連載 タッチの力14 東福由香理・前編「オーガニックコスメの力」

| 東福由香理

日本には「タッチ=触れる、触れられる」の機会が少ない。そんな思いから、日本のタッチ研究の第一人者である山口創先生(桜美林大学教授)をはじめ、セラピストの有志が集い「日本タッチ協会」の設立を準備中です。

その一環として行われている、タッチのスペシャリストたちによるワークショップ(通称:タッチ協会山口ゼミ)の模様をお伝えしていきます。

五人目は東福由香理さん(テルメ・フェリーチェ代表)。オーガニックコスメのみを使用するエステサロンを経営する東福さんは、「“美しさ”を何に求めるかは人それぞれ。でも肌の“健やかさ”は、万人共通で必要なことなんです」とおっしゃいます。美しさとは何によって形づくられていくのか。前後編の2回に分けてお届けします。

 

連載・タッチの力14

東福由香理・前編
「オーガニックコスメの力」

語り東福由香理/テルメ・フェリーチェ代表
写真コ2編集部

東福由香理さん
東福由香理さん

 

コ2編集部(以下、コ2) 本日は、東福由香理さんにお話をうかがいます。東福さんは、オーガニックエステ「テルメ・フェリーチェ」の代表として、セラピストの育成やコスメの開発に携わるなど、“肌の美”を総合的に追求する仕事をされています。

ここには、実際に現場で使われているオーガニックコスメもお持ちいただきました。なのでごくふつうの会議室のはずが、コスメからいい香りが漂って、まるでエステサロンにいるようです(笑)。今日は日頃、どのようなことをされているのか、うかがえればと思っています。

東福由香理(以下、東福) ご紹介ありがとうございます。わたしは10年程前から、オーガニックコスメのみを使って、お肌の施術をするエステサロンを始めました。「“お肌の人間ドックをするように”、テルメ・フェリーチェにいらしてください」とお客様にはお伝えしています。

人間ドックでは、検査をして自分がどんな健康状態にあるかを知るのが目的ですよね。なので受診前にこういう準備をされるとより結果がわかりやすいですよ、と伝えていると思います。テルメ・フェリーチェも同じで、「当日までにこのようなことをされると、より施術の効果高まります」といった、日々のお手入れも含めたアドバイスをお話ししています。

テルメ・フェリーチェが行っているのは、「お客様の肌を、とことん美しく・きれいにすること」。

技術、知識、パフォーマンスがそろったプロのセラピストによって、クライアントの継続的な肌の快復力が得られる施術を柱にしています。肌の力を最大限に引き出すために何が必要なんだろう? と考えた結果、スキンケアを全てオーガニックコスメにする、という今のやり方に行き着きました。

「美容が好き」ではじめた修業時代

でも最初からオーガニックコスメに着目していたわけではありません。
高校生のときはガソリンスタンドでのアルバイトから始めましたから、美容とはまったく関係ありませんよね(笑)。でもそこで初めて、人として認めてもらえた充実感があって。「大人になったら早く会社を興して、一人前に働きたい」と思っていました。

同時にその頃、ただのコスメフリークか! と自らツッコミをいれたくなるくらい、美容が好きで。10代のころから百貨店に行っては、スキンケアやメイクアップ商品で使ったことがないものはないほど、全ブランドを買い集めていました。なので「美容が好きなのだから美容の道に行こう」という、わりと単純な理由で専門学校に進学しました。

卒業後は都内の高級エステサロンに勤めることができ、夢中で仕事をしていたのですが……「あれ? これって本当に効果があるの?」と疑問に思うことが、でてくるようになりました。

「わたしが本当に目指していることってなんだろう? それがわからなければ、この業界にいる意味はない!」と思いつめるくらい悩み、調べたあげく。自分なりに「効果がでるものは必ずある」と信じて行き着いた先が、オーガニックコスメだったんです。

今日はその一部になりますが、実際にサロンで使っているものをもってきましたので、簡単ですが説明していきますね。

 

「オーガニックコスメ」とは?

みなさんは、オーガニックコスメって、どのようなものかわかりますか?

定義としては、オーガニック認証を受けた成分を配合している化粧品のことなのですが、それだけでは説明しきれないほど、ブランドによってさまざまな考え方や特徴があります。

わたしがそうしたなかから選ぶ基準は、「植物のもつ生命力が発揮された効果・効能をもつ化粧品」ということ。

よく「自然派で植物を使っているって、なんかよさそう。肌にやさしいんでしょう?」と聞かれることがあります。でもそれは実際とはちょっと違っていて。強いこだわりで効果を計算し尽くしてつくられたオーガニックコスメは、やさしいというより“効果が強い”んです。

たとえば、いま肌にいいと評判の「アルガンオイル」は、誰にでも合うわけではありません。出産後に肌にでるシミを薄くしてくれるなどの効果があるということは、お肌の刺激にもなり得ます。アレルギーが強く出る体質の人には、刺激が強くてお肌の反応がでやすく、炎症が起きやすくなる場合もあるんです。

テルメ・フェリーチェで実際に使用されているオーガニックコスメ
テルメ・フェリーチェで実際に使用されているオーガニックコスメ。前列一番右がアタノール社の「ルイ14世」、その隣がソルーナ社の化粧水

 

何はなくとも「ルイ14世」?〜スイスのブランド・アタノール(ATHANOR)

実際にサロンで使っているブランドをここでふたつ、紹介しますね。

まず「ルイ14世」という、すごい名前なんですけど……(別名ルイ様とも呼ばれています・笑)、アルプスに自生する81種類の植物をブレンドしてつくられた、ハーブローションです。ルイ14世時代の兵士たちの怪我をなおすのに開発されたと言われていますから、相当古い処方箋ですよね。

ニキビできた時にシュっと一吹きするとそれ以上大きくならなかったり、かゆみがおさまったり、風邪の初期でのどが痛いとき、口内炎になったとき……さまざまな初期症状にすぐに一吹きしておけば、ひどくならずにすむ万能ローションです。

わたしは登山をするので、登山の荷物には必ず入れていきます。知り合いと一緒に登ったとき、その方がヒルに咬まれたことがあったんですね。でもはじめは「オーガニックなんて効かない。そんなものが効くなら、とっくにもっと有名になっている」と却下されて。

どうしても使ってもらいたかったので、「ちょっと実験させてください」といって、ヒルに咬まれたところのうち

  • 1個所はヒルに咬まれた用の薬(その方がもってきたもの)を塗る
  • 1個所はルイ14世を吹きかける

として様子を見てみたら、てきめんに薬よりも効いてしまって。「あれ? オーガニックってすごいね」といわれました。そしていまだにオーガニック全般には懐疑的なんですが、ルイ14世だけは続けて買っていただいています(笑)。

炎症物質は掻きこわすことで広がってしまいますし、トラブルは初期におさえておくのがだいじ。なのでひとまずの症状を抑えるのにも、ルイ14世はわたしの相棒的存在ともいえる、非常に頼もしいコスメです。

この日本タッチ協会の面々が好きそうな話で言うと……ブランドサイトのところに以下のような説明があります。

中世からヨーロッパに息づく薬草学の伝統を基に、植物の力を熟知したマエストロが生み出す至高のアロマコスメ「アタノール」。ヨーロッパの思想・文化体系に大きな影響を与えた人智学者ルドルフ・シュタイナーの思想に基づき、産地や栽培法にこだわって世界中から厳選した最高級の植物を、手をかけ時間をかけて珠玉の化粧品に仕上げています。
アタノールのサイトより:http://www.athanor.jp/about_athanor.shtml

シュタイナーの思想に基づいてつくられている」ことは、ラベルにもあらわれており、アタノールのロゴには、角がないシュタイナーフォントが使われています。

よく、このロゴをご覧になったお客様が「この化粧品見たことがある」とおっしゃるのですが、たいていはドイツの「WELEDA」のことですね(笑)。WELEDAもシュタイナー思想が元になっているブランドなので、シュタイナーフォントを使っています。

オーガニックコスメに興味津々の、日本タッチ協会の面々
オーガニックコスメに興味津々の、日本タッチ協会の面々

 

錬金術から美が生まれた〜ドイツのブランド・ソルーナ(Soluna)

次は、ドイツのブランド「ソルーナ」。ラテン語で太陽を意味するSolと、月を意味するLunaから名付けられています

もともと医療用の薬草エキスの製造で、高い評価と実績を持つ研究所がつくったスキンケアシリーズです。たとえば、アイクリームには「アイブライト」という植物が含まれていて、一般のアイクリームのように目元の乾燥を防いで保護する役割だけでなく、目の疲れもとってくれるといいます。

ここで紹介したいのは、スパゲリック法に基づく製法をしていること。ブランドサイトのところに以下のような説明があります。

スパゲリックは、植物の内に秘められたエネルギーをもっとも効果的に抽出する究極の手法です。中世のアルケミー(錬金術)のひとつで、薬用植物やミネラル、金や銀といった貴金属を原料に、醗酵、蒸留、洗浄、灰化、結合という過程を経てエキスを抽出する技術です。太陽、月、惑星といった天体の周期を組み込んだ製造工程が大きな特徴です。
ソルーナのサイトより:http://www.soluna.jp/about/spagyric.html

天体の運行に合わせて植物を採取していくそうで、使用する植物が一番元気に咲く時間だけを選んで、ハサミを使わず、全部手摘みに。形をこわした瞬間に、植物の生命が絶たれてしまうので、植物本来の姿で採取できる方法を選んでいるそうです。

さらに機械を使わずすべて人間の手で時間をかけて行い、人間の血液と同じ6リットルのガラスの容器のなかで、人間の体温と同じ37度の室温でゆっくり熟成させる…など、

生産効率を重視するならばとても折り合わないような、膨大な手間と時間をかけてつくられています。植物を採取してからクリームにするまで、2年かかるとも……以上は興味をもたれにくい話なので、ふだんはあまりしゃべらないんですけど(笑)。


このふたつのブランドに共通しているのは「圧倒的な技術者の手によってつくられている」ということ。わたしはオーガニックコスメに一番必要なのは、その1点だといっても過言ではないとおもっています。

ただし折々の植物に合わせてつくられるので、大量生産もできませんし、その時のロットでテクスチャーが違う、なんてこともあります。

アタノールで爆発的に売れたリップスティックがあったのですが、技術者の方がなんと、製造メモををとるのを忘れてしまったとのことで、たった1回のロットで終わってしまったこともありました(笑)。

こうした、ブランド自体が生きもののようでもあり、人間らしい魅力をもっているのが、わたしの相棒として愛し続けているオーガニックコスメたちです。お客様の肌に効果を発揮してくれることを、自信をもってお伝えできる存在なんです。

次回はこの相棒たちを使って何をするのか。「健やかな肌」のつくりかたをお話していきます。


【イベント告知】
2018年08月25日(土)・26(日)に、渋谷のベルサールガーデンにて
「第1回 ボディケアジャパン」が開催されます。
「YOGAJAPAN」と同時に開催される、世界のボディケアを学び、体験できるフェスティバル。国内随一の規模を誇り 、カラダのこと、こころのことをより深く知ることができる、いままでにない祭典です。

「第1回 ボディケアジャパン」公式サイト
東福由香理さんの紹介・申し込みページ

コ2でもおなじみの講師の方々がほかにも多数参加され、ワークショップが行われます。ふるってご参加ください!

(第14回 了)

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–Profile–

東福由香理さん

東福 由香理(Yukari Tofuku
銀座松坂屋・デックス東京ビーチ最年少オーナーとしてオーガニックトリートメントサロン開業。
その後、現在のテルメ・フェリーチェDAIKANYAMA にてプロデュース兼オーナーを務める。

主なサロンプロデュース、監修実績
・フランチャイズ テルメ・フェリーチェグランツリー武蔵小杉店
・オーガニックサロン E・BENE
・ホリスティックケアサロン nicoca
・HOTEL Limani内SPAサロン
他サロン多数
某スキンケアブランド スキンケア商品アドバイザー兼施術・接客接遇トレーナー

Web site Terme Felice(テルメフェリーチェ)

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