コ2【kotsu】レポート
J・ハリファックス博士の講演会に参加して感じたこと
コンパッションにより広がる
マインドフルネスの可能性
文●コ2【kotsu】編集部 下村敦夫
主催●SDM研究科附属SDM研究所ヒューマンラボ
AWAREとはなにか?
去る4月2日、東京・慶應大学日吉キャンパスで行われた、ジョアン・ハリファックス博士のオープン講演会(「コンパッションとマインドフルネス」ジョアン・ハリファックス博士講演会 エンゲージドブディズムの旗手から学ぶ、燃え尽きを防ぎつながりをもたらす叡智)に参加させて頂きました。
切っ掛けはコ2でも度々ご登場頂いている藤田一照先生がフェースブックに書き込んでいるのを拝見したことで、なんとなく「面白そうだ」という直感に任せてのことでした。
ジョアン・ハリファックス博士は60年代から禅に傾倒、社会活動家として活躍する一方で瞑想と社会活動を両立しているそうで、現在はAWARE(アウェア)と呼ばれる、マインドフルネス・コンパッション・神経科学を実用的なフレームワークに落とし込み、その実践を目的としたプログラムの創設者です。
今回のこの講座も今月(4月)21・22日に行われる、AWAREのワークショップの告知の意味も含まれて行われたようです。
ちなみにAWAREは、
- Attention(集中)
- Why are we doing this(意図)
- Attunement(調律・自→他)
- Reflect(受智)
- Engage and End(実行と終了)
の頭文字で、博士は講座のタイトルとなっていたマインドフルネスが社会の中で果たす役割とともに、このひとつひとつについて解説されていました。
今回の博士のお話で特に印象に残ったことが二つありました。
一つは、マインドフルネスとともに今回の講座のキーワードであったコンパッション(Compassion)の扱い方です。
コンパッションとは日本語に訳すと「思いやり」「慈しみ」という意味にあたるそうで、実は日本語に訳す際に適当な言葉がなく困ったといいます。
コンパッション(思いやり)の定義
驚いたのはハリファックス博士がこのコンパッションを、
1 相手に寄り添う
2 配慮する
3 相手に何が必要か洞察する
4 相手がよくなることを望む
そして最後に、
5 このステップを実行する
と説明されていたことです。日本語の「思いやる」「慈しむ」という、とても情緒的な働きを、明確な言葉に定義することで、誰もが迷うことなく実行できるノウハウとして、会社や学校などはもちろん、大凡存在するの社会システムに取り入れられる形に再定義されているわけです。
また博士はコンパッションを実践する際に存在する、情緒的・道徳的要素が生み出す罠や集団となった人間が落ち込む危険さについて、「健全な利他主義と病的な利他主義」「人間の美徳への挑戦」という言葉をもって丁寧に説明され、こうした運動やシステムの利点と、その難しさについて予め触れられていることに、誠実さと強い感銘を受けました。(だからこそAWAREのようなリーダーを作るプログラムが必要なのでしょう)
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