簡単!ニコニコタッチセラピー体験。 第四回 「足裏」

| 河野智聖

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武術家であり体の専門家である河野智聖先生に、皮膚を軽く撫でるだけで誰でもすぐに使える身体調整法“ニコニコタッチセラピー”をご紹介頂きます。第四回目の今回は足裏についてです。

ある日のニコニコタッチセラピー講座での出来事。

講座を受ける女性たちにまじって70歳代のおばあさんが見学にきていました。
聞けば娘が講座を受ける間待っていたいとのことです。
そのおばあさんは腰痛が大変で、歩くのも不自由で講座がおわったら娘に車で病院に送ってもらうことになっていました。

そこで、「せっかくですから、モデルになって下さい」とお願いして、講座でお尻・肩甲骨・頭にニコニコタッチをおこなうと、曲がった背筋がスッキリし、「痛みが取れた!」と満面の笑顔となり、そのままご自宅へお帰りになりました。

ここで私がやったのはただ触るだけ。頑張って揉んだり、押したりせずに皮膚の流れにそってタッチングするだけで元気になる、そんなニコニコタッチをこの連載では紹介していきます。

簡単!ニコニコタッチセラピー体験。

第四回 「足裏」

河野智聖

 

意外な捻れの原因

今回は体を整えているはずなのに、体に負担になってしまったと言う方のお話を紹介しましょう。

少し前に整体で調整した女性が、あまり間を置かずまたいらっしゃいました。前回観た時は腎臓を司る胸椎十番という椎骨が捻れていたので調節したのですが、また捻れています。

「おかしいな~この間調整したばかりなのに捻れて腎臓に負担がかかっている。この一週間で何かやりましたか?」
「いいえ、特に思い当たることはありません」
「そうですか……」
「あっ! そういえば足裏マッサージへ行ってきました」
「足裏マッサージ?」
「痛いんですけど、気持ちいいんです」
「そうですか。その施術者は胴回りが太くて声も分厚く、人情味がある人じゃないですか?」
「なんでわかるんですか!? そうなんです。 とても良い女性の先生なんです」

整っていた胸椎十番が捻れていたのは、この足裏マッサージが原因でした。
実は腎臓に問題を起こしやすい人は足裏を押さえることで、具合が良くなることが多いのですが、椎骨が整った状態でギューギュー押されたために、刺激が強すぎてかえって捻れてしまったです。

私が施術者(整体においては指導者)の様子を特定できたのは、ほとんどの場合、施術者本人にとって気持ちの良い手技技法を学びますので、彼女の先生も足裏マッサージで良くなるタイプの人だろうと予測したのです。
このタイプは野口整体ではねじれ型と呼ばれ、腰椎3番に動きの焦点がくる人で、声が太く情があつい人情派で、身体が捻れると腎臓に負担がかかりやすく、浮腫んだり、冷えたり、だるくなります。足裏は腎臓の急処なので足裏マッサージを受けると体調が改善するのです。

また、このタイプは強く押さえられるのが好きで、優しいタッチでは物足りなく感じるため、自分が施術をする時にも強く押さえるようになります。その為、足裏マッサージも痛いくらい押さえるのです。
考えてみればあたりまえですが、健康法も指導者のタイプによって好みが分かれるんですね。
ついでにその他のタイプのことも書いておきましょう。

腰椎1番のL1タイプの人は首や頭が焦点になり、理屈中心の人は観念が強くなります。たとえば、「毎日8時間寝れば大丈夫」と信じている人は、それを続けていれば元気なタイプです。身体に関しても哲学的なのです。

腰椎二番のL2タイプの人は胃袋が焦点となり、感情型です。こういう人たちは甘いものが好きです。何かあると食べてしまう。不調や病気になった時も漢方や食養生で健康になろうとします。優しくタッチされるのが好きで、痛いのは極端に嫌いです。ですから施術する方も柔らかくソフトなタッチになります。

腰椎四番のL4タイプは骨盤型と呼ばれています。こちらのタイプは会話や療術院、道場という形式にとらわれず、純粋に技術が上手か否かが大事になります。
どこまでも細かく精密に気がこもっていないと満足しない職人タイプで、施術者もどこまでも技術の細かさにこだわります。

腰椎五番のL5タイプは胸や足が焦点となる呼吸器型です。このタイプは痛いのが好きなのですが、L3タイプのようにしつこいのは嫌いです。あっさりとパッパッと押さえてもらった方が快感があり、施術者もそういう触り方になります。

世の中には素晴らしい技術やメソッドがたくさんありますが、すべての人が同じやり方で整うとは限りません。使い方を間違えると壊す場合もあります。ですから私たち整体指導者はあらゆるタイプの人に合うように、稽古し感性を磨いていくのです。

ニコニコタッチはギューギュー押したり、揉んだりはしないので、強い刺激に慣れている人にはもの足りないかもしれません。ですが、あまりに強い刺激だと、体は余分な刺激を防御するためにかえって身を固くしてしまいます。そのためいくら施術者や指導者がよい人であっても体が凝ってしまったり、もみ返しが出たりします。

その点、ニコニコタッチは、皮膚の流れが整えることで関節の可動性が良くなるので、スポーツやヨガなどでも皮膚が弾力を取り戻すとともに、柔軟性も向上することで、血液、リンパ、髄液、経絡の巡りも活性化するのです。

 

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–Profile–

動体学創始者 河野智聖(Chisei Kono
整体・古武術・ヨガの研究から、新しい身体理論「動体学」を編纂。東京に動体学研究所を設置、“智聖整体Life”として東京・大阪・神戸を拠点に、日本全国で講座を開いている。
動体学研究所から開発された技術は、ニコニコタッチ®・快気法・心道(整体武術)・スパイナルトーン(音の整体)・マグネティック タオ(体のNS極を磁石で調整)・チセットヨーガなどは“チセイメソッド”として発表されている。
著作に『健康になる整体武術』(筑摩書房)、『生命力を高める身体操作術』(経済界)、『日本人力』『能に観る日本人力』(ともにBAB出版)、『身心を拓く整体』『緊急時の整体ハンドブック』(ともにちくま文庫)などがある。

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Web site:Chisei Method チセイメソッド