8月25日に初めてのコラボ企画を行う、山上亮さん(整体ボディワーカー。以下、亮さん)と、山本加世さん(NPO法人mama’s hug理事長。以下、もっさん)。
本イベントを記念してのプレ企画として、お二人の往復書簡が始まります。
今回のイベントのテーマになぜ、「“慈しみ”からはじまる保健体育」とつけたのか? なぜこの企画をするの? など、ここでしか聞けないお話が続々と登場します。
イベントの予習にも、お二人の人となりを知るのにも、ぜひどうぞ。
コ2イベントプレ企画連載
亮さんともっさんの往復書簡
02 もっさんから→亮さんへ 「“どうしよう病”からはじまったベビーマッサージ」
文・写真提供●山本加世
ベビーマッサージをはじめたきっかけ
亮さん、こんにちは。もっさんです。
とうとうこの日が来ました。亮さんよろしくお願いします。
前回の亮さんからの質問は、
「性教育に取り組み始めたきっかけ」でしたね。
私がなぜ、この取り組みをしたかをお話したいと思います。
…と、その前に。なぜ私が「ベビーマッサージ」の世界に入り、今ではママズハグの理事長をつとめるようになったのか?
そもそものきっかけからお話させてください。
それはズバリ。
「子どもが嫌いだったから」です。
正確には「子育てが不安だったから」と、いってもいいかもしれません。
そのあらわれが娘の子育て中に、なんども顔をのぞかせた“どうしよう病”です。
“どうしよう病”は、絶え間なくやってきた!
そう……あれは……(遠い目)、2月の寒い夜。
私は自分の車で信号待ちをしているところを、アクセルとブレーキを踏み間違えた後続車に追突されました。
誕生日の夜だっていうのに。
そして救急で病院に運ばれた私は、事故の怪我のことよりも、
「おめでたです」の言葉をかけられ、それはそれはびっくりしたのを覚えています。
でも正直、母になる喜びよりも、
ちゃんと育てられなかったらどうしよう。
生まれた赤ちゃんが泣き止まなかったら。
妊娠がわかって嬉しい気持ちよりも、
「どうしよう…」という気持ちの方が強かった。
その気持ちをどうにか安心させようと、ふらっと入った本屋で、“ベビーマッサージ”と出会ったのです。
そして娘が生まれるまでの間、この時手にしたベビーマッサージの本を熟読し、手技と理論を勉強して、生まれたての娘にこのマッサージをしました。
「ふれる」。
たったこれだけのことで、夜泣きを経験することなく、あんなに不安がっていた育児を楽しむことができたのです。そしてベビーマッサージの素晴らしさを広めたくなり、講座に通い資格も取得しました。
でも、まだ娘が1歳にもならないころ。
再びどうしよう病に支配され始めます。
それは第一次反抗期とも呼ばれる「イヤイヤ期」がやってくる! から。
このイヤイヤ期を乗り越えるべく研究を始め、いまではママズハグの人気講座でもある「キッズマッサージ」を生み出しました。インストラクターたちもたくさん育っています。
でも、でも……。こんどは三度目のどうしよう病がやってきました。今度は娘が小学校1年生の時です。
「もし思春期を迎えてクソババァって言われたらどうしよう」(ここまでくると、ほとんどビョーキです笑)。
でもこれが思春期のタッチケア、そして8月のコ2講座のテーマのひとつになっている「性教育」を研究するきっかけとなったのです。
そう! 私の勉強や研究のきっかけは全て、“どうしよう病”の発病から始まるといっても過言ではないのです。
オダワラブ仲間の招きで中学校で講演を
性教育を伝えることをはじめたのは、さきほど書いた、どうしよう病のせいだけではありません。
地元の中学校の先生と出会ったことも、大きなきっかけになっています。
2011年1月にはじまった「オダワラブ(小田原LOVE)」という、小田原市が好きな人なら誰でも参加できるという集まりがあります。そこでは、みんなでお酒を飲みながらいくつかのチームに分かれ、地元・小田原をもっと楽しくするアイデアを話します。
たまたま私が、自分たちのチームで話した内容を即興でプレゼンしました。すると集まりが終わったところで、1人の女性に話しかけられました。
「どのような仕事をしているのかわからないのですが、うちの中学校で講座をしてもらえませんか? 加世さんの話したいことを話してほしいんです」
驚きましたよ。でも「もちろん!」と、その場で二つ返事でお受けしました。(今思えば、どこの誰ともわからない人間を、しかも学校現場に誘うなんて。本当に勇気のある人だと思います笑)
そこで我に返った私。「何に興味があるかわからない、しかも私のことを全く知らない中学生に、一体なにを話せばいいんだろう…」と、しばらくうんうん悩んだあげく、気づいたんです。
「そうだ! 私の得意な“ふれる”ことを伝えればいいじゃないか」って。
1年目は、ふれることで変わる人との関わり方や、ふれることが生きることに繋がることを、中学校の生徒たちに話しました。
続く2年目。初めて、「性」をテーマに選びました。
「ふれる」から→「性」とは、いきなり飛躍しすぎ!? とおもわれるかもしれませんね。
でもまさに、今回のイベント「自分も人もすきになるタッチvol.1〜“慈しみ”からはじまる保健体育」を企画するにあたって、亮さんと話をしたことにつながります。
性教育はそもそも、生物学的なところ(「おしべ」だとか「めしべ」だとか「月経」だとか「射精」だとか)からではなく、私自身が子育てを含めてこれまで経験してきた、
“ふれること”から生まれる“愛”や“慈しみ”から、性教育を語り始めたいよね……
と強くおもったのです(だからあの時、亮さんと話が弾んで本当に嬉しかったです)。
講座では中学生の子どもたちに、モラルや時代で変わる性教育ではなく、変わらないこと、こうした「慈しみから始まる性教育」について伝えました。
どんな風に受け取られるかな…とドキドキしていたのですが、講座のあとの子どもたちの感想から、
「愛がなければ自分が生まれてこなかったんだ」
「愛がなければ何もできない」
「人との関わりが大切であることがわかった」
と、性教育をテーマにしたのに「愛」の文字が多く戻ってきたことがとても嬉しく、とてもびっくりしました。
この講演は恒例となり、今も年一回続いています。
○亮さんへの、質問です!
では、亮さんへの質問タイムへ。
私はちゃんと仲直りまでをセットにできるのなら、子どもの前で夫婦喧嘩見せるのも悪くないかな?、これも私にとっての性教育だなぁって思うのです。
そこで。
亮さんは奥さんと喧嘩しますか? そして仲直りはどのようにしていますか?
【イベント告知】
2018年08月25日(土) 13:30〜16:30に、
山上亮さんと山本加世さんによるトークイベント「自分も人もすきになるタッチvol.1」が開催されます。詳細やお申し込みはこちらから↓
イベントページ「「自分も人もすきになるタッチvol.1〜 “慈しみ”からはじまる保健体育」開催!」
ふるってご参加ください!
(第2回 了)
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–Profile–
●山本 加世(Kayo Yamamoto)
就職後、食べ物に関わる仕事がしたいと一念発起、フードコーディネーターとなる。結婚、出産を経てタッチの大切さを普及すべく、ベビーマッサージのインストラクターに。2006年にNPO法人mama’s hugを設立し、 「100の言葉よりhug」をモットーに、心と身体の知能、脳科学、皮膚科学心理術に基づく【Touch学】を提唱する。2013年にはボストン校を開校。ベビー・キッズ・ガクセイ・オトナ・マタニティといった世代別の講座を開講し、インストラクターを養成している。月刊クーヨンをはじめ、取材多数。
Web site NPO法人mama’s hug(ママズハグ)