健康とウェルビーイングの一歩先を求めて−−。
今、こころとからだの健やかさの質を高める、
マインドフルネス瞑想やボディワークなどが人気を呼んでいます。
からだの感覚に注目し、
心身が心地よい状態へとフォーカスすることで、
深い気づきや静けさを得たり、
自己肯定力や自己決定力といった心身の豊かさを育んだりしていく。
これらは、
こころとからだのつながりを目指す
「ソマティックワーク」という新しいフレームワークです。
その手法は、タッチやダンス/ムーブメントなど多岐にわたり、
1人で行うワークから、ペアやグループで行うワークもあり、
自分に向くものはそれぞれ異なります。
この連載では、
これからの時代を生きる私たちにとって、知っておくべき「からだのリベラルアーツ(一般教養)」として、各ワークの賢人たちの半生とともに
「ソマティックワーク」が持つ新しい身体知を紹介し、
それらが個々の人生や健康の質をどう変化させたのかを探っていきます。
リベラルアーツ(一般教養)として学ぶ
ソマティックワーク入門
−新しい身体知の世界をめぐる−
第18回 「動き」が身体の形とこころをつくる 身体均整法・矢作智崇さん(理論編02)
取材・文●半澤絹子
取材協力●日本ソマティック心理学協会
身体均整法は、身体の「運動系」に働きかけて、身体のバランスを取り戻す手技療法と体操法。
前回は、運動系の定義と、運動系を整える三原則について解説をしました。
今回は、身体均整法の「12種体型」について詳しく紹介します。
姿勢から体質・気質をひもとく「12種体型」
身体均整法の「12種体型」とは、名前のとおり、さまざまな人の体型を12種類に分類した身体の観察・調整法である。施術でも体操でも、12種体型を不調の見立てと調整に使う。
身体均整法を創始した亀井進氏は、野口整体の野口晴哉氏が提唱した「体癖(たいへき)」をヒントに、この12種体型理論を創り上げた。
体癖とは、「性格・気質」と「身体が加重する箇所」の傾向に共通点を見出した考えである。
たとえば、思考力が高く、理論やロジックで納得しないと動けない傾向がある人は、体重を前に加重させる傾向のある……などだ。
なぜ、重心の加重部位と性格・気質に関係があるのだろうか。
前回のおさらいになるが、人の身体は常に動いている。血液が流れ、代謝をしている。これは誰もが同じである。
しかし、「どの臓器や部位が活発に動いているか」というのは、個々に差が出る。
行動するのが好きな人は呼吸器が活発に動く。食べるのが好きな人は胃腸がよく動く。生活習慣、職業、性格によってよく使う場所は変わる。身体均整法ではこれを「身体のどこにエネルギーが集中しているか」という見方をする。
そして、身体のエネルギーが集中する箇所が変わると、エネルギーがかかる箇所を支えるために、体重をかける場所が変わる。意識の向け方によって、身体の使う部位に偏りが起こり、それが姿形となって現れるわけだ。
逆に、体重の加重箇所が変われば、気持ちも変わってくる。いつもうつむいて、肩を内側に巻いている人は、いわゆる「落ち込んだ姿勢」をしている。落ち込んだ姿勢をしていると、気持ちも自然と暗くなる。
姿勢とこころ、こころと姿勢は常に相互に作用しあっている。
身体の姿勢と体質・気質の関係を整理し分類したのが、次の12種類体型である。
自分が身体のどこに重心を置いているか、または、回旋や肩の向きの傾向があるか見てみよう。
○身体均整法の「12種体型」
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–Profile–
●矢作智崇 (Tomotaka Yahagi)
身体均整師・ボディデザイナー。やはぎ均整院院長。身体均整師会前会長。身体均整法学園講師。施術歴23年。自身の体調不良から身体均整法と出会い、施術の道へ。ケガの後遺症や痛みの解消、妊活など幅広い悩みに対応。「身体の歪みはその人の本質」をモットーに、クライアントの身体的な個性、気質を尊重した施術を行う。創始者の亀井進氏が遺した技法の研究をライフワークとする。監修DVDに『身体均整法入門』(BABジャパン)。
身体均整法学園 https://www.kinsei.or.jp/