ソマティックワーク入門 第12回 臨床瞑想法 大下大圓さん(実践編02)

| 半澤絹子

健康とウェルビーイングの一歩先を求めて−−。
今、こころとからだの健やかさの質を高める、
マインドフルネス瞑想やボディワークなどが人気を呼んでいます。
からだの感覚に注目し、
心身が心地よい状態へとフォーカスすることで、
深い気づきや静けさを得たり、
自己肯定力や自己決定力といった心身の豊かさを育んだりしていく。
これらは、
こころとからだのつながりを目指す

「ソマティックワーク」という新しいフレームワークです。

その手法は、タッチやダンス/ムーブメントなど多岐にわたり、
1人で行うワークから、ペアやグループで行うワークもあり、
自分に向くものはそれぞれ異なります。
この連載では、
これからの時代を生きる私たちにとって、知っておくべき「からだのリベラルアーツ(一般教養)」として、各ワークの賢人たちの半生とともに
「ソマティックワーク」が持つ新しい身体知を紹介し、
それらが個々の人生や健康の質をどう変化させたのかを探っていきます。

Image: iStock

リベラルアーツ(一般教養)として学ぶ

ソマティックワーク入門

−新しい身体知の世界をめぐる−

第12回 瞑想は癒しだけでなく、前向きな自分も育めるもの
臨床瞑想法 大下大圓さん(実践編02)

取材・文半澤絹子
写真協力飛騨千光寺
取材協力日本ソマティック心理学協会

ソマティックワークには、最新の神経学研究などによって生まれたアプローチのほか、仏教などの伝統的な行によるワークもあります。

瞑想はその代表的存在。「心身一如」を目指すソマティックワークとしてもっとも基本的なものです。

今回は、「臨床瞑想法」の実践法として、臨床瞑想法のうちの「たかめる瞑想」と「ゆだねる瞑想」について解説します。

生きながらにして悟るにはとにかく瞑想すること

飛騨千光寺の御住職である大下大圓さんが開発した「臨床瞑想法」。

この瞑想法は、世界のさまざまな瞑想法(主に仏教瞑想)を取り入れているが、いちばんの根底にあるのが、密教が連綿と伝えてきた「即身成仏」の教えである。

即身成仏とは、あの世で仏になるのではなく、「生きている間」に「この世」で仏になること。

つまり、生きながらにして自分を癒し、自分を救い、悟っていく方法である。

大下さんはこのように語る。

「真言密教の祖である弘法大師さま(空海)は、即身成仏は一日にしてできるものではないとおっしゃっています。悟りを得るには『瑜伽行(ゆがぎょう)』、つまり『瞑想』を深く行うことが必要であると経典に記されています。ですから私は皆さんに瞑想を広げようと活動しているわけです」

瞑想には、下記の段階があり、順を追って瞑想をすることで、より安全に確実に瞑想を深めていけるという。

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–Profile–

大下大圓(Daien Oshita

高野山真言宗 飛騨千光寺住職。和歌山県立医科大学連携教授。高野山傳燈大阿闍梨。日本臨床宗教師会副会長、日本スピリチュアルケア学会理事。指導スピリチュアルケア師。12歳で出家し、高野山で仏教、密教の修行をしたのち、スリランカで初期仏教と瞑想を修業。1986年より病院のベッドサイドでの傾聴活動を行い、「臨床瞑想法」を確立。京都大学大学院医学研究科/愛知医科大学大学院看護学研究科/名古屋大学医学部等、多数の大学医学部の非常勤講師を勤め、医療従事者を中心に臨床瞑想法を指導。『臨床瞑想法 心と身体がよみがえる4つのメソッド』(日本看護協会出版会)など著書多数。

飛騨千光寺web Site(https://senkouji.com)

半澤絹子(Hanzawa Kinuko
フリーライター、編集者。各種ボディワークやセラピーを取材・体験し、「からだといのちの可能性」、「自然と人間とのつながり」に関心を持つ。「ソマティック・リソース・ラボ(https://www.somaticworld.org/)」運営メンバーの1人として、ソマティックに関する取材や普及活動も行う。