簡単!ニコニコタッチセラピー体験。 第九回 「上腕」

| 河野智聖

この記事は無料です。

武術家であり体の専門家である河野智聖先生に、皮膚を軽く撫でるだけで誰でもすぐに使える身体調整法“ニコニコタッチセラピー”をご紹介頂きます。第九回目の今回は上腕です。

ある日のニコニコタッチセラピー講座での出来事。

講座を受ける女性たちにまじって70歳代のおばあさんが見学にきていました。
聞けば娘が講座を受ける間待っていたいとのことです。
そのおばあさんは腰痛が大変で、歩くのも不自由で講座がおわったら娘に車で病院に送ってもらうことになっていました。

そこで、「せっかくですから、モデルになって下さい」とお願いして、講座でお尻・肩甲骨・頭にニコニコタッチをおこなうと、曲がった背筋がスッキリし、「痛みが取れた!」と満面の笑顔となり、そのままご自宅へお帰りになりました。

ここで私がやったのはただ触るだけ。頑張って揉んだり、押したりせずに皮膚の流れにそってタッチングするだけで元気になる、そんなニコニコタッチをこの連載では紹介していきます。

簡単!ニコニコタッチセラピー体験。

第九回 「上腕へのニコニコタッチ」

河野智聖

 

腰椎と人間の進化「腰椎進化論」

今回は上腕の話です。

お話を進める前に、まず「生物の進化と腰椎の関係」について述べてみたいと思います。

腰椎はL1が上下運動、神経系。L2が左右運動、消化器系。L3がねじれ運動、泌尿器系。L4が骨盤の開閉運動で生殖器系。L5が前後運動で呼吸器系に対応します。それぞれの腰椎には独自の運動に関係し、また臓器にも関係します。

腰椎ー運動ー臓器

この関係を生物の進化から考えると理解しやすくなります。

運動の基本は、生きること、すなわち“食べて排泄する”という行為。そして子孫を残すために“生殖する”ということが基本になります。このどちらも腰椎4番(L4)に関連します。
<腰椎2番(L2)は消化器の左右運動>
食べたもの解毒したり、消化したり、カラダに蓄積する必要が生じ、消化器を進化させた生き物が生まれ、さらに胃袋や肝臓というものが発達してきました。

左右運動の生き物を思い浮かべた時に、真っ先に浮かぶのは魚でしょう。魚は泳ぐ時に左右運動で動いていますが、右側にある肝臓、左側にある胃袋を刺激しながら泳いでいるのです。この左右運動は長い腸の中を圧縮させ食べものを運びやすくさせます。

<ヒレが腕のもと>
ある魚たちは追われ食べられることから逃げるために海から川へ逃げ込みます。その時ヒレが小石を避けるような動きとして発達し、手腕の礎となっていると言われています。以前Facebookで観た映像で道路を横切る川魚の投稿がありました。水の流れに乗って道路を滑るように這っていく魚を見て興味深かったです。

そのほかにもカナダ・マギル大学の研究チームの発表で「訓練によって魚を陸上生物に進化させることに成功した」というものもありました。

こうして川魚となった彼らは、自分たちの川が干からびた際に、他の川に移動しようとしました。ヒレがその行動を補助し、やがて腕や手と発達していったわけです。いわばこれが人類の歩行の一歩だったわけです。その後、人類は、直立できたことで腕を自在に使うことが可能となり、身体能力、文化、芸術、産業を発展させてきました。

人類の進化の大きなターニングポイントは<二足歩行による腕・手・指の自由化>といえましょう。

 

<手や足は消化器の急所だらけ>

整体の世界でも「消化器と左右運動」の関係は言われていました。しかし、私はそれがどういう関連性があるのかが、しっくりこなかったのです。

生物の進化という観点で体の発達を観ると、消化器を発達させるためには必然的に左右運動がおこったと考えるようになりました。

魚は陸に上がり爬虫類へと進化して行きます。爬虫類の歩行を思い浮かべてみると魚と同じく、左右運動で歩いているのが分かります。その左右運動の大きな要となっているのが手と足です。

整体では消化器の急所は腕と足に集中しています。合谷と呼ばれる親指と人差し指の間、腕の三里、肩などです。
赤ちゃんもいきなり歩いたり走ったりはしません。両手足を使って、トコトコと肩を左右に揺らしながらハイハイをするのが最初です。
それから立ち上がり二足歩行となり、体を捻って歩くことで安定しながら歩くことを覚え、やがて走るといった動きを獲得するようになっていきます。それが泌尿器や、呼吸器の発達と関連してきますがこの辺はまた次回に述べていきたいと思います。

 

肩甲骨が動き出す、上腕部へのニコニコタッチ

さて、今回のテーマである上腕には「化膿活点」という不思議な急処があります。三角筋と上腕三頭筋間に米粒のような塊があるのです。ここは虫に刺されたり動物に噛まれたといった外から体の中へ毒が入ってきた時に、この化膿活点を弾くと、痛みが取れ急速に腫れが引く場処です。化膿活点は体が膿む、腫れるといったことに関わりがあります。野口整体では胸椎七番が脾臓と対応していて、化膿活点と関係しています。胸椎七番は癌や白血病の急処であるとも言われています。

化膿活点
今から10年以上の前に中学校の先生をしていた方が私の名古屋の講習に来ていました。その後先生を辞め、自然農法で農業を始めたのですが、「山で虫に刺された時にこの化膿活点が役に立ちました」と語っていました。
また講習を受けた主婦の方が家に帰ると、ちょうど腕を犬に噛まれた親戚の人が訪ねて来まて、「こういう技術を習ったから」と化膿活点を押さえると翌日、朝起きると腫れが引いており「奇跡が起きた!」と電話がかかってきたそうです。

私自身も子供がハチに刺されたときなど活用しました。場所を見つけるのは少々難しいかもしれませんが、経験した覚えがある人に聞けばばすぐわかります。わからない人がいたらぜひ講習会に来ていただければと思います。

 

 

肩甲骨が動き出す、上腕部へのニコニコタッチ

それでは今回の上腕のニコニタッチの実技を紹介します。

上腕部をニコニコタッチしても上腕そのものの可動域を測ることはわかりづらいので肩甲骨の可動に注目してみます。上腕部へのニコニコタッチをすると、同時に肩甲骨の可動性が同時によくなるからです。ですから肩甲骨の動かしやすさも含めて一対と考えて下さい。

二人一組で、上腕部を写真のように肩の方向性から肘の方向に向かって、掌を移動させていきます。

上腕へのニコニコタッチ

 

上腕へのニコニコタッチ

 

ニコニコタッチする側とニコニコタッチされる側の位置の取り方は、両者が<息が入り易くなるところ>が原則です。立って行う、正座する、二人で椅子に座る場合などを勘案すると、細かいポイントは色々ありますが、機会をあらためて解説したいと思います。

動かす幅は、上腕部を数センチ 肘の手前まで、力を入れないで、触れるだけのタッチで掌を移動させます。
往復運動ではなく肘の方向へ向かっての一方向への刺激です。皮膚が刺激の方向性を認知するがポイントです。
皮膚の上腕部の流れで、肩甲骨の動きが良くなるをイメージで行って下さい。

肩甲骨を含めて可動性を写真でビフォアーとアフターでチェックしてみましょう。

チェック
右腕側が、ニコニコタッチする前のビフォアー、左腕側が、ニコニコタッチした後のアフター。

 

上腕部へのニコニコタッチで、肩甲骨の可動性が良くなれば正解。良くならなかったら失敗です。そうした時は数ミリの単位で、アプローチする部位を動かしてみましょう。
必ず、肩甲骨の動きが良くなるところが見つかります。セルフケアも同様に行ってみて下さい。

上腕へのニコニコタッチ(セルフ)

 

ニコニコタッチによる上腕や肩甲骨の自由度はアスリートはパフォーマンス、ビジネスマンには頭のさえ、女性には、胸を張った若々しさ、シニアには、呼吸が深くなる等、健康度アップをはかることができます。
生活の中で役だって頂ければ幸いです。
次回の連載は、肘です。

 

 

【講座情報】

朝日カルチャーセンター(河野智聖 直接指導)

セルフケアでのニコニコタッチ(初心者歓迎 指導担当・トダタカオ)

 

(第九回 了)

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–Profile–

動体学創始者 河野智聖(Chisei Kono
整体・古武術・ヨガの研究から、新しい身体理論「動体学」を編纂。東京に動体学研究所を設置、“智聖整体Life”として東京・大阪・神戸を拠点に、日本全国で講座を開いている。
動体学研究所から開発された技術は、ニコニコタッチ®・快気法・心道(整体武術)・スパイナルトーン(音の整体)・マグネティック タオ(体のNS極を磁石で調整)・チセットヨーガなどは“チセイメソッド”として発表されている。
著作に『健康になる整体武術』(筑摩書房)、『生命力を高める身体操作術』(経済界)、『日本人力』『能に観る日本人力』(ともにBAB出版)、『身心を拓く整体』『緊急時の整体ハンドブック』(ともにちくま文庫)などがある。

ニコニコタッチセラピーの講座などのはこちらからご覧ください。

Web site:Chisei Method チセイメソッド