連載 扇谷孝太郎 「身体と動きの新法則 筋共鳴ストレッチ」11

| 扇谷孝太郎

身体と動きの新法則

筋共鳴ストレッチ

第11回 顎と腕の筋共鳴®その1

扇谷孝太郎

 

Image: iStock

いよいよ「筋共鳴」に!
でもその前にこれまでのおさらいから

今回から、本格的に「筋共鳴®」の活用をご紹介しますが、連載の間隔が開いてしまっているので、これまでのおさらいをしてから入っていきましょう。

「チャクラムーブメントシステム」によるゴール設定

ここまでをまとめると、まず最初に、柔軟性と安定性を高めるためにはどのようなバランスの身体を目指すべきか? ということを明確にしました。ここが明確になっていないと、柔軟性はあっても十分なスピードやパワーを引き出せなかったり、関節の安定性が低いためにケガをしやすくなってしまったりします。

最終的に目指すべきなのは、動作中に背骨の「自然なS字カーブ」を保てるようにコンディショニングをするということでした。

「自然なS字カーブ」とは、外見上の診断だけではなく、各カーブのチャクラの位置で運動の負荷を受け止めるようにすることで、感覚的にも理解できるようになります。

そのように動くことを「チャクラムーブメントシステム」と呼んでいます。

呼吸モードによるサポート

次に、呼吸のつかい方についてお伝えしました。

筋共鳴ストレッチを行う際、脊骨のS字カーブを保って呼吸することによって、より効果的なストレッチやエクササイズができるようになるからです。

そのためには、腹腔内圧を維持しながら呼吸をすることが大切になります。腹腔内圧の高め方には、大きく分けて、

  1. 自然な吸気・呼気のモード
  2. 努力吸気のモード
  3. 努力呼気のモード

がありました。

3つのモードの中で、柔軟性を高めるためとくに効果的なのは、腹腔内圧を高めつつ深く息を吐くこと、つまり「努力呼気モード」です。

改めて筋共鳴とは?

「筋共鳴」は扇谷の造語です(登録商標です)離れた位置にある筋肉同士が、音叉の共鳴のように同期して緊張したり弛緩したりする現象を指しています。

筋膜のつながりや、主働筋/拮抗筋の相反性の反射とは異なるメカニズムによって生じていると思われるため、「筋共鳴」という言葉で表現することにしました。

わたしが調べたところでは、この現象は全身にわたって存在し、多くの筋肉が相互に共鳴しあっています。たとえば、指を動かす筋肉や手首を動かす筋肉は、それぞれ体幹の筋肉群と共鳴しています。顔の表情をつくる筋肉やアゴを動かす筋肉も体幹の筋肉と共鳴していて、内臓の働きとも密接な関係があります。

筋共鳴を活用するメリット

筋共鳴をストレッチに活用するメリットは、ふつうのストレッチでは伸びにくい筋肉の、「伸びない原因」に働きかけることで、無理なく柔軟性を引き出せることです。

この「伸びない原因」の多くは、関節の動きをコントロールするためのスタビライザーと呼ばれるタイプの筋肉の活動が低下していることにあります。筋共鳴によって、このスタビライザーに狙いをしぼって働きかけることで、関節の柔軟性と安定性を引き出しやすくなります

筋共鳴はさまざまな反射のシステムと同じように、身体の動きをもっとも基層のレベルで支えている身体の仕組みだと言えます。この仕組を明らかにすることによって、ヨガやバレエ、武術などの「型」の意味も理解しやすくなるでしょう。

また、ストレッチ以外への応用としては、リハビリや施術などの場面での活用が考えられます。故障によって動かしづらい関節の筋肉に直接働きかけるのではなく、筋共鳴のペアの筋肉の方から働きけることで、回復させたい箇所をよりスムーズに動かせるようになります


筋共鳴ストレッチの進め方

では、筋共鳴をつかったコンディショニングをはじめましょう。

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–Profile–

坂本博美(Hiromi Sakamoto

パーソナルトレーニングルームh.lab主催。
ダンサーとして活動する中、自分自身の怪我の悩みから脳や視覚から受け取るイメージと、実際に身体に起こっていることとのギャップに気がつき、ボディワークや生理学などについて学び始める。

現在は関東関西の各小学校「姿勢教室」開催、企業や小学生から高齢者まで幅広い年齢層へエクササイズを提供している。

胎生学(キャロル.A)、センサリーアウェアネス(ジュディスウエーバー)、フォーカシングベーシック(日本精神技術研究所)、オステオパスバイオダイナミクス(トムシェーバーD.O.)、DVRT(ダイナミックバリアブルレジスタンストレーニング)、オリジナルストレングス、TRXサスペンショントレーニング、グレイインスティテュート3Dmaps受講。
機能解剖学を扇谷孝太郎(ROLFING®️™️)に師事。

■資格
GYROKINESIS®Level1、GYROKINESIS®Level2、Beginner GYROKINESIS®HappyMoves認定トレーナー

そのほかのメディア活動
日本テレビ「News Zero」、テレビ朝日「たけしの家庭の医学」、ベネッセ、小学館冊子記事掲載、東京新聞掲載、SONPOひまわり生命保険株式会社(トレーニングエクササイズ提供)、テルモ株式会社(トレーニングエクササイズ提供)

扇谷孝太郎(Kotaro Ogiya

大学院在学中に演出家竹内敏晴氏の「からだとことばのレッスン」に出会い、身体と身体表現についての探求を始める。2001年、ロルファー™の資格を取得し公務員からボディワーカーに転身。現在は恵比寿にてロルフィング®を中心に、クラニオセイクラルやソマティック・エクスペリエンス®などの個人セッションを行う。 ヨガやバレエスタジオでの定例セミナーでは、身体のメカニズムのほか、呼吸や感覚、イメージの活用を独自の視点でまとめた「動くための解剖学」を教える。その内容はダンサーやヨギなど、柔軟性と身体バランスを必要とする人々から高い支持を得ている。また「からだと息で読む朗読」講座では、朗読という表現手法をとおして「共鳴を生む身体の育て方」を探求中。

●米国The Rolf Institute認定アドバンストロルファー
●米国The Rolf Institute認定ロルフムーブメントプラクティショナー
●クラニオセイクラルプラクティショナー
●ソマティック・エクスペリエンシング®︎認定プラクティショナー
●JMET認定EFTプラクティショナー

公式Web Site (https://www.rolfing-jp.com)