刀禅、刀法セミナーで示された、“身体の基準”

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コ2【kotsu】レポート

刀禅、刀法セミナーで示された、“身体の基準”

文・写真コ2編集部
協力刀禅

去る8月14日、小用茂夫氏が主宰するボディーワーク・刀禅の第一回刀法セミナーが埼玉県蕨市で開催された。案内文に「刀禅練行の核心である刀之法を、今回初めて一般の方を対象にご紹介いたします」ということもあり、60名を越える参加者を集めて行われた。

「刀法」と聞くと多くの人は木剣を持って、“如何に剣を操作するか”ということをイメージするだろう。しかし今回のセミナーで示されたのは「刀法以前にあるべき体の基準性」という、刀禅の根幹的コンセプトだった。

この日の講座は参加者全員に配られた昔懐かしい1メートルの「竹尺」を用いて行われたのだが、講座中一度もこの竹尺を振ることはなく、それどころかいわゆる刀法的な構えを取ることも一度もなかった。実のところ通常行われている刀禅の稽古でも木刀を振ることはなく、これについて小用氏は、

「実は刀禅を始める前に“素振り倶楽部”という会があったのですが、いきなり「果たして我々は素振りをするに値する体なのか?」という根源的な問いに当たってしまったんですね(笑)。歪んだ体をそのままにして振ってしまうと、その歪みが固定してしまうと考えて、結局一度も素振りをしないまま現在の刀禅になっています(笑)」

と説明されていた。

竹尺を使って指導をする小用氏。ここでは両手に竹尺を挟んで持ち、その歪みを直しつつ、体の軸性を捉え直す指導がされた。腕力ではなく、体を整える力で行う。

 

ここでいう「歪み」とは、物理的な歪みやバランスの崩れなどを含めつつ、その前にある「基準性のない体」のことを指している。それは単純に姿勢の良さという意味ではなく、空間に対して、「水平軸」「垂直軸」「立ち位置」を含めた自分の有り様と考えた方が良いだろう。「いまどのように自分はあるのか」ということを抜きに何を始めても、茫漠たる世界の中でただ闇雲に動き続けることになってしまう。もちろん、そうしたなかで自然に自分の基準性を見つけられる人もいるのだろうが、できるだけ学ぶ要素を少なくすることで、「まずこの身体の基準性を先に獲得しよう」というのが刀禅のコンセプトであるわけだ。

背中に竹尺をあて、自分の垂直軸を確認する。小用氏の後ろ姿には圧倒的な垂直への軸性が感じられた。

 

そしてこの基準性を獲得する際に、有効なのが日本刀であるという。

「日本刀というのは世界でも類を見ない存在で、持っただけで体をある程度整えてしまうという機能があるんですね。特に日本独自の両手太刀という技法は、そうした力をダイレクトに体に感じる方法だと言えます。つまり日本刀という“外部機関”を持つだけで、体が自然に修正されるという利点があるわけです。

ただ、それだけではやはり足りない、というか勿体ないわけです。日本刀の持つ妥協のなさ、簡単に言ってしまえば触れれば斬れるという、僅かな間違いも許さない基準に、出来るだけ身を沿わせることで自分の体の精度を高める散漫で分離した体を一致させようというわけです」

刀禅セミナー

 

この日のセミナーでは竹尺そのものの歪みを直す中で、自分自身の基準性を養う方法が示されたが、そのいずれも、小手先の腕力ではなく、体全体の圧と呼べるものを竹尺をきっかけにして発動し、まず静止状態での正中線を捉える稽古法であった。また講座後半では捉えた正中線を維持したまま動く歩法も紹介された。

刀禅セミナー
正中線を維持したまま動く歩法。足先を45度ほど外へ開き、踵側から足の外周をなぞるように踏み出す。ムラなく等速度で行う。

 

もちろんこれらは習ったからといってすぐに出来ることではないのだが、少なくとも刀禅の考えるアプローチとコンセプトを伝えるものとして、最もミニマムで変わることのない核心的内容だったと言えるだろう。

参加された沖縄空手を長くされている方が、

自分の普段している稽古と共通項がありとても面白かったです

という感想をお話してくれたが、それは流派やジャンルを問わず、体を養う上で「基準性の確立」は必要不可欠な要素であるからこそ伝わり、実感された言葉なのだろう。

この刀法セミナーは9月18日(月・祝日)にも予定されているので、申し込み方法などは下段をご覧ください。

当日参加されたみなさん。

 


【刀法セミナー〈その2〉】のご案内

両手太刀ゆえに達し得た身体性の高み。そこに潜む精緻な法則性を分かりやすく学んでいきます。〈その1〉に続き〈その2〉です。

日時:2017年9月18日(月))午後2:10~4:30(受付1:40~)
場所:お申し込み頂いた方にお知らせいたします。
内容:竹尺を使用して刀に内在する法則性に添いながら、その法をいかに身体化するかを学びます。刀法入門以前の段階からその究極に至るまで、不可欠となる厳格な基準性。それを支える基盤性の獲得法をできる限り丁寧にご紹介していく予定です。

講師:小用茂夫。刀禅古参会員。
費用:(保険費用込み)
一般:4,000円(初参加者には竹尺お一人一本付。)
刀禅会員:定例会員1,000円、その他会員2,000円(竹尺持参のこと。当日購入の方は+500円)

懇親会:4000円程度(スペースの関係で早期に締め切る場合があります)

申込みフォーム:必須です。保険申請の関係で正確にご記入下さい。(名前を知られたくない方はこちらの申込だけでも可です)。前回〈その1〉で申込フォームに記載して頂いた皆様に再度記入して頂くのは大変心苦しいのですが現在のシステムでは省略はできないようです。お手数をおかけして誠に恐縮ですが再度記入のほどをよろしくお願いいたします。m(_ _)m
https://goo.gl/forms/8vRj4YjrXAo62qY23

締め切り9月8日(金)
※申込人数の関係で早期に締め切る場合もあります。前回は急な締切短縮で大変ご無礼いたしました。

※参加をお断りする場合もあります。
※記入アドレスへ参加受付確認のメールが届いた時点で申込手続完了とさせて頂きます。
※写真・動画の撮影は関係者のみとさせて頂きます。
※靴下か足袋。服装は動きやすければ自由です

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–Profile–

小用茂夫先生
小用茂夫先生

小用茂夫(Shigeo Koyou
虚弱な幼少期、青年期の腰椎圧迫骨折などに悩まされる。活路を空手、古流剣術、中国武術、合気柔術など武術に求め、そこで多くの傑出した師に出会い素晴らしい境地を知る。一方で、そこへは辿り着けない自分の身体性と向き合うなかで、欠陥の多い身体でも、そうした師の境地に至る術は無いかと独自の模索を重ねる。幸い稽古仲間に恵まれ長い実験と検証の時代を経て現在の方法に辿り着き、ボディワーク刀禅として提唱するに至る。

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