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中学生の時、保健体育はナゾでした。なんとなくエッチな感じがあって、でも真面目な顔をして先生は講義をしているし……。
その当時から体育が大好きだった私は、いまでも身体のことに興味があります。ただ、その頃のナゾだとかエッチな感じだとかそんな曖昧なことではなく、もっと身体のことを知って、大人になった今だからこそ、改めてこれからの人生を一緒に生きていく自分の身体と、もっと仲よくつきあいたいと考えています。
そこでこの連載では、私・伊東昌美が身体についてのセミナーやワークショップに参加して、それなりに自分の身体を使ってきた今だからこそ必要な、“保健体育”についてご紹介していきたいと思います。
「もっと!保健体育」第六回は鍼灸師の平地治美先生です。
伊東昌美のもっと!保健体育
第6回 鍼灸師・和光治療院・漢方薬局代表・平地治美先生
文・イラスト●伊東昌美
“もっと!”初の鍼灸登場!
今回の「もっと!保健体育」は、和光治療院の鍼灸師である平地治美先生です。
私と平地先生との出会いは、一冊の書籍の仕事を通じてでした。
それが、
です!
舌診について書かれた平地先生のこの著書の、イラストを描かせていただいたことがご縁のはじまりです。
平地先生は漢方の先生で、その治療院では鍼灸治療をされていると聞きました。そこで「一度体験したい!」と治療院に伺いました。
最初に伺った時、実にていねいな問診を受け、漢方が身体全体を整えるということを知り、鍼灸治療が病の一歩手前、未病の状態で食い止めてくれるように感じられたのが印象に残りました。
それ以来、何回となく身体のメンテナンスのために平地先生の治療院に通っているのですが、考えてみれば、この連載「もっと!」ではまだ鍼灸や漢方の世界をご紹介していないことに気がつきました。
そこで今回は、この平地先生を取材させていただきました。
平地治美
1970年生まれ。明治薬科大学卒業後、漢方薬局での勤務を経て東洋鍼灸専門学校へ入学し鍼灸を学ぶ。漢方薬を寺師睦宗氏、岡山誠一氏、大友一夫氏、鍼灸を石原克己氏に師事。約20年漢方臨床に携わる。和光治療院・漢方薬局代表。千葉大学医学部医学院非常勤講師、京都大学伝統医療文化研究班員、日本伝統鍼灸学会学術副部長。漢方三考塾、朝日カルチャーセンター新宿、津田沼カルチャーセンターなどで講師として漢方講座を担当。現在、週刊大衆で連載「0円健康術」も持っている。
Web site 和光治療院
鍼灸(しんきゅう)ってなに?
実を言うと『舌診入門』のイラストを描かせて頂く前の私は、「漢方」という言葉と、「鍼灸」という言葉は、別々に宙に浮かんでいるような言葉だったのです。
でも、おかげさまで“漢方ってなに?”ということが少しわかるようになりました(笑)
漢方というと、すぐに苦いイメージの漢方薬が浮かぶのですが、それだけではありません。
古くは弥生時代に中国から渡ってきたとされていますが、文献が残っていないので、正確な記録はないそうです。
もともと日本には「和方(わほう)という治療があったのですが、朝鮮半島や中国大陸から外国人医師を呼び寄せて治療をするようになり、その治療法が「漢方」というわけです。その後漢方は、日本に合ったかたちでアレンジされて、独自の形で発展していったのだそうです。
だたし、「漢方」という名前がついたのは幕末の頃なのだそうで、日本の「和方」オランダ医学の「蘭方(らんぽう)」に対して、あらためて「漢方」と呼ばれるようになったということです。
そんな漢方の治療法は、次の五つ、これらによってトータルな治療を促します。
湯液(とうえき)…漢方薬のこと
鍼灸(しんきゅう)…鍼(はり)やお灸のこと
按摩(あんま)…カラダを揉んだりさすったりして調子を整えること
導引(どういん)…体操、呼吸法のこと
養生(ようじょう)…食養生などを含む生活指導
漢方薬も、鍼灸の治療も、舌やお腹を見たり触ったりして診断することも、すべて総称して「漢方」と呼ぶのだそうです。
だから平地先生は漢方の先生で、その漢方の治療の一つとして鍼灸の治療をする、ということなのですね。
冒頭で「ていねいな問診」と書きましたが、初めて治療院を訪ねたときに驚いたのは、診察にかなりの時間がかかるということです。なぜならとてもたくさんの質問をしてくれて、そういう中から身体の不具合を探し出してくれるからです。
これが漢方の中の「養生」ということなのですね。
私は初診の時、問診と治療で二時間たっぷり時間をとってもらいました。
普通、病院などでは「二時間待って診察は5分」なんていうことがよくあります。それを考えると、二時間ずっと一人の患者さんの身体を向き合ってくれるわけですから、これは凄いことだと思います。
診断は「四診」といって、“見る、嗅ぐ、聞く、触る”と五感のすべてを使っておこ なわれます。それぞれを簡単に紹介すると、
望診…顔色や舌の状態を見て診断
聞診…声やカラダから発する音を聞く・においを嗅ぐ
問診…問いかけて答えてもらう
切診…患者さんに触る。お腹をさわったり脈の状態を診たりする
一般に病院に行くときは、「お化粧などしない方がいい」と言われますが、漢方の場合は、こうした五感を使ってその人の顔色や肌のつやなどを手がかりに診断が行われるわけですから、普通の病院以上にスッピンでいかれることをオススメします。
さて、それでは実際の鍼灸治療について書きます。
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