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「バランス」に着目し、独自の指導を行っているバランストレーナー・小関勲氏と、古伝の日本の武術を探求しつつ独自の技法を展開している武術研究者・甲野善紀氏。お二人の元には、多くのオリンピック選手やプロスポーツ選手、武道関係者に音楽家までもが、時に“駆け込み寺”として教えを請いに訪ねて来られます。
そんなお二人にこの連載では、一般的に考えられている身体に関する”常識”を覆す身体運用法や、そうした技の学び方について、お二人に語っていただきました。
十数年に渡って親交を深めてきた二人の身体研究者が考える、身体のコツの見つけ方とは?
第七回は、テレビ番組「SASUKE」のサスケ君の練習方法や、甲野先生の技の気付きについてのお話。お二人の練習方法にはある共通点がありました。
カラダのコツの見つけ方
第七回 ピークをどこに持ってくるか
語り●甲野善紀、小関勲
構成●平尾 文(フリーランスライター)
テレビ番組「SASUKE」のサスケ君の凄さ
小関 甲野先生は「SASUKE」というテレビ番組をご存知ですか。
甲野 ああ、アスリートや運動に自信のある方が力試しで出ている番組ですよね。
小関 そうです。いくつかの障害物があるステージを制覇する番組です。去年の春か一昨年、子どもとその番組を見ていたのですけど、「新星現わる!」という感じで、サスケ君(森本裕介選手)と呼ばれる若い大学生が出場していました。
挑戦者の中には、昔から出場している常連の方もいて、なかには仕事を辞めて自宅に「SASUKE」のセットを作って練習をされている方もいます。また、「SASUKE」に入れ込むあまり離婚をされている方もいて……そういう涙ぐましい努力をされているんです。
甲野 「SASUKE」を取ったら、人生なくなる(笑)。でも、分からないこともありません。私も高校の頃は、“屋根まで跳び上がることができたら、死んでもいい”くらいの思い入れで、毎日、木の枝に飛びついたり、塀を飛び越えていましたから。おかげで、その場からタクシーの屋根ぐらいは飛び上がれましたけど、家の屋根は到底無理でしたね。
小関 そうなんですか! それはまた凄いですね。
コ2編集部(以下コ2) 「SASUKE」は私も観ますけど、挑戦者の方は、相当、過酷な日々を送られていますよね。
小関 はい。時には悲壮感さえ漂っていて……。見ている方は面白いんですけど、「こんなに過酷な状況で大丈夫かな?」と思うわけですよ。そんな挑戦者がひしめく中、ナチュアルなサスケ君が出て来た。
私が見た時、彼は大学4年生だったのですが、初代の「SASUKE」からずっと見ていて、「将来、「SASUKE」に出たい」と切望して、中学校と高校は部活に入らず、学校から帰ると毎日「SASUKE」の練習をしていたそうです。
毎日練習をすること自体は、他の常連の挑戦者と同じなのですが、サスケ君が他の挑戦者と全く違っていたのは、その練習方法でした。
コ2 どういう練習方法だったのですか?
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–Profile–
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●甲野善紀(Yoshinori Kouno)
1949年東京生まれ。78年松聲館道場を設立。日本の武術を実地で研究し、それが、スポーツ、楽器演奏、介護に応用されて成果を挙げ注目され、各地で講座などを行っている。
著書に『表の体育 裏の体育』(PHP文庫)、『剣の精神誌』(ちくま学芸文庫)、『武道から武術へ』(学研パブリッシング)、『古武術に学ぶ身体操法』(岩波現代文庫)、『今までにない職業をつくる』(ミシマ社)、共著に『古武術の発見』(知恵の森文庫)、『武術&身体術』(山と渓谷社)、『「筋肉」よりも「骨」を使え!』(ディスカバー・トゥエンティーワン)など多数。
Web site: 松聲館
Twitter 甲野善紀