ソマティックワーク入門 第二回 アレクサンダー・テクニーク 片桐ユズルさん(後編)

| 半澤絹子

筋肉を鍛えたり、ダイエットをするだけではない、
健康とウェルビーイングの一歩先を求めて−−。

今、こころとからだの健やかさの質を高める、
マインドフルネス瞑想やボディワークなどが人気を呼んでいます。

そこには、これまでの、

「筋肉を鍛える」「ダイエットする」

といったものとは異なる、体からだに対する向かい方に関心が向かっていることが背景にあるのでしょう。

からだの感覚に注目し、
心身が心地よい状態へとフォーカスすることで、
深い気づきや静けさを得たり、
自己肯定力や自己決定力といった心身の豊かさを育んでいく。

これらは、
こころとからだのつながりを目指す
「ソマティックワーク」という新しいフレームワークです。

その手法は、タッチやダンス/ムーブメントなど多岐にわたり、
1人で行うワークから、ペアやグループで行うワークもあり、
自分に向くものはそれぞれ異なります。

そこでこの連載では、
これからの時代を生きる私たちにとって、知っておくべき「からだのリベラルアーツ(一般教養)」として、各ワークの賢人たちの半生とともに
「ソマティックワーク」が持つ新しい身体知を紹介し、
それらが個々の人生や健康の質をどう変化させたのかを探っていきます。

あなたのからだは、無限の英知から成り立っています。
賢人とともに、それを読み解いていきませんか?

リベラルアーツ(一般教養)として学ぶ

ソマティックワーク入門

−新しい身体知の世界をめぐる−

第二回 アレクサンダー・テクニーク 片桐ユズルさん
“今ここ”に在ることは贈り物 (後編)

取材・文半澤絹子
取材協力日本ソマティック心理学協会

 

Image: iStock

頭、首、背中の関係にフォーカスを当て、身体の声に耳を澄ませる

ここで、改めてアレクサンダー・テクニークのメソッドについて説明しよう。

アレクサンダー・テクニークは「頭、首、背中の関係性」にフォーカスを当てるボディワーク(アレクサンダー・テクニークの場合は、ボディマインドワーク)である。このメソッドは、先に記したように創始者のアレクサンダー氏の体験がベースとなって構築されている。アレクサンダー氏はうまく発声ができなくなったとき、「首が緊張して頭が重くのしかかっていること」が原因であること、そして人間の動きは「頭が先に行って、後から首と背中がついてくることが自然である」と気づいた

これは言うなれば、動物が持つ本能的な動きである。

動物は人間のように余計な思考が働かない。よって、身体の自動的な動きに沿えば、頭も首も適切な位置にあり、過度な緊張もなく、もっとも良いパフォーマンスができる。こうした動物(人間を含む)が持つ原始的な身体の動きを、アレクサンダー・テクニークでは「プライマリーコントロール」という。

この続きはこちらから有料(150円)でご覧頂けます。

連載を含む記事の更新情報は、メルマガFacebookでお知らせしています。
更新情報やイベント情報などのお知らせもありますので、
ぜひご登録または「いいね!」をお願いします。

–Profile–

半澤絹子(Hanzawa Kinuko
フリーライター、編集者。各種ボディワークやセラピーを取材・体験し、「からだといのちの可能性」、「自然と人間とのつながり」に関心を持つ。「ソマティック・リソース・ラボ(https://www.somaticworld.org/)」運営メンバーの1人として、ソマティックに関する取材や普及活動も行う。

片桐ユズル (Katagiri Yuzuru
1931年東京生まれ。アレクサンダー・テクニーク公認教師。京都精華大学名誉教授。専門は、「一般意味論」。早稲田大学大学院英文科修士課程を修了後、高校や大学で、英語教師を勤め、サンフランシスコ州立大学へ留学。関西フォーク運動などともかかわり、詩人としても活躍。アメリカでアレクサンダー・テクニークを学び、1993年、日本にその教師養成コースを設立。アレクサンダー・テクニークやボブ・ディランの詩集の翻訳、『わたしたちが良い時をすごしていると』(コールサック社)を始めとした多数の著書を発表している。