藤田 和葉さんは、SEを施術の柱にされているのですか?
小笠原 いえ、クラニオセイクラル(頭蓋仙骨療法。以下、クラニオ)を中心に、SEは現在トレーニングを受けているところです。
日本では、クラニオの施術一本で食べている人はあまりいないと思うのですが……それは、“クラニオを受けるととてもいいことが起こる”ことを、施術者自身は経験しているのに、どういうことかを説明できないからかもしれません。圧でギュウギュウ押すわけではないですし、心の中で語りかけるみたいなことがメインの施術なので。
でも、なぜいいことが起こるかという理屈を整理できないと、次からの再現性があるかわからないですから。 私自身クラニオを学びにいった時、いきなり先生に「宇宙のエネルギーとつながってください」と言われて、ちょっと面食らった記憶があります。
藤田 「エネルギーって、単位はジュール(J)ですか? ニュートン(N)ですか?」みたいな感じでしょうか(笑)。
小笠原 そうなんです! 「エネルギー」という言葉の使い方がフワッとしていて、一体どういう意味で言っているの? と思いましたし。さらに「心の中で脳脊髄液に語りかけてください」と言われてしまうと……。
藤田 宇宙物理を専攻したリケジョとしては?
小笠原 要するに許しがたい感じだったんです(笑)。でもそこはマジメに、言われたとおりに脳脊髄液に心の中で語りかけてみると、たしかに脳脊髄液の動きが変わるんですね。何回も何回も自分で実験してみて、「あ、これは統計的に有意だ」って。
藤田 単なる偶然ではない、そこに確かに何か関連があると。
小笠原 はい、偶然ではなくて、ちょっと語り口や見方を変えると……。
藤田 必ずそこに、まだ知らないけれども、何か因果関係がある。
小笠原 偶然ではなくて、「“語りかけると、脳脊髄液が何らかの反応をする”という実験結果は、統計的に有意だ」と自分が納得したとたん、「まずいことが起こってしまった。エネルギー保存則はどうなってしまうんだ!」という気持ちになりました。
藤田 ハハハ、なるほど。物質世界に意識が作用するというのは、今の心身二元論のパラダイムでは起こってはいけないことですからね。二つのまったく別の実体なんですから。そこに何かが働くとなると、ある種の念力現象になっちゃう。
ではクラニオを施術してもらった人は、その“いいことが起きている”のを実感されていますか?
僕も何回か、アメリカで受けたことあるんです。おもしろかったですね、特にあの「タイド」と呼ばれる体内のリズム。「これはすでに知っているものかもしれない」とは感じましたが、「いやいや、本当?」みたいな気持ちにもなりました。
小笠原 まさに私、クラニオを学んでもらうワークショップでは、その「リズムを感じろ」と絶対言わないように気をつけているんです。
藤田 僕も最初は何もわかりませんでしたね。BMC(ボディ・マインド・センタリング®)というボディワークがあるのですが、その先生でクラニオも施術されている方のワークショップに出た時、「まず触ってごらん」というんですよ。 仰向けになってる人の足とか、肩とか。でも触っても何もわからない。「何か感じますか」相手に聞きながら触れるだけで、あんまり圧をかけて押さないし。
「これは何だろうな」という感じでしたが、先生が僕の上から手を当ててくれて、その動きを拡大してくれた時に、しばらくやっていると「ああ!」という感じでした。それからは先生が手を離しても「あるある」という感じがつかめました。
小笠原 追いかけると見えなくなってしまう。意識のピントが、そこに合うか合わないか、ですから。
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