連載 背骨を反らせば体が変わる  超!後屈入門 第三回

| 今村泰丈

背中を反らせば体が変わる

超!後屈入門

第3回 強固な土台が強靭な背骨をつくる

今村泰丈

Image: iStock

背骨は折れ曲がるのではなく「しなる」

前回のおさらいとなりますが、背骨は折れ曲がるものではなくしなるものであるとお話ししました。そのためには稲穂のように力強く上に伸びる必要があるのですが、その際に意識したいのがエロンゲーションという作用です。上下に引っ張られ、引き伸びているイメージをすることでカラダの中心軸を感じられ、結果として後屈の動作が安定します

前述の通り「上下に伸びる」ことがエロンゲーションには大切なのですが、今回は上に伸びる為に重要な下方向の力に焦点を当ててお話ししていきたいと思います。

後屈の土台は足。下半身の強さが腰を守る

現代人の生活は歩く機会が減っているということは、周知の事実だと思います。さらには、日本人が1日に座っている時間は先進国の中で最も長い7時間であり、座りっぱなしの生活は多くの健康リスクを高めることが言われています。

特に、椅子に座っている時の下半身は、筋電系で測っても針が全く振れない、つまり完全休止状態であることが分かっています。特にふくらはぎはmilking action(ミルキングアクション)といって、静脈の血液を押し戻し、血液循環の役割があることからも、座りっぱなしでいることは健康リスクの面からもとても問題です。

このふくらはぎを積極的に使うのが後屈です。

立った状態の後屈ではふくらはぎの筋肉も使うこととなるのですが、ふくらはぎが正しく使われるためには、足指の使い方と股関節の使い方の2点が重要となります

この2つの使い方を間違えると、後屈を深めることができないだけではなく、腰を痛める原因にもなりますので、一つひとつ着実にマスターしていきましょう!

今回はまず、足指の使い方について触れていこうと思います。

「現代人の足指は退化している」

これもこのウェブマガジンをお読みの方はよく聞くフレーズではないでしょうか?(決して現代人の生活全てを批判しているわけではございません)

クッション性の高いシューズは足を守る一方で、本来備えている衝撃吸収機能を退化させる原因ともなっています。衝撃吸収作用を足指が作り出しているため、靴を履いている時間が長いと徐々に足指の機能が衰えてしまい、様々な影響を与えます。

では、足指の大切な役目とは一体なんでしょうか?

答えは「カラダを伸ばす起点」です。

エロンゲーションの「下方向へ伸びる作用」が後屈における足指の役目になります

5本の足指全部が使えていることはもちろん大切なのですが、中心軸の形成に関しては、足の親指が特に大切になります。

足の親指で地面を踏むと、内転筋に力が入り腹圧が高まります。腹圧も、後屈する上で非常に重要なポイントになります。(こちらは続く連載の中でご紹介します)

親指の重要性は、簡単に体感していただけます。

  1. 足を揃えた状態で立ちます。
  2. 足の指で地面を踏みます。

これだけです。

小指(足の小指)側で踏んだ場合と、母趾側で踏んだ場合で反応の違いを見てみましょう

小指で踏むと、ももの外側に力が入り、重心は後方へ移動するため倒れそうになると思います。一方で、親指で踏むと重心は若干前に移動し、内もも(内転筋)に力が入っているのを感じることができると思います。

内転筋が働くと、地面の方向へ押す力が生まれます。すると、地面から受ける反力(床反力)が生じ、重力に対抗するよう上体を上に引き上げます

人間のカラダは常に重力によって下方向へ力がかかっているので、反力を利用して伸びる必要があるのです。

つまり、足指(特に親指)が使えないとエロンゲーションの感覚を得るのは少し難しくなります。すると、徐々に重力に負けてカラダは丸くなり、より後屈動作は困難となります。裏を返すと、後屈の練習をすることは重力に負けないしなやかなカラダを作るのに適していると言えます。

足指の重要性を理解いただけたようであれば、次は足指を使えるようになる方法をお伝えしていこうと思います。

足指とふくらはぎに効果的なワーク

今回お伝えするワークは、足指を使えるようにする方法でもあり、正しい後屈を習得するための練習にもなります。そして、前半で取り上げたふくらはぎの活性化にも非常に効果的ですので、是非取り組んでみてください。

  1. 壁の方を向いて、足ひとつ分離れたところに立ちます。
  2. 股関節を前に出し、壁に骨盤(恥骨が壁に付く)を押し付けます。
  3. そのまま1分キープ。余裕があれば、数センチづつ後ろに下がっていく。

2.を行う際の注意点が1つだけあります。それは膝を完全に伸ばすことです。

股関節の使い方にも関係するのですが、膝が曲がった状態だと股関節は伸展(足が体に対して後方にいく)することができません。股関節が伸展しない場合、後屈時に腰椎を過剰に反ることとなり、腰痛の原因になります

次回の記事で詳しく股関節に触れていきますが、股関節が硬いと(特に伸展動作)腰椎過剰に動くこととなり、カラダを痛める原因となります

特に後屈では、反った勢いで腰を痛める方が多いのですが、その原因の大多数が股関節の伸展不足です。そして、伸展不足の一因として足指と股関節の連動性があります。この連動性を引き出す鍵となるのが膝の伸展になります。

膝を伸ばした状態で股関節を前に出していくと、ももの筋肉に力が入っているのを感じることができると思います。特に大腿四頭筋が収縮している状態は、骨盤の動きをロックする役目を果たすので、骨盤が過剰に前傾して背骨に負担をかけることがなくなります

そして、実際の後屈動作の際も、大腿四頭筋に支えられているような下半身の使い方をします。

もちろん、足先は足指でしっかり床を踏み締めた状態です。ふくらはぎにも最大限のストレッチを感じることができると思います

後屈は、骨盤と上半身のカウンター

動作の目安として、股関節がつま先のラインを超えることを目指して骨盤を前方に出していきます

後屈では、骨盤と上半身がカウンターを取ることでバランスを保ちます。つまり、股関節が前に出て行った分だけ、背骨を後方に反らすことが可能になるわけです。

多くの方は股関節を前に出すという行為自体が苦手です。

ですので、まずは壁のサポートを使いながら、足指を使って安定させながら骨盤を前方移動する練習をしてみてください。

(第3回 了)

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–Profile–

image from lococlan.com

今村泰丈(Yasutake Imamura

モーションクリエイターとして岩手県盛岡市を中心に活動。
岩手リハビリテーション学院作業療法学科卒業後、7年間回復期病院に勤務。その後合同会社LOCOCLANを設立。Studio -Roots- MORIOKAオーナー。
2014〜2016にかけて47都道府県全県で、延べ10000人に医療従事者、ヨガインストラクター向けの治療セミナーを開催。身体合理性を追求した神経統合メソッド Somatic Flow®︎ を考案。

スタジオルーツ盛岡にて整体師、パーソナルトレーナー、ヨガ指導者として活動している。その他発達支援事業に作業療法士として従事。

合同会社LOCOCLAN 代表(http://lococlan.com/
作業療法士
PFILATES®インストラクター
BESJ認定PILATES&MasterStrech®インストラクター
NESTA認定パーソナルトレーナー(全米ストレングス&スポーツトレーナー)
Somatic Flow™エデュケーター

■資格
全米ヨガアライアンス RYT200
DNS exercise course1修了
Natural movement™ Level1修了