武術の根幹と言えば身を護ることにある。法治国家である現在の日本においてもそれは同じだ。時として、理不尽な要求や暴力から自分や大事な人の身を護るためには、決然と行動を起こす必要があるだろう。しかし、そうした行為もまた、法で許されている範囲の中で行わなければ、あなた自身が法に裁かれることになる恐れがあるのも事実だ。
では果たしてどのような護身が有効なのか?
本連載では元刑事であり、推手の世界的な選手でもある葛西真彦氏に、現代日本を生きる中で、本当に知っておくべき護身術を紹介して頂く。
元刑事の武術家が教える、本当に役に立つ術
実践、超護身術
第三十五回 事例で考える間接護身02
文●葛西真彦
あなたならどうする?
これまでこの連載では私の提唱する間接護身について、かなり多くのことを書き綴ってきました。
前回は連載に一区切りを付けるにあたって、実際に起こった実例を参考に私が作った想定問題を用意しました。
今回は第二弾です。皆さんにはここまでの連載内容を踏まえて、具体的にどうすれば良いのかを考えて頂ければと思います。
もちろん答えは一つではありません。“この方法はマイナスだろう”と思ってようなことでも、当事者の状況によっては、結果的に最善であったりすることもあり、その意味では正解はないとも言えます。
ですので、私もポイントを提示していきますが、これが絶対的な正解ではなく、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。大事なことは、自分で考え、納得のいく答えを出すことです。そうしたマインドを作り上げていくことで、これから先も皆さんのなかで間接護身の思考が発展していけばと考えています。
では事例を挙げていきましょう。
事例2 拳銃を使わない警察官
商店街を妻と歩いていたら、怒鳴り声が聞こえる。“なんだろう?”と思い見に行くと、刃物を持った男と警察官が対峙している場面に遭遇! “どうなるのか?”と見てると、なぜか警察官は刃物で突かれたり攻撃を受けて、腕から出血しているが拳銃を出す素振りはない。
見かねたあなたは「拳銃持ってるだろ? どうして撃たないんだよ!」と警察官に声を掛ける。
しかし、それでも警察官は銃を取り出そうとはせず、「危ないから離れて!」とあなたに言いながら、あくまでも警棒と言葉だけで対処しようとしている。
あなたの眼には警察官は適切に対応できておらず危険に見える。また、応援の警察官も登場する気配がない。おまけに周囲はスマホで撮影する野次馬で人だかりまでできている。あなたはどうすべきであろうか。
この事例について、あなたはどうすべきでしょう。
著者の考えるポイント
○拳銃を使うリスク
ここで重要なのは、“なぜ警察官が拳銃を撃たないのか”ということです。ほとんどの人は引き金を引けば弾が飛ぶことはご存じですが、その弾がどこへ飛ぶかについてしっかり意識を持っていないようです。そして警察官にとってはこの“弾の飛び先”がとても重要なことなのです。
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