「今回の連載の構想を練るなかで、代表を務めるNPO法人を、2011年に立ち上げた頃のことを思い出しました」と語る、中川さん。
それは、さまざまな分野でオンライン化が進み、「触れあわないこと=タッチレス」が、社会のスタンダードになる現状を、予見したものだったといいます。
ですが人類にとって、本当にそれでいいのでしょうか。第2回では、ふたつのエピソードをふり返りながら、「セルフタッチングが与えてくれること」を考えます。
わたしに触れる、コロナ時代のタッチケア
セルフタッチング入門
第2回 「セルフタッチング」で自分のからだと出会う
文●中川れい子
2020年、原点回帰は突然に
「“セルフタッチング”について、書いてみませんか?」と、今回の連載の話をいただいたのは、今年(2020年)の初春のこと。その頃は、まさかこれほどまでに新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下「新型コロナ」)の問題が長引くとは思っていなかったのですが、そんな楽観的な気分も、今となっては少し懐かしい気すらします。
ところが構想を練るうち、新型コロナの問題はますます深刻に。感染防止対策として「ステイホーム」「ソーシャル・ディスタンス」が合言葉となり、人と人とが出会い・つながり・触れあうことが、極力避けられるようになりました。
そしてわたし自身も、タッチケア講座の延期だけでなく、長年続けてきた高齢者施設やがん患者会、緩和ケア病棟でのタッチケアの施術活動も、中断を余儀なくされました。
「さて、難儀なことになってきたぞ。せっかく、タッチケアの普及活動も順調に進んできたのになぁ…」と、一時は頭を抱えたものの、突然「そうか、そういうことだったのか!」。わたしの中を何かが通り抜けていきました。
わたしが代表理事を務める「NPO法人タッチケア支援センター(以下、「タッチケア支援センター」)」を、2011年に設立した当時のことを思い出したのです。
それは「これから“大タッチレス時代”がやってくる」という予感から始まりました。
スマートフォン、ソーシャルメディア、バーチャルリアリティ(VR)といったコミュニケーション技術の発達だけでなく、再生医療、不妊治療、遠隔治療などの医療技術の発展など、21世紀に入り加速した、さまざまな分野でのテクノロジーの進化により、人と人との触れあいが激減。
そして直接出会い、実際に触れ、互いの存在を確かめ合い、“いのちのぬくもり”を実感することなく、人と人とが簡単につながりあえてしまう…そんな社会の到来を、肌で感じたのです。
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