連載 セルフタッチング入門 第9回 基本のセルフケアその②〜呼吸に気づきをもつ

| 中川れい子

 セルフタッチングの実践編その②です。セルフタッチングの実際を動画付きでお伝えしていきます。
まずは「自分の内側のリソースとつながる」ために、ご自身の呼吸に気づいていきます。

 中川さんがリードする、ワーク動画もあわせて視聴ください。

Image: iStock

わたしに触れる、コロナ時代のタッチケア

セルフタッチング入門

 

第9回 基本のセルフケアその②〜呼吸に気づきをもつ

中川れい子

 

セルフタッチングでは、自分の手の平で自分のからだに触れ、また呼吸を通じて自分の内側へと触れていきます。現在のようなコロナ禍にあって、ただでさえ呼吸が浅くなりがちな今、あらためてセルフタッチングの(もちろんタッチケアでも)重要な要素である“呼吸”について、今回はじっくり深めていきたいと思います。

存在(Being)の源泉でもある「呼吸」とは?

この世に生まれ落ち、自分自身の肺で呼吸をはじめてから、人生の最期に「息を引き取る」瞬間まで、呼吸は私たちの生命の源泉であり続けます。

寝ているときも起きているときも、私たちは呼吸をしなければ生きていけません。それを止めてしまうことは死のイメージと容易に結びつきます。「息がしづらい」とは、生きることの自由を奪われることを意味し、苦痛や恐怖の感情とも結びつきやすくなります。その感情に支配されることで私たちは息をひそめ、浅く速い呼吸へと促されがちです。

でもふだんは無意識に呼吸をしていますから、ふとご自身の呼吸に意識を向けると「はっ」とするよう感覚を覚えるかもしれません。呼吸に意識を向けることによって、自分は“今・ここ”で、この瞬間に息をしている(=生きている)ことに気づき、自分のからだの主人公はまぎれもなく自分自身であることにも、気づかされます。

「空気を吸うことで酸素を取り入れ、吐くことで二酸化炭素を排出する」という循環を通じて、私たちは外側の世界とからだの内側とをつないでいます。また無意識でも意識的にも呼吸はできますから、呼吸とは「私たちの外側の世界と内側の世界を結び、意識と無意識をつなげる架け橋」のようなものです。

Image: iStock

 

呼吸とは「生きている自分」と「生かされている自分」の両方をつなげてくれるもの。そしてあれこれ考え、曖昧になりがちな自分自身の存在を“今・ここ”につなげてくれるもの、それが「呼吸」なのです。

ゆえにその重要性は、どれほど強調してもしすぎないほどで、太古の昔から、ヨガや瞑想、禅、現代のマインドフルネスなど、様々な気づきのメソッドで「呼吸」は重要な役割を担ってきたのです。

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–Profile–

中川 れい子(Reiko Nakagawa

NPO法人タッチケア支援センター 代表理事、<身(み)>の医療研究会理事、こころとからだのセラピールーム amana space 代表。エサレン®ボディワーク認定施術者。

兵庫県生まれ。関西学院大学文学部卒業後、塾・予備校等の教育産業に従事(主に大学受験の日本史を担当)。1995年の阪神淡路大震災で被災後、現地ボランティアとして被災の現場にあたる中、からだを通してのこころのケアと癒しの必要性を痛感し、1998年よりボディワーク、ボディサイコセラピー、ソマティクス、カウンセリング、カラーセラピー、各種ヒーリング等を学び始める。1999年に、日本で最初に開催されたエサレン®ボディワーク認定コースに参加。その後、認定プラクティショナーとして関西の自宅で開業。ひたすらにセッションを積み重ねる中、非侵襲的な、ソマティクス・ベースの“タッチ”の癒しの可能性を痛感し、2011年に、NPO法人タッチケア支援センターを設立。「やさしくふれると世界はかわる」をテーマに、タッチケアの普及・教育・研究・ボランティア活動を開始し、家族間ケアや、看護・介護等の対人援助に活用できる「こころにやさしいタッチケア」を講座を開講。並行して、エサレン®ボディワークや、ローゼン・メソッド、米国ホスピタル・ベイスド・マッサージの公認講師を日本に招き、講座のオーガナイズもおこなう。

現在は、修了生と共に高齢者施設・がん患者会・緩和ケア病棟・産科病棟等での施術活動や、うつ病の回復期の方の就労支援センターや発達障害の方の地域支援センター等で、セルフタッチングのワークショップを開催。また、各種教育機関や福祉施設での出張講座も請け負う。エサレン®ボディワークを中心とする個人セッションも継続中。

website:NPO法人タッチケア支援センター(http://touchcaresupport.com)
website:こころとからだのセラピールーム amana space(http://www.amanaspace.com/about_amanaspace.html)