コ2【kotsu】レポート 小笠原和葉「システム感情片付け術 実践編」講座

| 畑中麻貴子

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理系ボディワーカーとして、オリジナルのメソッド「PBM(プレゼンス・ブレイクスルー・メソッド®)」が人気の小笠原和葉さん。その初の著書『システム感情片付け術』(小社刊)の世界をよりよく知り、さらに実践してみる講座が、2016年9月24日に朝日カルチャーセンター新宿教室で開催されました。 本書のエクササイズもたっぷり実践しながら、体と心のつながりを体験できる充実の2時間半。和葉さんの講座に初参加した畑中麻貴子さんが、ヨガインストラクターとしての視点も交え、体験レポートしてくれました。

コ2【kotsu】レポート 小笠原和葉

「システム感情片付け術 実践編」講座

取材協力朝日カルチャーセンター新宿教室
畑中麻貴子(ライター&Yoga Gathering*主宰)

 

小笠原先生

 

“ボディワーク”って何?

当日は朝から降り続いた雨も上がり、すっきりした空気が流れる会場内。
講師の和葉さんが登場すると、華やかな笑顔と柔らかな佇まいに、会場の雰囲気はさらに明るくなりました。

簡単な自己紹介の後、和葉さんがまず

「“ボディワーク”という言葉を聞いたことはありますか?」
「私の本を、事前に読んでくださった方はいますか?」

と参加者に声がけ。

でもどちらの質問にもパラパラと手が挙がる程度で、お互いにまだ、様子見をしている雰囲気。ヨガのワークショップなどに参加し慣れているわたしにとって、この遠慮がちな(初々しい?)雰囲気の講座は、かなり久々な気がします。

何より驚いたのは、男性が多い! ということ。これはいわゆるボディワーク系の講座ではとても珍しい。しかもあとで聞いたところによると、参加者の受講のきっかけは「講座のタイトルにピン、ときた」という方が多かったそうです。

参加者は一体「システム感情片付け術」の何に、興味をもって引き寄せられたのでしょうか? 和葉さんの説明が待ち遠しくなってきました。

和葉さんいわく、

 “ボディワーク”とは体を入り口にその人全部に働きかけ、全体性を整えるもの

これは、和葉さんが自身の体験から学んだこと。大学で宇宙物理を学び、システムエンジニアとして働いていた時、夜眠れないほどひどくなったアトピーをヨガで克服。それをきっかけに「理系から癒やし系に転職します!」と宣言して、ボディワークの世界に飛び込んだのだそう。

現在は自身の活動を通して「心と体のつながりを、体を入り口に探究する」ことを続けている和葉さん。

「実際、どんなことなのかな?」そんなことを考えていると……

「言葉で理解するより、実際に動いてみましょう!」という和葉さんの掛け声とともに、参加者全員が立ち上がり、ペンを脇に置いてエクササイズが始まりました。

 

会場がふわっとひとつに。エクササイズ実践編

今回の講座の目玉は、『システム感情片付け術』で紹介されたエクササイズを、和葉さんの解説つきで実際に体験できること。エクササイズを進めるたびに、参加者の顔がふわっとにこやかになっていくのが印象的でした。

【エクササイズ1】まずはアイスブレイク!「からだのびのびストレッチ」

  1. 各々両手を組んで手のひらを返して、腕をグーンと天井方向に腕とストレッチ。
  2. 次いで身長の合う人同士ペアになり、両肩を持ち合って軽く前屈しながらの背骨のストレッチ。
  3. さらに相手の手を互いに取り合い横向きで引っ張り合いっこをしての体側のストレッチ。

コミュニケーションをとりながらのストレッチが終わる頃には、場内からは「気持ちいい~」「すっきりする」との意見や、笑声が上がり、皆さんの表情も明るくおしゃべりに。わたしも固まっていた肩周りが一気ほぐれました。 「体」を動かしてみると何が起きるか。参加者それぞれの感覚で実感できた様子でした。

講座風景
【エクササイズ1】からだのびのびストレッチ。

 

【エクササイズ2】自然な体の状態に気づく「肺の大きさを知る」

「正しい呼吸する」のではなく、ただ「体の事実を知る」ことで起きる変化を感じていきました。本のエクササイズパートでは、最初に紹介されているもの。 ペアになり、一方が相手の肺の位置に手を置き、置かれた側はその位置を確認しながら、本当の自分の肺の大きさを感じていきます。 右肺、左肺、交互にタッチ→ゆっくり呼吸を繰り返した後、歩いたり、自分の顔を見てもらったりしました。

タッチをしてもらったままで、肺の大きさを意識しながら歩くと、ふれられている側の足がスッスッと自然に前に出て、断然軽やか。ペアを組んだ人に顔を見てもらうと「ふれていた側の目が潤んで、ぱっちりと開いているね」と指摘されました。そんなに見た目の違いがあるとは……。

いつもは小さいものと見積もっていた肺が、想像以上に大きかったという事実、そしてたくさんの息が入ると、こんなにも体が楽になるなんて驚きです!

講座風景
【エクササイズ2】肺の大きさを知る(左)/ふれてもらっただけで目がぱっちりに!(右)。

 

【エクササイズ3】視野の広がりを感じる「水平線をイメージ」

楽な姿勢で座り、軽く目を閉じて水平線をイメージするところから始まり、横への広がり・空の広がり・背中の空間の広がりを感じる、海の波を思いうかべるなど、和葉さんの深く優しい声のガイドに導かれての、少し長めのエクササイズ。

参加者の感想は「思考が楽になった」「呼吸が楽になった」など、かなり変化を実感したよう。わたしもトライしてみて、緊張していた目が休まり、気分がスーッと落ち着きました。みんなの顔の表情もグッと和らぎ、会場のムードがすっきりと軽く、穏やかに。これぞ「神経が落ち着いた」ということなのだと思いました。

講座風景
【エクササイズ3】水平線をイメージ。

 

【エクササイズ4】呼吸とともに腕を上下に「指先からレーザー」

手を呼吸とともにゆっくりと上下に動かして行く。動きながら、さらに指先からレーザー光線を発して、広く遠くどこまでも〜、伸びていくのをイメージしていく。

ごくシンプルな動きでも、レーザー光線のイメージが加わることで、空間がいつもより遠く大きく感じられました。腕と体がよく伸び、固まりがちな肩甲骨のあたりの筋肉がほぐれました。PC疲れや肩こりの解消にもよさそう。

講座風景
【エクササイズ4】指先からレーザー。

 

感情が生まれてくるメカニズムとは?

みんなの心と体がすっきりムードも和んだところで、今回のテーマである「感情」との付き合い方についてのお話がありました。 「感情のシステム」についての解説は、上下に波打つ波線をホワイトボードいっぱいに書き込んでのスタート。

講座風景

 

「これは私たちの自律神経の自然な動きを現したものです。

  • 波線上=交感神経が優位。活動の時、緊張やストレスを感じている時に優位になる
  • 波線下=副交感神経が優位。休息時、眠ったりリラックスしている時に優位になる

この神経の波が、いつも一定でなめらかに上下しているのが、生き物として本来の形。わたしたちの目指すところなんです。

けれど、日常で湧き上がる多くの感情(不安、悲しみ、嬉しすぎて興奮するなど)がぐるぐる同じところをめぐり続けて、止まれない状態になると、交感神経が優位になって“高止まり”している状態になります。

この時、体の方はどうなるのか? というと、必ず呼吸が浅く、筋肉が緊張して、視野が狭くなっています。ということは、実は ”体を楽にすれば心も楽になる”ということなんです。

つまり、直接体に働きかけていくことで、【感情の片付け方】が見えてきます。 」

まるで数学の公式を説くような、“感情の状態”は”神経の状態”、それは“体の状態”にもそのまま現れるという説明。だからこそ、体を動かして素早く「実感」を得ることで、最大の結果を出していく。リケジョボディワーカー、和葉さんならではの視点です。

参加者で実践し、エクササイズの効果を体感したこともあり、これにはみんなも大納得のお話でした。

 

エクササイズの実践で感情が片付き、人生が楽になる?!

最後に和葉さんから一言アドバイス。

「エクササイズのポイントは、見た目の美しさではなく、意識してユックリ動いて、ユックリ呼吸すること。体の仕組みとして、“ユックリ動いてユックリ呼吸すると、ユックリしか考えられない”ことを利用しています。

会社で腕を上下できなければ、指先だけでもいい。足首をこっそり机の下で上下に動かすだけでもいいんです。オプションとしてマッサージや整体などリラックスのプロに頼るのも一つの手ですね。

こんな風にして日々エクササイズを取り入れて、
感情のこじれを生み出さない体になれば、

気分のベースの平均値が変わる

認知の仕方(ストーリー)も変わる

自分の安心感や幸福値も変化し

ぐるぐるする感情を生みやすい、考え方や物事の捉え方も変わっていく

そうなると、どんどん「生きていくのが楽」になってきます。悩みや感情は複数でも、神経はひとつです。

自分の体が落ち着いたら、それがもう「システム感情片付け」のゴールです!」

今回、和葉さんの講座を体験して「体から心へアプローチする」ところに、ヨガとの共通点を感じました。

ただヨガではどうしても、場所や時間、体力の個人差、効果を感じるまでの時間がそれなりにかかりますが、和葉さんの「システム感情片付け術」は、即効性があり、誰にでもできる日常密着型。ヨガにはない利点を強く感じました。

感情の浮き沈みは誰にでもあるもの。これがすっきり整うだけで、どんな人でも日常の「生活の質」は本当にかなり向上するはず。

より多くの方々、特にストレスが多い会社員の方、子育て中の方に是非試してもらい、その「変化」を楽しんでもらいたいと思った講座でした!

(了)

–profile–

小笠原 和葉(Kazuha Ogasawara

ボディーワーカー、意識・感情システム研究家。学生時代から悩まされていたアトピーをヨガで克服したことをきっかけに、 ココロとカラダの研究をはじめ、エンジニアからボディーワーカーに転身。 施術と並行して意識やカラダを含んだその人の全体性を、一つのシステムとして捉え解決するメソッド 「PBM(プレゼンス・ブレイクスルー・メソッド®)」を構築。海外からも受講者が訪れる人気講座となっている。

クラニオセイクラル・ヒーリングアートチューター
カリフォルニア州認定マッサージプラクティショナー
東海大学大学院理学研究科宇宙物理学専攻修士課程修了
Web site 小笠原和葉|PBMオフィシャルサイト

畑中 麻貴子(Makiko Hatanaka

RYT200 ヨガインストラクター&ライター。現代における自己のからだとこころの繋がりの希薄さ、他者や環境とのコミュニケーション不足が引き起こす様々な問題に着目。ヨガや太極拳、気功、ソマティクスなボディワーク、エソテリック、セラピー、食、、、東西さまざまな学びを通じ、いかに自分の身体と仲よくなるか、本来誰もが持っている「健やかさ」をどう培っていくのか––––を探求中。

Web site(blog) yoga gathering* ヨガのつどい、やさしい時間

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