コ2【kotsu】新刊『システム感情片付け術』発刊記念、小笠原和葉さんIV 第二回

| コ2【kotsu】編集部

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コ2【kotsu】の連載「伊東昌美のもっと!保健体育」にも登場した、ボディーワーカーの小笠原和葉さんの著書『理系ボディーワーカーが教える“安心” システム感情片付け術』が、この程、日貿出版社より発刊されることになりました。

そこでコ2【kotsu】では著者の小笠原さんにインタビュー。
制作秘話伺いつつ、誰もが悩む、自分の感情の片付け方を紹介します。

二回目の今回はトラウマワークとエクササイズについてです。

新刊『システム感情片付け術』発刊記念

小笠原和葉さんインタビュー 第二回

語り小笠原和葉(ボディーワーカー・意識・感情システム研究家)
取材・構成コ2【kotsu】編集部

 

システム感情片付け術

 

トラウマは心の問題ではない!

小笠原 そうですね。私が意識のことや心理のことをコテコテにやってたのは、子どもを産む前で、今から思えば時間が悠久のように流れていたと思える時代で(笑)。意識を深堀りしていくこと自体も楽しかったんですね。

だけど子どもが生まれて、目の前で飢えて泣いている子がいたら、いちいち自分のイラッとしたことを、「なぜ怒ってしまうんだろう?」とか、一個一個辿っていられなくて。

とりあえず、目の前にある一個一個を片付けて、前に進むパワーだけ出てくればいいや!

みたいな感じになって(笑)。で、そうやっていたら、

あれ、これで感情が片付いていくんじゃないか!

と。
そこで見つけたことを、しばらくたってセッションの時に試したり、セッションルームとか講座に来てくださる方たちにお話をして反応を見て、また検証してと。一通り整理し直して、そこに生理学的な裏付けを加えて……、という感じですね。

コ2【kotsu】編集部(以下、コ2) それが、「神経が高ぶっているのは、感情が整理できていない時に体に起きる現象であるよ」と整理されて、「それなら原因がなんであれ、神経の高ぶりをおさめれば、取り敢えず混乱は納まってしまう」というアイデアになるわけですね。これはトラウマワークのソマティック・エクスペリエンスの基本的な考え方と言ってよいのでしょうか。

5月12日 東京・八重洲ブックセンターで行われた出版記念イベントで藤本靖さんと対談をする小笠原さん。

 

小笠原 私はソマティック・エクスペリエンスの全体像を語れるほどまだわかってないんですけど、一つ大きな核になっているところだと思います。

コ2 トラウマがあるということに対して、その根源的な原因を「それはあなたの幼少期の……」とか、「それはあの爆発の時に自分が助かって……」と追求していくのではなく、今現実に自分の体に起きていることにアプローチするわけですね。

小笠原 そうです。アメリカは戦争帰還兵のPTSD(心的外傷後ストレス障害)の問題が凄くシリアスなので、いろんなトラウマ療法が研究されているんです。

そうした研究のなかでピーター・リヴァインという後にソマティック・エクスペリエンスを創始するドクターが毎回のセッションで、クライアントが戦場で銃を構えて汗びっしょりになった時の話や、爆弾で仲間が吹き飛ばされた話を泣いたり叫んだりしながら話すのを聞いてあげていて。その時は一時的なカタルシスがあるんだけれども、クライアントのPTSDの症状自体は良くなっていかないことに気が付いたんですね。

そこで野生動物のストレス開放とかトラウマ開放のプロセスを見ていった時の閃きから生まれた理論があって、それをベースに、

トラウマって心の問題じゃなくて100パーセント生理学的な現象だったんだ

ということを見つけたんですね。

お話を聞いてあげるんじゃなくて、そこでクライアントの高ぶっている神経をおさめるアクセスの仕方をしてあげなければいけない。逆にその高ぶった神経をおさめるということができたら、苦しかったお話自体を思い出させる必要がないということに気づいてたんですね。本当に天才だなと思うんです。

コ2 全くそれまでの流れとは違うアプローチだったわけですね。

小笠原 全然違いますね。それはすごく自分がやってきたいろんなこととか、経験からも納得できることで。自分の感情も、結局、高ぶっている時はその原因を探すとキリがなくて。一個問題解決しても、すぐに次のストレスを見つけて。

コ2 無間地獄に陥るわけですね。

小笠原 逆に神経系を落ち着けてしまうと、問題がどうであるというのは気にならなくなってくるんですね。講座でも、マインドのスピードをゆっくりにしたりとか、視覚とか呼吸を使ってリラックスしていくエクササイズを行うと、その後、質問が出なくなるんですよ。「ここまでどうですか」と訊いても、なんだかみんな満たされた顔で(笑)。

それまでは、「これはどうなんですか?」「こういうケースはこういう人にはどうしたらいいんですか!」とか一杯出てきてたのに(笑)。だから神経を静かにするワークをしたあとは、感想のシェアが出てこなくて、引き出すのもすごい苦労するんですけどね(笑)。

コ2 (笑)

小笠原 逆に活性している時は、本質的に問題じゃないと分かっていることでも、“何か聞かずにいられない!”という落ち着きのなさみたいなのが、問題を作り出しているんですね。

コ2 本の中で面白いのが、「自分でストレスの材料をどんどん探し続けている」というお話です。不安や不快になる材料を次々に見つけてきてしまうという。
小笠原 結局、高ぶっている神経はその結びつき先を探すので、お馴染みのストレスや嫌な気持ちになる人のことを、わざわざ思い出すんです。

 

効果が鉄板のエクササイズは……

コ2 「分かっちゃいるけど……」と(笑)。その活性化した神経系をどうやっておさめるかが、パート3「いますぐできる! システム感情片付け術」に出てくるエクササイズですね。ここはエクササイズの選定に苦労されたようですね。

小笠原 はい、私、エクササイズ職人じゃないので(笑)。でも、セッションルームとか自分の生活の中で何気なく使っているものを、「これは感情とどういうふうに結びつけ直すのかな」と拾い直して整理していくというのは、やったことがなかったので面白かったですね。

そのうちに、「自分がこうなっている状態は大体、客観的・生理学的にどういう状態なのか?」というのはわかるようになってきて。自分のケースとセッションルームに来てくださった方のケースとを対応させて適切なものを出すという感じで。それまでは自分が手持ちで持っているエクササイズを全部並べるようなことはやったことがなかったので。「何があったっけな?」と(笑)。

コ2 個人的に今回の本の中で、一番好きなエクササイズはどれですか?

小笠原 視覚のエクササイズ(水平線を感じる)ですかね。呼吸に働きかけるというのは、セッションのゴールというか、セッションがうまく進んでいるかどうかを測る指標なので。呼吸が楽になっているか、改善しているかを常に見ているんですね。

コ2 そんなに呼吸は大事ですか。

小笠原 大事です。大体、みんな呼吸が制限されているので。その原因にはいろんな要素があるんですけど、視角のエクササイズはセッションルームでやっていて、一回ですごくみんなに効果がありますね。

コ2 そのくらい“水平線を感じるエクササイズ”は鉄板なんですね。

小笠原 鉄板ですね。足指も呼吸にすごく関係があるんですけど、なかなかセルフのエクササイズでは難しくて。その点視覚との関係が一番で。やっぱり目はほとんどの人が日常的に負担を掛けているところで。
実は前に目のストレス研究を1年くらいしていた時代もあって、メガネがどれくらい自律神経とか免疫に影響を与えているかとか調べていた時期もあったので。

コ2 そうだったんですか。

小笠原 浜松の有名な眼鏡屋さんを訪ねて行ったりして、凄く面白かったですね。結局、適切な量のインプットというのが脳にとっては大事で、「目は露出した脳」と言われるくらい、目からのインプットは神経に直接作用するんですね。

イベントには当初の定員60名を越える人が集まり、急遽席を増やして開催されるほどの盛況となりました。

 

私たちは人類史上初めての経験に直面している

コ2 本の中の印象的な文章に、「これほど光るものを長時間見るのは人類の歴史上ない」というのは結構ショッキングでした。

小笠原 心理やボディーワークもそうですけど、自分の妊娠、出産とかの経験を通して、結局、幸せだったり、健康だったりに近づいていくために大事なことって、

私たちただのほ乳類だ

ということに気づくところのように思います。トラウマや神経の話にしても、結局それはほ乳類としての生き物のシステムなんですよね

人間は高度に発達しているけれど、どちらかというと脳の中でも原始的な部分がやっぱり強く生きていて、それは妊娠していた時に、“ああ、私はただのほ乳類だ!”と凄く感じました(笑)。

体の使い方にしても、健康から遠ざかっていくのは、もともと持っている構造やシステムから外れていくことが原因ですよね。それが自然界の負荷だったら、ある程度それに備えるシステムを持っているんですけど、「寝不足」や「食べ過ぎ」「情報過多」とかは想定していないので、それを休めたりリセットする機会がないんですね。そういう意味では生き物的にかなり追い詰められた状態なのかもしれません。

コ2 人類史上、初めての経験をしているのかもしれませんね。

小笠原 ここまで神経や脳にストレスがかかった時代はないでしょう。それは目のことを研究していた時に思いました。だって、地震の時に懐中電灯の代わりに使えるようなもの(スマートフォン)を見続けているわけですから。

コ2 ああ、確かに言われてみればそうですね。

小笠原 それをボーッとストレス解消のつもりで見続けているわけなので、脳にとっては「何がしたいんだ」って感じでしょう(笑)。決してリラックスはできていない感じで。

コ2 パチンコ中毒ではありませんが、スマホにもそういう中毒性はあるのでしょうか?

小笠原 ありますね。情報に対する反応というだけで、十分に神経が興奮して活動しようとしますから。しかも、狭い視野でものを見るというのは、余計に緊張が高まる神経の使い方です

コ2 目の使い方ももちろんですけど、入ってくる情報量も凄いですからね。

小笠原 スマホを使う現代人が1週間で処理している情報量は、17世紀の人の一生分の情報量だとも言われていますからね。その他、考え事だけでも一日、文庫本で11冊分考え事していと前に読んだ本は書いてありましたね。考え事だけでも、ずっと体の中で脳は動いているんです。

コ2 本当に余白を許さない生活をしているわけですね。

小笠原 そうです。

コ2 そんな生活を「なんとか……」というのがパート3のエクササイズですね。そして、パート4で。こちらは編集者的には意外な展開でした。

小笠原 パート4は何を書いたんでしたっけ?(笑)

(第二回 了)

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–Profile–

小笠原和葉
撮影・菅原ヒロシ

小笠原和葉(Kazuha Ogasawara
ボディーワーカー、意識・感情システム研究家。学生時代から悩まされていたアトピーをヨガで克服したことをきっかけに、 ココロとカラダの研究をはじめ、エンジニアからボディーワーカーに転身。 施術と並行して意識やカラダを含んだその人の全体性を、一つのシステムとして捉え解決するメソッド 「PBM(プレゼンス・ブレイクスルー・メソッド®)」を構築。海外からも受講者が訪れる人気講座となっている。
クラニオセイクラル・ヒーリングアートチューターカリフォルニア州認定マッサージプラクティショナー東海大学大学院理学研究科宇宙物理学専攻修士課程修了。

Web site 小笠原和葉|PBMオフィシャルサイト

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