ソマティックワーク入門 第五回 ロルフィング®️ 田畑浩良さん(理論編01)

| 半澤絹子

健康とウェルビーイングの一歩先を求めて−−。
今、こころとからだの健やかさの質を高める、
マインドフルネス瞑想やボディワークなどが人気を呼んでいます。
からだの感覚に注目し、
心身が心地よい状態へとフォーカスすることで、
深い気づきや静けさを得たり、
自己肯定力や自己決定力といった心身の豊かさを育んだりしていく。
これらは、
こころとからだのつながりを目指す

「ソマティックワーク」という新しいフレームワークです。

その手法は、タッチやダンス/ムーブメントなど多岐にわたり、
1人で行うワークから、ペアやグループで行うワークもあり、
自分に向くものはそれぞれ異なります。
この連載では、
これからの時代を生きる私たちにとって、知っておくべき「からだのリベラルアーツ(一般教養)」として、各ワークの賢人たちの半生とともに
「ソマティックワーク」が持つ新しい身体知を紹介し、
それらが個々の人生や健康の質をどう変化させたのかを探っていきます。

Image: iStock

リベラルアーツ(一般教養)として学ぶ

ソマティックワーク入門

−新しい身体知の世界をめぐる−

第五回 ロルフィング 田畑浩良さん
ロルフィング®︎とはなにか? (理論編01)

取材・文半澤絹子
モデル吉田裕子
取材協力日本ソマティック心理学協会

ソマティックワークには、身体の動きによって気づきを得る「ダンス/ムーブメント」、「瞑想」や「座禅」などのスタティックなもの、または施術を受けて、身体の気づきや変化を体験する「ボディワーク」など、さまざまな種類があります。

今回取り上げるアメリカ生まれのソマティックワーク「ロルフィング」は、主に施術とムーブメントの2種類があります。そこでこの連載ではロルファーの田畑浩良さんにロルフィングの実際の施術を中心に、ロルフィングとは何か、ロルフィングが広がる理由について、お話しいただきました

田畑浩良さん

ロルフィングとは何か?ー身体的統合だけではないその影響

身体を「家」を例えると、さまざまな手技療法やボディワークの特徴が浮かび上がってくることがある。

不要な老廃物を流すリンパドレナージュ(身体のリンパ節に触れてリンパ液の循環を良くする施術法)であれば、「家の掃除をするようなもの」と言えるかもしれないし、身体に気を注入するレイキであれば、「室内の気の流れを整える」とも喩えられるだろう。

アメリカ生まれのボディワーク「ロルフィング」を大雑把に言ってしまうならば、こうだ。

「ロルフィングとは、家の基礎工事をやり直すようなもの」

ロルフィングの施術では、主に、無数の筋肉を包む「筋膜」にアプローチし、それによって、臓器などを本来あるべき位置に戻し、身体の“構造的な統合”を図っていく。ロルフィングの施術は、さながら、経年劣化によって歪んでいた住宅のメンテナンスを行うようだ

クライアントは、「ベーシック10シリーズ」という10回ワンセットのセッションを受けることで、呼吸をはじめ、足首、膝下、骨盤、左半身、右半身、首……と、身体のパーツを順番に、機能しやすい位置へと戻し、統合していく。

個人差はあるが、ロルフィングの施術を受けると、身体の形が明らかに変わり、樹木のように、天に向かって身体が伸びていくという感想が多く聞かれる。

ロルフィングには「重力こそがセラピスト」という格言があり、施術によって身体が統合することで、人体に重力がよりよく働くようになり、身体がしなやかに変化し始める。それにより、呼吸が深くなる、肩凝りが減る、腰痛がなくなる、といったさまざまな不調の改善も期待できる。

だが、ロルフィングで得られるものは、身体的な不調の改善、軽減だけではない。ロルフィングを受けたクライアントの感想には、気持ちが前向きになった、イライラしなくなった、人生までもが変わったといった声も聞かれるからだ。

「何か変わったけれど、何が変わったかは分からない。でも何か大切なことが変わった」――そんな魅力が、ロルフィングにあるようだ

この続きはこちらから有料(150円)でご覧頂けます。

連載を含む記事の更新情報は、メルマガFacebookTwitter(しもあつ@コ2編集部)でお知らせしています。
更新情報やイベント情報などのお知らせもありますので、
ぜひご登録または「いいね!」、フォローをお願いします。

–Profile–

田畑浩良 (Hiroyoshi Tahata

「The Art of Yield (Yielding Embodiment®)」開発者。認定アドバンストロルファー( Certified Advanced Rolfer)、Rolf Institute教員(ムーブメント部門)(Rolf Movement Faculty member)。株式会社林原生物化学研究所(現:(株)林原)勤務を経て、ロルフィングの道へ。1999年、日本人初のRolf Movementプラクティショナーとなる。ロルフィング他、SE™(Somatic Experiencing®)や「身がまま整体」の片山洋次郎氏とのセッションから、施術時における「空間」の重要性に気づき、「イールドワーク(Yielding Embodiment® Orchestration)」を構築。空間と身体との関係性を活かした繊細で安定的なセッションを提供している。イールドワークの施術者(イールダー)の養成も精力的に行う。大の猫好き。写真は愛猫のにゃんこ先生と。https://www.rolfinger.com/

*イールドワーク、The Art of Yieldは一般名で、Yielding Embodiment®は、必要な研修を修了した認定者が提供する商標として登録されています。

*Rolfing®、ロルフィング®、Rolf Movement®、ロルフムーブメント™、Rolfer™、Rolf Institute、The Rolf Institute of Structural Integration、およびLittle Boy Logoは Rolf Institute の商標であり、米国およびその他の国々で登録されています。

半澤絹子(Hanzawa Kinuko
フリーライター、編集者。各種ボディワークやセラピーを取材・体験し、「からだといのちの可能性」、「自然と人間とのつながり」に関心を持つ。「ソマティック・リソース・ラボ(https://www.somaticworld.org/)」運営メンバーの1人として、ソマティックに関する取材や普及活動も行う。