍、雑誌『TISSUE』を刊行するほか、トークイベント「ハンカチーフ・ブックスCafe」を定期的に開催している。

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