日本では死について語ることが難しい
コ2 グリーフカウンセラーとしてクライアントに向き合って感じたことは、どんなことでしょうか? とくに、日本の現状に思うことがあれば、教えてください。
松家 私のカウンセリングルームに来られる方の多くは、周りの人たちに「話ができない」「話す相手がいない」とおっしゃいます。心に傷を負っているのに、相手のことを考えて話すことをやめてしまうこともあるようです。
日本では、人の死について話題にすることは避けられる傾向にあり、自分の“悲しみ”について話すことが難しい雰囲気があるのではないかと思います。
また、死別の悲しみについて相談したとしても、相談された方もグリーフについての知識が無いため、何と言っていいのか分からないし、対応しきれないのが現状なのでしょう。
また、周りの人からの心無い言葉にさらに傷ついている方も多いですね。私が聞いても「ひどいな」と思う程です。こういった経験は、グリーフをさらに深めてしまいます。周りの人から距離をおくようになったり、会話が減ったり、外出をしなくなったりしてしまう人もかなり多いですね。
コ2 たしかに、日本の社会では死について語るのは憚られるというか、不謹慎だと思われそうな気がしますね。ですから、大切な人を亡くした方がいたとしても、どう接したらいいか分かりませんね。知らずのうちに相手を傷つけてしまうこともあるのですね。
松家 そうなんです。励ましたつもりで言った言葉が、逆に相手を傷つけたり、怒りを買ってしまうことがあるのです。これには、どう感じるかは個人差もありますから「励ましてはいけない」ということではありません。また、腫物に触れるような接し方は好ましくないですね。いつもと同じように自然に接してあげて、体調や気分が悪そうにしている時に、優しく声をかけてほしいと思います。
コ2 最近、葬儀会社での講習会をされたそうですね。参加された方はどんな様子でしたか?
松家 はい。昨年、初めて葬儀会社で講演会をさせていただきました。講演会といっても一方的にお話をするのではなく、参加者の方のお話も伺いながら進めていくというものでした。
私自身、グリーフについて講演会でお話しするのが初めてでしたから、かなり緊張しましたが参加者の皆さんが積極的に話を聞いてくださったので、とても有難かったです。
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