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武術家であり体の専門家である河野智聖先生に、皮膚を軽く撫でるだけで誰でもすぐに使える身体調整法“ニコニコタッチセラピー”をご紹介頂きます。第二回目の今回は、昨年注目されたふくらはぎについてです。
ある日のニコニコタッチセラピー講座での出来事。
講座を受ける女性たちにまじって70歳代のおばあさんが見学にきていました。
聞けば娘が講座を受ける間待っていたいとのことです。
そのおばあさんは腰痛が大変で、歩くのも不自由で講座がおわったら娘に車で病院に送ってもらうことになっていました。
そこで、「せっかくですから、モデルになって下さい」とお願いして、講座でお尻・肩甲骨・頭にニコニコタッチをおこなうと、曲がった背筋がスッキリし、「痛みが取れた!」と満面の笑顔となり、そのままご自宅へお帰りになりました。
ここで私がやったのはただ触るだけ。頑張って揉んだり、押したりせずに皮膚の流れにそってタッチングするだけで元気になる、そんなニコニコタッチをこの連載では紹介していきます。
簡単!ニコニコタッチセラピー体験。
第二回 「ふくらはぎ」
文●河野智聖
ふくらはぎは、「もんではいけない!」
皮膚には三つの流れがあります。
それは、<前後・左右・螺旋>です。
ニコニコタッチではこの三つの皮膚の流れにそってタッチングします。
私たちの体は、多種多様の動きを行なうように見えますが、動きの基本は、
- 前に動く
- 横に動く
- 旋回する
の三つで成り立っていて、この三つの組み合わせで動いています。
筋膜やリンパ、筋肉や骨格、体全体を包んでいるのが皮膚です。
皮膚はカラダの動きにともなって、 前後・左右・螺旋の三つの流れをつくりだし伸び縮みしています。
たとえば、前後のラインを説明しましょう。
四つ足動物が前に歩く時の後ろ足を思い浮かべてください。
腿を引き寄せる際に末端から体幹へ向かう皮膚の流れが縮む方向です。
逆に蹴り出す時に体幹から末端に向かう皮膚の流れが伸びる方向です。
こうした動きにともない皮膚の伸び縮みする皮膚の流れを、ニコニコタッチセラピーでは
“皮膚の地図”
と呼んでいます。
この皮膚の流れのラインにそって皮膚をさすることで本来の動きを取り戻すことができるのです。
前回の記事では「肩は揉んではいけない」と述べましたが、この“皮膚の地図”に照らし合わせると、肩は縮める場処ではなく伸びる場処です。そのため、 揉んでしまうと肩の筋肉が収縮して縮んでしまうのです。肩周りの筋肉が固くなり、それにともなって皮膚も収縮し、肩の動きが固くなってしまいます。
最近、ふくらはぎを揉む健康法が流行していますね。
カチカチに固まったふくらはぎを揉んでほぐし、血行を良くするのが目的でしょう。
たしかに普段あまり触らない箇所を触ってあげるとれば体は喜びます。
ですが、ニコニコタッチセラピーの“皮膚の地図”では、ふくらはぎは伸びる場処ですので、揉むと収縮し伸び縮みが悪くなってしまいます。
ほとんどの場合、私たちはなんとなく、「気持ち良いから」という理由で、間違った刺激、特に強い刺激を体に与えることを繰り返しています。
ふくらはぎは、歩いたり、走ったりすると緊張してきます。
バレーボールやバスケットボールなど、飛び上がることが多いスポーツではとふくらはぎだけでなくアキレス腱も緊張してきます。
また、意外なことですが、頭を使う事務作業もふくらはぎやアキレス腱が緊張するのです。
「体を動かしていないのにどうして?」
と思われるでしょう。
実は頭を使う姿勢は背伸びしている姿勢と同じなのです。背伸びをすると、肩・首・アキレス腱が緊張します。この緊張が横になっても弛まなくなると、眠ろうとしても考えごとをしてしまします。頭を使うとどういう姿勢でも首筋が緊張して背伸びをしている姿勢と同じ状態となるのです。
さらに、アキレス腱が緊張すると同時に首が緊張します。ですから、デスクワークが多いと首やアキレス腱が緊張して眠れなくなります。
逆に言えば、首やアキレス腱がゆるんで、人は眠れるのです。
電車で寝ている人を思い浮かべてください。皆、足首の力が抜けて首をうなだれていますよね?
首やアキレス腱がゆるんで、人は眠れるのです。
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