コ2【kotsu】特別インタビュー 韓競辰導師に訊く「力」と「勁」 第一回

| コ2【kotsu】編集部

 

コ2 では先生の中では初級と中級の区別はどこにあるのでしょうか。

 多くの方々が、そういった質問を私にします。「どうして初級、中級と分かれているのか?」と。これは「勁」と「力」の認識の問題とも関係してきますが、一般的には《「勁」というものは高級なものであって、「力」というものは低級なものである》というような理解をされている方も少なくありません。また《力の運動をよく錬磨していくと勁になる》という考え方もあります。

「その武術の運動の中で、錬磨した最高到達点が勁である」というような見方ですね。

私の研究ではこうした考え方が大きな間違いであることが分かりました

何故なら「勁」と「力」というのは初めから交わりのない、全く別の水と油のようなものだからです。絶対に両者は交わることはありません。ですから、一方が他方に転換するということもありえません。よって「力や技術を練れば勁になる」ということもありえないのです。また「力の理論が高いレベルに達すれば勁になる」というものでもありません。

では「勁」とは何か?

今の言葉で言えば、私はこれを「自然本能の運動」と表現しています。

私たちが今、慣れ親しんでいる運動は「技能の運動」と呼ばれるものです。ここで間違って欲しくないのは、私はこの「自然本能の運動」と技術による「技能の運動」のどちらが良い悪いということを論じているわけではありません。ただそれは全く交わるところがないものですから、「力」を練ることで「勁」へ転換するということもありません。

どうしてこういう違いが生まれたのか? (絵に描いて説明する)もちろん両者が生まれた過程も違います。私たちがAにいるとします。客観的に見た我々の条件、私たちの現状です。ここで何が起きているかと言うと、いま持っている「力」という条件と技能運動を最大化するためのBという方向性があるとします。

韓氏意拳図版

 

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–Profile–

国際韓氏意拳総会会長 韓氏意拳創始人 韓競辰導師
韓星橋先師の四男で、きわめて明晰な拳学理論と、卓越した実力の持ち主。現在韓家に伝わる意拳の指導に力を注ぎ、意拳の更なる進歩発展のために努められている。
国際韓氏意拳総会会長。(日本韓氏意拳学会 Web Siteより)

Web site 日本韓氏意拳学会