コ2【kotsu】特別インタビュー  ソマフェス&コ2【kotsu】コラボ企画記念 有本匡男氏に訊く 02

| コ2【kotsu】編集部

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いよいよ10月14日(金)に迫ってきた第2回ソマティックフェスタ。 すでにコ2【kotsu】でもお伝えの通り、今回はソマティックフェスタさんからお声掛かりを得て、コ2【kotsu】コラボ講座が行われる。

そこで開催まで残り10日を切った今だからこそ、改めてソマティックフェスタになぜ今回、本WEBマガジンコ2【kotsu】とのコラボ講座“ソマティックアーツ:身体術WITHコ2PRESENTS”を企画されたのか、仕掛け人の有本匡男氏にお話を伺うとともに、それぞれのコラボ講座についての見所・期待のポイントをご紹介頂いた。

コ2【kotsu】特別インタビュー

ソマティックフェスタ&コ2 コラボ企画記念
有本匡男氏に訊く 第二回

ソマティックと武術の邂逅! 〜施術家こそ感じて欲しい“韓氏意拳”

語り有本匡男
取材・構成コ2【kotsu】編集部

 

有本匡男氏

 

有本氏が韓氏意拳に惹かれたわけ

コ2編集部(以下、コ2) 前回ご紹介頂いた、「甲野善紀×小関勲、 対談『カラダのコツの見つけ方』&ヒモトレ講座~ひも一本が導く身体の可能性~」の次に、ソマティックアーツ:身体術WITHコ2PRESENTSで登場するのが、韓氏意拳の駒井雅和さんですね。
こちらは有本さんから「是非、韓氏意拳を!」ということで実現の運びとなったのですが。

有本匡男(以下、有本) はい、僕自身韓氏意拳にとても興味を持っていていたのが一番のポイントで、主催者側の特権と言いますか(笑)。

コ2 なるほど(笑)。どうして韓氏意拳に興味を持たれたのでしょうか?

有本 それがコ2の記事で、駒井先生の韓氏意拳の記事や韓氏意拳のセミナーや韓競辰先生のインタビューなどの意拳の情報をなんとなく耳にしていたときに、たまたま古本屋で『FLOW』という本を見つけて読んだところ、“まさに僕のやりたいことがここにあるな”と感じたんです。

コ2 それはどういうことだったんでしょうか?

有本 思想的にすごく禅的というか、哲学を武術で表現している武学と表現されているようです。しかも、どちらかというと老荘に近い哲学で、無形、無為自然であろうというその形に惹かれたんですね。あとは中庸的であることですね。そのあたりが、まさに僕がいまやっている「teateセラピー」というものに符合していて、言い換えるなら、“手学”というのでしょうか、哲学的に“触る”ということで表現しているという感じ、考え方的には本当にドンピシャだったんです。

コ2 体験する哲学という感じでしょうか。

有本 そうですね。

コ2 そうしたこともあり、今回、コ2【kotsu】で「やさしい韓氏意拳入門」をされている駒井先生を推薦させて頂いて、お会いしたわけですけどいかがだったでしょう?

有本 会って、実際、体験もさせてもらって。「あ、やっぱりな」という感じと、あとは、僕のイメージしていたところと、いい意味で違うところもありました。

コ2 どんなところが違ったのでしょう?

有本 それは、形には拘らないのですけれども、“実用的にいつでも動ける状態でいる”というところはしっかりあって、“すべてを手放しているわけではない”というところで、僕が最初に思っていた認識よりも、“もっと現実的なんだな”と感じました。

コ2 あくまでも武道ですからすべてを手放すというのとは違うかもしれませんね。

有本 はい。だからこそ、逆にまさにソマティックな方、ボディーワーカーには凄く合うし知っておいた方がよいと感じて、“紹介してもらってよかったな”と改めて感じました。

 

韓氏意拳が施術家の壁を破るヒントになる?

コ2 今回のソマフェスの前に、駒井先生を呼んで一度韓氏意拳の体験講座をされたそうですね。参加された方はどんな反応でしょうか?

有本 ヨガのインストラクターやセラピストの方にも受けてもらったんですけど、反応は凄くよかったです。

コ2 どんな点がよかったのでしょうか?

有本 普段のヨガでもカラダを締めたり、ゆるめたり、「集中を持続する」ということは言われているのですが、意拳とヨガとは意識の使い方が全然違うんですね。駒井さんはそのときに「生き残るため」という風に仰っていて、何かがあった瞬間にすぐ動ける状態を常につくると、いうかそうあるということなんですけど、そういう考え方自体はヨガには当然ないので、そこが多くの人にとって凄く新鮮だったみたいですね。

あと、力を出すということで、意識的になにかをやろうとするよりも、例えば腕を引こうとするより、自分のほうに“ただ持ってくるだけ”の方が力がちゃんと出るというのにも驚きました。身体全体がユニットとして使われるという体験はヨガを長くしている人にとっても驚きだったと思います

コ2 ヨガを指導されているベテランの方が揃っているなかでそういった反応が返ってくるのですね。

有本 多分、韓氏意拳の“意図しないことが、自然な身体の使い方を生み出す”というのは、これまで色々なメソッドがあるなかで、あまり言われていなかったのだと思います。そこが僕は意拳の凄く好きなところなんですよ。

コ2 禅的とも言えるかもしれませんね、“意図を持たずにただやる”と。

有本 そうです。それが結果的にちゃんとパフォーマンスにも繫がっていて、結果としてちゃんと出るのが面白いです。

コ2 いま仰った結果というのは、施術をしたりするなかでの関連性はあるのでしょうか?

有本 滅茶滅茶ありますね。結局、施術って、ほぐそうとか治そうという感じで、そういう恣意的な行為になりがちなんですね。ですが本当に施術とか身体の使い方のうまい方は、そういう恣意的な部分がない、少ないんです。

コ2 施術をして結果としては良くなるのだけれど意図的な要素は少ないわけですか。

有本 ええ、ある種、人によってはシャーマニックな感じだったりもしますね。何かに動かされているような自然な動きというか、そういうものの方が結果的に凄くよくほぐれる。
クラスでも実験するんですけど、逆に何か“ほぐしてやろう”とか、“楽になってもらおう”と思って相手に関わるほど、やっぱり手が固くなったり、力が伝わりにくくて、そうしたことは本当によくあることなんです。ですから意拳の身体の使い方がもし、そのまま施術の現場で使えたら力の伝わり方とかは全然違うだろうと思います

コ2 それは施術されている方のなかでの壁みたいなものかもしれませんね。良かれと思って“治そう”と思うと……。

有本 かえって良くない。それは本当に大きな壁ですね。

コ2 韓氏意拳にはそれを突き崩すヒントがあるかもしれないと有本さんは感じているわけですか?

有本 まさにそうです。これは駒井さんだけではなくて、コ2【kotsu】さん関係の企画全般なんですけど。武術が身体の使い方の追求として、トップクラスに発展していると僕は思っているんです。それはやはり生き死にが関わっているわけですから、そうならざるを得ない状況が前提としてあるわけで、それもいかに短い時間で、いかに合理的に使うか、ということを追求せざるを得ないからだと思います。
ですから、そこで生まれたものというのは、戦いの場以外にも汎用性が高くて当たり前なんです。

コ2 確かにそうですね。

有本 また意拳の場合は、套路(とうろ)、いわゆる型がないのが、また“凄いな”と思うところです。
本当に恣意的になりそうな要素を圧倒的に取り外したなかで、本当に自然な動きを追求されているというところは、すべてのボディーワーカーに対して、必ずブレイクスルーできるヒントがそこにあると思います。

コ2 本当に意拳にはまっているんですね(笑)。

有本 はい(笑)。もう少し付け足すなら、高岡(英夫)先生の『究極の身体』という本の中で、「完成された立ち方」ということで、意拳の創始者である王向斉の写真があって、その写真を見て以来ずっと興味があったので、今回はまさに巡り巡って“念願の”という感じで、嬉しいですね

 

(第二回 了)

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–Profile–

有本匡男(Masao Arimoto
teateセラピスト。幼少期に、仏教の考えに触れ、「幸せとは」について考え始める。2002年よりセラピストとして活動を開始、同時にヨガ、哲学を学び始める。2007年より「teate(てあて)セラピー」を始める。現在は講演、ワークショップを通じて、「teateセラピー」やホリスティックヘルスケアの普及につとめている。
Web site​ ホリスティックヘルスケア研究所